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第30話 令和9年九州場所②

3横綱のうちまず脱落したのは、膝の怪我から復活の兆しを見せていた豪昇龍であった。10日目の大関安高戦で土をつけられた。立ち合いは互角だったものの、安高の馬力に負け一気に押し出される結果となった。結局、 越乃海と大鵬の2横綱が千秋楽まで星を落とさず、千秋楽横綱相星決戦となった。


「コシ関!!トヨさんがやりましたよ!」

「トヨがどうかしたか?」

「6勝1敗で十両昇進が濃厚となりました。」

「そうか。それは良かった。」

「後はコシ関の番ですよ?」

「分かっている。任せろ!」

「大鵬関は優勝したくない?」

「そりゃあそうだろ。観客は越乃海の90連勝を見に来ているんだから。そこは空気を読んで勝ちには来ないだろ?」

「89連勝まで来た。でも明日負けたらこの1年間積み上げて来た連勝は無価値になる。」

「でもストッパーは大鵬関しかいないんですよ?」

「荷が重いな。でも力士やってる奴なら誰もが思うはず。越乃海は全身全霊を込めて来る。注文相撲も効かないし、そんなものは興冷めなだけさ。」

「例えばの話ですよね?」

「越乃海は先ず間違いなくぶちかましかかち上げの立ち合いを選択するはず。その対策は一応ある。」

「その対策とは?」

「八艘飛び(はっそうとび)だよ。昔、舞の海がやってた。」

「飛ぶんですか?」

「横にな。思いっ切り。」

「変化はない。と見ているかも知れないが勝つ可能性を少しでも上げる為だ。それに成功しても越乃海は先ず間違いなく対応はして来るはず。」

「飛んだ後の二の矢、三の矢が大切と言う事ですね?」

「その通りだ。」


まさかの手段で、コシの90連勝を阻止にかかる大鵬陣営とは裏腹にコシ陣営は泰然自若と何が来ても、良い様に夜の稽古を終え、ちゃんこを食べていた。


「トヨの作るちゃんこは何食っても美味いな。」

「あしかけ18年。だてにこの世界で飯を食ってはいませんよ?今は時津川部屋のちゃんこ番にはいないですけど。今日は特別にちゃんこ番を代わってもらいました。」

「うん。美味いな。」

「ありがとうございます。」

「ごっつぁんです。」

「明日の為に早めに寝るわ。」

「了解です。」


そして、迎えた令和9年九州場所千秋楽結びの一番。第39代木村庄之助の結びのふれで東西の横綱が土俵に上がって来た。すると、大鵬コールが福岡国際センターに湧いた。どうやら観客もコシの90連勝を阻止して欲しい様だ。

「時間です。」

「え?もう?」

呼び出しの声に段々緊張して来た。それでも東の花道にいるトヨが大丈夫とエールをくれるのが見え、頷いた。

「時間です。待った無し!手をついて!」

ん?少し仕切り線から離れているな。まさか!?

「はっけよーい、のこった!のこった!」

の声と同時に目の前から大鵬が消えた。と思ったらジャンプし過ぎて俵から足が出て勝負あり!何も相撲を取らず、コシは年間負け無しの90連勝と7場所連続11回目の優勝を達成した。年間6場所完全制覇は史上初の快挙であった。勝大兄さんは8勝7敗。関脇豊山は11勝4敗で来場所は大関取りの場所となりそうだ。こうして令和9年の大相撲は幕を閉じた。

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