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第9話 令和7年(2025年)九州場所①

1年納めの九州場所。新関脇の越乃海は場所後に大関昇進をかける大切な場所となる。星勘定だけで言えば2桁(10勝)以上すれば、大関昇進の目安となる直近3場所合計33勝には届く。


コシは場所前から大きな怪我もなく、稽古に励んでいた。兄弟子の勝大との申し合いを中心に、出稽古に来る大関若本夏や小結無双山らと共に汗を流した。


福岡国際センターで行われる令和7年九州場所は1横綱3大関の布陣であった。コシの初日の相手は三役経験者の前頭3枚目清明となり、2日目は大関経験者の前頭2枚目の琴羽黒となった。取りこぼしが無ければ、横綱大関戦は12日目以降になる事が予想された。まぁ、周りの星勘定次第では、あるが。


新小結の2代目大鵬や東前頭筆頭の照の山らも、コシ撃破を狙う有力者だ。場所が始まってみれば、横綱貴乃富士が2連敗スタートで5日目に現役引退を表明。角界に衝撃が走った。コシは小結無双山や同期の二人に勝つなど、番付で下にいる力士達を圧倒。5日目を終えて5連勝とした。大関への視界良好であった。上位陣では大関豪昇龍と大関安高が4勝1敗で大関若本夏が2勝3敗と苦しい序盤戦となった。西関脇の台栄勝は3勝2敗で、役力士で勝ちっ放しなのはコシだけであった。


コシはその後も得意の激しい突き押しや右寄つで、白星を重ねて、8連勝で中日給金直しとした。コシを追うのは1敗の大関豪昇龍と大関安高、そして小結の2代目大鵬である。更に2敗が7人と、優勝レースは大混戦の展開となった。


一方コシの付け人でデビュー以来お世話になっている西幕下6枚目の豊の里(29)は3勝1敗で後半戦に臨む事になった。

「トヨ?あと1勝で勝ち越しじゃんか?」

「ええ。でもコシ関には敵いませんよ。今や角界の誇るスーパースターじゃないですか?」

「例えそうだとしても、俺は1力士に過ぎん。ただ強いだけじゃ駄目なんだ。品格のある横綱ってのはそう言うもんだ。」

「目指せ!最年少横綱!」

「今の所最短ルートでねーか?」

「まぁ、コシ関は前相撲組ですからね。」

「まだ17歳のガキやで?少しは加減しろよ。」

「角界のキングに何してまうねん、て言う気持ちでいつも通路の奥から見てますよ!」

「トヨは流石だな。俺より12年長く生きているんだから、俺の気持ち分かるんだな。」

「キングの気持ちは師匠、いや亡くなった先代にしか分からないんじゃないですか?」

「先代が生きてりゃな、もっと聞きたい事は山ほどあったのにな。」

「私じゃ不満か?」

「師匠!?」

「生まれたのが先代で育ての親は師匠っすよ。」

「まぁ、そんな事はどうでも良い。九州場所後半しっかりな?」

「はい!」

「相変わらず威勢は良いな?」

「はい。それが自分の持ち味ですから。」

「そうか、励め。」


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