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真・土俵の鬼達〜師匠に捧げる白星(ホワイトスター)〜  作者: 佐久間五十六


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第113話 令和18年春場所②

春場所後半戦の主役も横綱時虎丸であった。10連勝で迎えた11日目に、小結無双山に押し出しで敗れ1敗を喫し、コシと星の差一つとなった時虎丸であったものの、その後は星を落とさず14勝1敗で4回目の優勝を達成した。コシは後半戦を全勝し時虎丸を猛追したが、13勝2敗で次点に留まった。コシの新付け人である上杉と関根は共に7戦全勝し、各段優勝を決めていた。荒れる春場所と言われるが、今年の春場所は、時津川部屋所属力士の躍進の場所となった。

「パパ、おかえり。」

「おお、竜一はいつも最初にパパを迎えに来てくれるな?」

「竜一兄ちゃん、勉強しても強い力士にはなれないからってゲームばっかりしてんだよ。」

「そう言う竜二こそ、全く勉強してねーじゃねーか?」

「2人とも中学出たらマジで力士になる気かよ?」

「うん。だって、パパも中卒じゃん。」

「あれ?竜三とママは?」

「二人なら夕食の買い物に行ってるよ。」

「何だ?お前等留守番組か?」

「今場所は、序盤の連敗さえ無ければ、大台の50回目の優勝出来たのにね?」

「うるせぇ!生意気言うな子供のくせに!」

「これは何だ竜二?」

「算数のテストで5点だったテスト用紙。」

「勉強ちゃんとしないと、入門の許可を出さないぞ?」

「うわ、それヤバい。」

「ちゃんと結果を出してくれれば、時津川親方に入門のお伺いをたててやる。」

「出たよ。リーサル・ウェポン。」

「リーサル・ウェポン?」

「パパの伝家の宝刀。勉強しないと入門させないって奴。」

「ただいま!」

「あっ、帰ってきた!」

「ただいま。お、竜三?ママの買い物の手伝いか?偉いな。」

「今日はたまたまだよ。兄ちゃん達が留守番するって言うから、ママについて行っただけだよ。」

「竜三?この前の算数のテスト持って来い!」

「え?いいけど。」

「竜三?手洗いうがいは、ちゃんとしなさい!」

「はーい。パパ、これこの間の算数のテスト。」

「お!マジか?100点じゃねーか!?」

「俺は力士にはならないからね。勉強も頑張っているんだ。」

「くっ。竜三テメェ…。」

「やめておきなさい、竜二。」

「ママ?止めないでよ!」

「竜三にはやりたい事があるのよ。」

「何だよ竜三?お前のやりたい事って?」

「宇宙飛行士だよ!」

「う、宇宙飛行士!?そんなの横綱になるくらい難しい事じゃねーか?」

「ゲームばっかりしてるお前らよりしっかりしていて、良いじゃないか?」

「パパ?現役の横綱として、それがどんなに大変な事か、竜一兄ちゃんや竜二兄ちゃんに、説明してあげてよ!」

「いや、比べるのは難しいな。まさか、横綱の三男が宇宙飛行士になったら、パパの株はもっと上がるな。」

「そんなの僕は気にしていないよ。努力して鍛えて必ず、宇宙飛行士になってみせる。」

「まぁ、それだけ大した夢なら力士と違って潰しが利くから、パパとしては安心だな。」

「ママも応援するわ。」

「いいか竜一、竜二?勉強しないのは構わないが、力士で潰しが利かなくなってからでは遅いんだぞ?」

「大丈夫だって。必ず横綱になって、次の時代の光になるから。」

「そう言うなら、今日から放課後は時津川部屋に来い!とことん、鍛えてやる。」

「うお!?パパ、マジ?」

「ちゃんこもたらふく食って、己の限界を越えてみせろ!」

「それから、時津川部屋ではパパではなく、横綱越乃海だ。コシ関と呼ぶ様に。いいな?」

「はい。」

「竜二もだぞ!その覚悟はあるんだよな?」

「は、はい。」

「小学生のうちからプロの土俵で鍛えられるなんて滅多に出来る事じゃない。感謝しろよ!」

「はい。」

「と言う訳で、竜三!ママと家の事は任せたぞ!」

「本当に大丈夫なの?あなた?」

「あぁ、大丈夫だ。」

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