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真・土俵の鬼達〜師匠に捧げる白星(ホワイトスター)〜  作者: 佐久間五十六


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第53話 令和12年春場所

横綱25場所目を迎えたコシは9連覇を目指して冬巡業をこなし、稽古も淡々とこなしていた。珍しく、時津川一門の連合稽古にも顔を出すなど精力的に日々を過ごしていた。


「コシ関何であんなに強いんですか?」

「人よりも多く稽古しているからだ。俺は天才肌では無いがどの力士よりも努力している。」

「それだけですか?」

「ひかり?強くなりたかったら稽古しろ。怪我をしない為にもな。」

「なるほど!」


大阪入りしてからは、少し稽古量は減ったがそれでも毎日50番はこなしていた。そして令和12年春場所を迎えた。金星無配給の横綱越乃海は今場所も中日給金直しでターンするとそのままの勢いで14日目まで白星を並べ、134連勝とし、自己最多の連勝記録を更新していた。ゆたかが敗れ2敗力士がいなくなった為、千秋楽を待たず9場所連続22回目の優勝が決まった。千秋楽も横綱大鵬戦に勝ち全勝で春場所を取り終えた。そんな事よりも嬉しいニュースが入って来た。付け人の越光こしひかりが、西三段目6枚目で7戦全勝で三段目優勝を果たした事であった。

「ひかり!良かったな!」

「はい!コシ関の相撲を参考にしていたら7勝できました。」

「来場所は幕下だな。」

「はい。」

「怪我をせず頑張ります。」


「また駄目だったな。」

「コシ関強すぎますって。」

「弱点は左寄つなんだ。神の右さえとらさず立ち合いの勢いを殺せば理論的には勝機が見出だせる…はずなんだが?」

「優勝決定戦に持ち込まないと先ずは話にならないですよ?」

「コシ関は負けないからな。左寄つになっても、ある程度はしのいでいる。本場所のビデオをみている限りな。」

「皆分かっているけどあの立ち合いからの突き押しや右差しは止められないのよ。」

「同部屋ってのも厄介だな。」

「何ならいっその事転籍しますか?」

「バカ言え。時津川親方(師匠)がいたから横綱・大関に上がれたんじゃないか?」

「ですよね?」

「相手が負けないなら、こっちも負けなきゃ良いんだ。話は簡単だ。」


「お!今年は10人か?就職場所なのにお寒いね?」

「年々新弟子の数減ってるね?」

「期待の星はドイツ人のベルティンか。日大出身の学生横綱で幕下最下位格付出しだ」

「また遠くから…。」

「194cm160kg。体格だけならコシ関より上ですね。」

「ベルティンは四股名どうするんだ?」

時独王ときどくおうと時津川親方から四股名をいただきました。」

「何故うちの部屋に?」

「実は時津川親方に1年生の時から声をかけていただいてまして。」

「日本語上手いね。」

「高校の時から日本に来ていまして。日本語はドイツ語より難しいです。」

「俺達にはドイツ語の方が難しいけどね。」

「他は皆前相撲からか。」

「気にするな。あの大横綱越乃海も中卒前相撲からトップオブトップに登りつめたんだ。」

「はい。」

「ベルティン、しっかり稽古して、1場所でも早く俺達のランクに登り詰めて来い。」

「はい。横綱。」

「ベルティンは大関時天山の付け人になれ。勉強する事は沢山ある。」

「宜しくな、ベルティン!」

「はい!」


場所後越乃海は新型コロナウィルスに感染し2週間稽古が出来無かったが、次の夏場所への影響は最小限に抑えられそうだ。

「ワクチンは打ってたんですけどね。」

「まぁ、これは仕方ないよ。無敵の横綱もコロナには勝てないよな。」

体調不良で春巡業は欠席を余儀なくされたコシだったが、退院すると即座に稽古を再開したのであった。


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