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第40話 令和10年九州場所前半戦

横綱17場所目の越乃海は部屋の横綱豊山と激しい稽古をして出稽古はせず、場所前を迎えた。福岡入りしたのは、11月に入ってからである。


福岡入りしてからも、ゆたかとコシは周囲を圧倒する稽古を見せていた。その流れは場所入りしてからも続いた。コシもゆたかも序盤から白星を重ね中日給金直しで8連勝。この辺りは他の力士の追付いを許さない格の違いを見せていた。


「今場所も調子良いなコシ?」

「いやぁ、ゆたかの存在がやっぱりデカイっすよ。また全勝同部屋相星決戦も充分あり得ると思いますよ?」

「まぁ、1番1番大切にな。」

「はい。」


「トヨ?ちゃんこ頼む。」

「あの…。その前に話があるんですけど?」

「何?話って?」

「今場所限りで現役を引退する事に決めました。」

「引退…?マジかよ!?」

「もう40歳になりますし、この辺が潮時かなと…。本当はもっとコシ関の付け人でいたかったんですが、肉体的にもう限界なんです。」

「力士廃業してどうするの?」

「実家の青森でリンゴ農家を継ぎたいと思っています。」

「そうか…。トヨなくして今の越乃海は無いからな。それなら、今場所は何が何でも優勝しないといけないな。」

「本当に直前の事ですみません。」

「悔いは残すなよ?」

「はい。ありがとうございます。」

「親方にはもう話したか?」

「はい。先代と時津川親方に挨拶させて頂きました。」

「そうか…。本気で辞めちゃうんだな?」

「寂しいですか?」

「そりゃあ寂しいよ。俺が十両の時代からずっと付け人を続けて来たじゃん?」

「とっておきの後任を用意してあります。おい、入って来い!」

「失礼します。」

越光こしひかり関です。横綱越乃海と同郷(新潟県)出身の序ノ口力士です。」

「また、面白い四股名だな。まぁ、強くなって、いつかは自分もてっぺん取るつもりでやれよ?」

「はい。ごっつぁんです。」

「その四股名は自分で?」

「いえ、親方につけて頂きました。」

「まぁ、宜しく。つーか腹減ってんだけど。」

「おいヒカリ?ちゃんこ持って来い!」

「コシは被るからヒカリか…?なるほどな。」

「ヒカリも中卒なんだ?」

「そうか。なら叩き上げで学生出身力士に負けを取るなよ?」

「はい。ありがとうございます。」

「まずは自分の武器を作れ。これだ!と言うものを。そうすれば関取までは電車道だろうな。そこから先は稽古次第だな!努力して人の何倍も稽古して上を目指せ。」

「はい。精進します。」

「へぇ。新潟県の長岡市出身なんだ?そうかそうか。本気で親方がスカウトして来たんですか?」

「いや、中学の先生に力士になりたいと言う生徒がいるからと相談を受けてな。新潟に縁のある時津川部屋を紹介してやったんだ。」

「あ、なるほど!そう言う入り方もあるんですね?」

「中々のレアケースだがな。」

「15歳って事は、まだまだデビューしたばかりか?」

「はい。秋場所が初土俵でした。」

「前相撲からとる辛さは俺も分かる。」

「よく、言いますよ。各段7戦全勝で簡単に関取になった人が言うセリフとは全く違いますよ?」

「確かに。」

「今中日だけど何勝?」

「3勝1敗です。」

「勝ち越しまであと1番だな。まぁ頑張れ!」

「付け人のイロハは、時の花経由で越光に全て託してありますので、何とかなるかと。」

「宜しくな。越光!」

「宜しくお願いします。横綱。」

「最初は大変だと思うけど、まぁ1つ1つ覚えていきなよ。」

「はい!ありがとうございます!」

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