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第4話 コシの弱点

コシ(越乃海)には決定的な弱点があった。小兵と呼ばれる身長175㎝以下の力士に中に入られるのを特に嫌がった。入幕してからは小兵相手に星を落としていなかったが、幕内上位には宇雷(うら)猿飛(さるとび)と言った実績充分の小兵力士がそれなりにいた。


しかし、中に入られなければ、まわしを与えなければ勝てる。と言う自信はあった為、小兵力士相手には、かちあげからの突っ張りで行くと言うのが、スタイルとしてコシの中では染み付いていた。時津川親方からも中に入れず距離感を大切にしろ。とアドバイスされていた。


立ち合いから変化するいわゆる注文相撲をする力士もおり、ぶちかましやかちあげ一辺倒では研究されてしまう。対戦する力士毎に立ち合いを変え、番付下位の力士には星を取りこぼさない事が、秘訣である。


令和7年秋場所3日目の猿飛戦、4日目の宇雷戦が正にそれであった。両者とも中には入れたくない。まわしも与えたくない。立ち合いには変化もある事を考えて、かちあげからの容赦ない突き押しで一気に押し出して4連勝とした。取り組み後付け人の豊の里にアドバイスを貰った。


「コシ関、もう少しあたりを高くすると良いと思いますよ?」

「セオリー通りなら低く強くだろ?」

「小兵相手にはあまり低く行きすぎると変化で叩かれる場合もありますからね。」

「なるほど。参考にしてみるよ。」

「ごっつぁんです。」


苦手の小兵を倒し、波に乗れた新小結の越乃海は、中日8日目にストレートで給金を直すと、令和の新怪物と称され始めた。ザンバラ髪のコシは2大関との対戦を残したまま、関脇の尾炎(おび)台栄勝(だいえいしょう)小結の無双山(むそうやま)等を撃破して13連勝とした。優勝争いの単独先頭で、最終盤を迎えた。明日14日目の対戦相手はまず間違いなく1敗の大関安高で、千秋楽は2敗の大関豪昇龍とあたる事になりそうだ。ただ、翌日の大関安高戦に勝てば、千秋楽を待たずして2回目の幕の内最高優勝を手にする(2場所連続)。34歳で無冠の大関安高は先場所相星決戦に負けているだけに、コシに対してリベンジに燃えているはず。何とかコシの連勝を止めて己の優勝の可能性を千秋楽まで残したい。


「コシ?」

「はい。」

「安高は西の正大関だ。小兵とは違う。思いきりぶちかまして来い!押して駄目なら得意の右寄つで大関を仕留めろ!ここで負けたら優勝の可能性は下がる。だが余計な事は考えなくて良い。この一番に勝つ事だけをイメージしろ!」

「分かりました。」

「10代での連覇は相撲史に残る大偉業だ。でもコシなら出来ると私は信じている。」


「なぁ?トヨ?今場所どんな感じ?」

「まだ一番残していますが、4勝2敗で勝ち越しました‼」

「おお!じゃあ来場所は幕下15枚目以内に入ってくるな?」

「付け人が変わると困りますか?」

「大分な。」

と、笑い合った二人は互いに勝負の令和7年秋場所14日目を迎えた。

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