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第42話 令和11年初場所②

「コシ関?どうやったらそんなに強くなれるんですか?」

と、部屋の力士から聞かれてコシはこう答えた。

「稽古とちゃんこだな。」

「それも人が見てない所での稽古だな。ただ闇雲にやっても効果は出ない。コレ!と言う目的を持って稽古しろ。後は怪我をしない事。その為の体作りだな。四股・摺り足・鉄砲を最低でも200回はやる。俺はそう決めて稽古している。」

「それが史上最年少横綱の強さの秘密なんですね?」

「言うのは簡単なんだよ。365日毎日やるのが肝だな。」


若き横綱の強さの秘密は、やはり稽古(努力)にあった。

「あとな、強くなりたかったら、ちゃんこを食って体を大きくしろ。ただ食えば良いんじゃない。猛稽古に耐えられる体を作る為にしっかりちゃんこちゃんこちゃんこ。」

「はい。ありがとうございます。」

「最近は自分より若い力士も入って来て随分やりやすくなったな。」

「そうなんですね。」

「そうなんですね、じゃねんだよヒカリ!お前もその若手の1人なんだからな?」

「はい!すみません。」

と、新しい付け人の越光こしひかりに熱血指導するコシであった。


さて、令和11年初場所は全勝のコシを横綱大鵬、横綱豊山、大関照の山が追う展開。四つ巴になるかと思われたが、ゆたかと照の山が13日目終了時点で2敗に後退。優勝戦線に残った横綱大鵬と横綱越乃海による東西の横綱同士の千秋楽全勝相星決戦となった。その前日、コシは親方に相談していた。

「親方?明日俺勝てますかね?」

「弱気になるなんて珍しいじゃねぇか?天下無双の横綱越乃海が全勝相星決戦を前に何を迷う?」

「いえ。やっぱり何でもないです。」

「出したり引っ込めたり、一流の力士らしからぬ言動だな?」

「大した事じゃねぇんです。立ち合いぶちかまして行けば良いのか、もろてで行けば良いのかを、悩んでましてね。」

「横綱同士の千秋楽全勝相星決戦何だ。迷わずぶちかまして行けば良いんだよ。そこからの突き押し。この相撲で今のコシがあるんじゃないか?」

「ですよね。でも最近自分の相撲が研究されているんですよ?」

「そりゃーそうだろ。皆コシに勝ちたいからな?だったらお前には”神の右“があるじゃないか?」

「右上手?」

「下手でも構わないからとにかくまわしを取って右寄つになれ!その形になったら休まず出ろ。これは横綱大鵬の陣営としては想定外のデータにはないギャンブルな攻め方なんじゃねーか?」

「それは自分も想定外でした。」

「もっと柔軟に相撲を取っても良いんじゃねーか?少し突き押し相撲にムキになる所があったからな。もっともっと引き出しは無限にある。勝つ為の最善はもっと自由で良いと思うぞ!」

「はい。」


と、アドバイスされたコシは千秋楽相星決戦でもろはず押しからの神の右をこじいれ、一気に寄り切った。2場所連続の全勝優勝で15回目の幕の内最高優勝を達成した。

「まだ三分の一か…。先は長いな。」

「何がです?優勝回数記録だよ。」

「つーかコシ関まだ20歳じゃないですか?楽勝っすよ?」

「長い道になるかも知れねーがついて来れるかヒカリ?」

「どこまでもお供させて下さい。」

「時津川親方の助言通り右まわしが取れたので後は一気に走りました。」

「あぁ、迷ったら右だ。お前の場合はな。」

「ゆたか、今回も及ばなかったな。」

「コシ関が怪我でもしない限り優勝なんて無理っすよ。」

「そんな事は無いよ。諦めず稽古しよーぜゆたか!」

「はい…。」


こうして令和11年初場所は横綱越乃海が15戦全勝で優勝したのであった。

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