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第27話 令和9年秋場所①

横綱10場所目の越乃海は6場所連続10度目の優勝を狙う。場所前はコシの次点だった豊山が関脇に昇進。二人で激しい稽古をしていた。休場明けの横綱豪昇龍はまだ不安が残るものの、何とか優勝戦線に加わりたい。西の正横綱大鵬は場所前稽古充分。コシの連勝を止めたい所である。また、平幕では先場所11勝とブレイクを果たした2代目北の湖が上位に番付された。時津川部屋の最古参勝大は前頭4枚目に上がった。


「誰か、コシの連勝を止められる者はおらんのか?」

「いませんよ。」

「そう簡単に言うなって。コシだって同じ人間だぜ?」

「あの立ち合いからの突き押しに対応出来る力士は今の角界ではいませんよ。」

「それにある程度突き押しで駄目なら直ぐ様右寄つに組んでしとめますからね。」

「その勝利の方程式を切り崩せば勝利出来るのかも知れないですが、それが簡単に出来たら苦労しませんよ。」

「それに若手のホープ豊山はコシと同部屋。2代目北の湖はまだ入幕2場所目と経験不足。他の力士はうだつが上がりません。」

「大関・横綱陣もコシには滅法弱い。」

「本気で年間負け無しの90連勝の大記録を作ってしまうかも知れませんね。」

…と、場所を展望する記者達であったが、蓋を開けて見れば、越乃海の強さが際立った。ここまで金星配給0の強さは今場所も健在で、三役だけではなく、平幕にも星を落とさない圧倒的な力の差があった。


コシのぶちかましやかち上げで身体を起こされ直ぐに二の矢、三の矢の突き押しが猛スピードで来る。それに対応しようとすると、今度は”神の右“で、右寄つに組まれ、一気にがぶり寄られる。そのスタイルで連勝を重ねて来た。それに大きな怪我もしない。それも魅力の1つであった。コシには持論がある。弱いから怪我をする論を体現し、強ければ大きな怪我はしないと言うスタイルを見せていた。


さて、秋場所に戻っても前半戦コシに波乱は無く中日給金直しで8連勝。追うのは横綱大鵬と大関の照の山そして関脇豊山の3人が7勝1敗でコシを追走して行った。横綱豪昇龍は右膝の怪我が回復途中で、7日目から2勝5敗で中日から途中休場となった。

「豪昇龍心配だな?」

「人の心配してる場合場合か?」

「いや、横綱の怪我は進退に影響するでしょ?」

「それを決めるのは本人だ。横綱審議委員会でも、師匠でもない。」

「とは言え、右膝の怪我相当しんどいみたいだな。」

「あの相撲じゃ横綱の責務は果たせないな。一昔前の豪昇龍からは考えられないな。」

「マジで進退に関わるかもな。手術とかになったら、余計復帰遅くなるし、この辺がキーポイントかもな。」

「分水嶺って奴な。」

「それとは対照的に68まで連勝を伸ばし、今年負け無しの史上最強横綱越乃海は順当だな。」

「油断はするな。1番1番集中だ。」

「土俵の神様はいつもおれ達にとんだ奇跡を見つけさせたからな。後半戦気が抜けないよ?」

「誰がコシを止める?」

「大関照の山なんて同期だし、それなりに筆頭株なんじゃない?」

「それならやはり西の正横綱大鵬だって同期だし優勝決定戦にもつれたら豊山って可能性も?」

「それは望み薄だろ?」

「まぁ、コシが全勝でこられなかった時の可能性の話をしている訳で。」

「同部屋対決解禁したら良いのにな?」

「それは言えてるかもな。決定戦より本割で見たいかも。」

「いや、皆そうでしょ?」

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