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第69話 令和13年九州場所①

横綱35場所目のコシは、大きな怪我も無く体調も万全で九州入りした。もちろん家族は東京でお留守番であった。将来的には今の時津川部屋のスペースでは手狭になるので、先月東京の両国に8LDKの一戸建てを一括キャッシュ(一億円位)で買ったばかりの矢先の話であった。


「え?コシ関引っ越しちゃうんすか?」

「まぁ部屋のキャパ考えたら仕方ねーよ。」

「稽古には参加するんですよね?」

「そりゃあ、もちろんそうだろ。」

「両国に一戸建てかぁ。しかもキャッシュで。流石横綱ですね。」

「車はランボルギーニ2台、はぁ。」

「お前等も強くなればそう言う生活も送れるぞ?」

「コシ関みたいに?いやぁ~無理ですよ。」

「ま、先ずは稽古とちゃんこだな。」

「夢から急に現実に引き戻された!?」

「四股・摺り足・鉄砲を数こなせば絶対に強くなれる。ってコシ関は言うんですけど、やっぱりそれだけじゃあ勝てないっすよね。」

「馬鹿だな。算数が出来ないのに数学は出来ないだろ?それと同じ事だよ。」

「これでもかと四股・摺り足・鉄砲をやってみろ?絶対に強くなれるから。」

「コシ関が言うなら説得力ありますね。」

「そこにプラスアルファどこまで相撲の技術を磨けるかだな。基礎は当たり前の様にやった上でのスキルアップ。この世界で飯食ってくつもりならな。」

「それが出来れば越乃海や豊山の様な横綱、時天山の様な大関になるチャンスはある。出来なければそこまで。この世界からは足を洗う必要がある。サラリーマンになるも良し。」

「他の道があるならそれも良し。」

「厳しいがそれが現実だ。コシの言う様に角界入りして横綱になったのは統計を取り始めた明治時代以降せいぜい80人。関取になれず、廃業していく人材も吐いて捨てる程いる。例え上がれても、怪我や病気に悩ませられ引退を余儀なくされる力士も山ほどいる。」


1年納めの令和13年九州場所コシは、宇雷戦で押し出しで勝つと、いつもの様に中日給金直しを達成。幕内で唯一人初日から負け知らずの勝ちっ放しとなった。


「それ懸賞金すか?」

「あぁ、今日は三役の関脇台栄昇との一番だったからな。10本位かな。」

「それでこの額ですか?」

「まぁ半分は相撲協会に税金として取られちゃうんだけどね。」

「やっぱ、横綱は夢あるな。」

「別に金目当てで相撲取りになった訳じゃないから、まぁご褒美って感じかな。」

「とんでもないご褒美じゃないですか?」

「いつも自分の為に使っている訳じゃないけどな。」

「懸賞金の半分は親方に、もう半分は妻に渡している。このスタイルは、結構昔から決めているんだ。」

「それに20歳になるまでは給料や懸賞金の管理は時津川親方に一任していたんだ。」

「結婚してからは妻がその役を担って貰っていたんだけどな。」

「そうだったんですね?」

「だから全然自由な金なんて無かったよ?」

「車も家もクレジットカードも持ったのは最近の話だよ?」

「それは越乃海あるあるで知ってはいましたが、20歳になって初めて銀行で口座残高見てどうでしたか?」

「ふいたわ。10億位はあったかな?」

「20歳で10億の資産家。」

「だから、お前等も頑張って強くなれ!」

「はい!」

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