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第6話 三賞なんかに興味はなし

令和7年秋場所千秋楽13勝1敗で、優勝争いの単独先頭を行く西小結の越乃海は2場所連続で殊勲賞、敢闘賞、技能賞の三賞を総なめにしたが、コシにとって三賞等、お菓子のおまけ見たいな物であり、全く興味は無かった。


コシの千秋楽の相手は次期横綱候補筆頭の東の正大関豪昇龍である。ここまで12勝2敗と、優勝の可能性を残しており、コシにとっては2場所連続優勝の最大の関門と言える。普段より少し早めの入りとなり、慌ただしく土俵入りを済ませると、通路にはおびただしい数のトロフィーや記念盾が置かれ、優勝力士に与えられる優勝の副賞の数の多さをフラッシュバックしたコシであった。


「コシ関!」

「おお、トヨ?どうした?」

「今日はこれより三役がありますからね?」

「分かってるよ。先場所やってるし。」

「千秋楽は打ち止めも早いですからね?」

「ああ。」

「勝大関!勝って終わりましょう!」

「互いにな。優勝パレードまた参加させてくれよ?」

「任せて下さいよ。」


結局勝大兄さんは9勝6敗(前頭9枚目)で秋場所を終えた。

「コシ関は2回目ですから全然緊張はしてませんね?」

「いやいや、ハラハラしているよ。本当なら昨日決めたかったんだが、安高関に大関の意地を見せられてね。」

「バッチリ見てましたよ。引っ張られた(かいな)はもう痛くないんですか?」

「ああ。つーか全然昨日から痛くないし。」

と言うとコシはルーティーンの四股を10回踏むとコシはいよいよ戦闘モードに入った。過去2戦2勝と負けてはいないが、相手の大関豪昇龍は調子を上げてきている。油断大敵なのは言うに及ばず、出来れば本割りで決めたい所である。そんなのは当たり前で、雑念を払うのに必死であった。17歳の若武者にとっては、1回戦も2回戦も変わらないだろう。だがこの小結より上の地位に行くには絶対に避けては通れない相手である事に違いはない。


そうこうしている内に千秋楽恒例これより三役が始まった。だが、コシの頭の中は立ち合いをどうするかと言う事で一杯であった。80%程度の力で当たり突き押しで行く。これはコシの最も得意な定石だ。ただ、これは言わば小手先の芸当に過ぎない。大関豪昇龍にこれは通用しない。勝った2番とも決定打になったのは、右寄つからの苦し紛れの突き落としであった。決まりはしたが2度3度ある勝ち方ではない。ならば100%のぶちかまし。その圧力で一気に寄り切る。これはやってみる価値はあった。すると、目の前で西の正大関安高が東の張り出し大関若本夏に寄り切られ、優勝争いは完全にコシと豪昇龍の二人に絞られた。


土俵に上がると大関豪昇龍は今にも倒してやると言う勢いでコシを睨めつけてきたが、コシはそれを受け流した。そして最後の塩に別れ睨み合うコシと豪昇龍。第41代木村庄之助の待った無しのふれ。最初に拳を降ろしたのは、コシ。じっくり大関を見て立った!

「はっけよい!」

ガツンと思いきりぶちかまして?と思ったら、まさかの大関豪昇龍の注文相撲。コシはたまらず土俵中央ではたき落とされた。まさかの大関豪昇龍の変化に両国国技館は騒然。コシは敗れて13勝2敗となり、令和7年秋場所は優勝決定戦にもつれ込む事になった。

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