VS◯◯の魔女
連続投稿できてえらい
「四条さん…?なんで…?」
動揺。
そして周囲を見る。
そして見た。
「…っ!?これは…。」
2つの肉塊とその目の前で崩れ落ちている少女を。
「酷い…まさか…あなたが…?」
一体どうして。
「なんで、こんな事を‥.。」
理由を聞こうとする。
彼女は答えない。
答えれない。
(虚ろな目…もしかして正気を失ってる…?)
魔力の雰囲気から魔力暴走も起きていると理解し、そう推測する。
どうにかして、止めなければ。
だが、彼女は止まる事はない。
そうして作られる血の剣。
直後フローアクアに繰り出される。
「っ!重いっ…!」
即座に防ぐが、その威力の高さに驚愕する。
少し下がり、なんとか受け流せた。
だが彼女の攻撃は終わらない。
再び剣が振られる。
「くっ、知り合いと戦うのはあんまりしたくないんだけど、ねっ…!」
だが、今はどのみちやらなくてはやられる。
「…!っそこっ!“流突”」
ここで連撃の隙間に剣による強力な突きを放つ。
だが、当然避けられる。
でもそれは想定通り。
連撃が一度止まる。
その隙に、ここで攻勢に出る。
「“雨霧”」
雨が降り、フローアクアの姿が消えた。
気付く時にはクローバーの後ろ。
剣と剣が交差する。
防がれたが今度はフローアクアの方が優勢だ。
続けて攻撃をしようとした時。
「…っ!」
血の茨が現れた。
見ただけで分かる。
あれは巻きつかれたら終わりだ。
慌てて距離を取って回避する。
さてどうするか。
処理がかなり面倒。
しかも、守るように展開されている。
ここままだと近づけない。
「砲撃準備完了〜。“撃て”」
その時、1つ声と共に1発の砲弾が飛んでくる。
クローバーには防がれたが全ての茨を爆発と共に一掃した。
「これは…ラミちゃん!」
「まったく行動が早いんだから…。」
どうやら追いついたようだ。
「まさか魔女が四条ちゃんだとはねぇ…。」
昨日感じた嫌な予感はこれだったか。
「2人で勝てる?」
「正直厳しいね。魔女化前ならワンチャンスもしかしたら、だったんだけど。」
魔女化すると魔法が強化され強くなるから。
まぁ、それだけではないのだけれど。
「‥なら、時間稼ぎ?」
「そそ、既に協会に連絡もしたから。最低でも5分から10分。それまで上手く抑えよう。」
格上相手にカップ麺を作って食べ終わる事まで出来る時間を耐えるのはかなりキツいが。
だが、方針は決まった。
後は、やるだけ。
「……。」
先程と同じ様に血の槍や剣が繰り出される。
「…っ!はぁぁぁぁ!」
フローアクアはそれら全てを剣で捌き切る。
だが、血の茨が襲いかかる。
「させないよ〜?“砲撃”!」
それらはラミリアが抑える。
カバーは完璧だ。
暫くその攻防が続いた後、埒が明かないと理解したのか1度攻撃を止め、クローバーは少し下る。
そして、手を上に向けた。
魔力が、収束する。
「…っ来る!」
血の雨が、降った。
ひと粒の水滴並に小さく、しかし地面に落ちると穴が開く程の威力。
人なら容易に貫通する血死の雨だ。
しかし、
「“水青の天幕”」
フローアクアはラミリアのある場所まで覆う水の膜を作り出す。
幸い、血は液体。
水ならば相性が良く、無効化しやすい。
とは言えそれでも幾つか貫通してきている。
長くは持たない。
だからこそ、今だ。
「“爆撃強化”“貫通強化”そーれ行けっ!」
付与の支援魔法を自らに行い火力を強化。
ラミリアの砲撃がクローバーに向かう。
クローバーも血の壁で防ごうとするが彼女の強化した砲撃は元A級魔法少女の防御すら容易く貫通させる。
命中。
そして爆発と共に大きく吹き飛ばされていく。
「ラ、ラミちゃん…!」
「知ってる。でも下手に手加減したら死ぬのは私達だよ?やるしかないんだって。」
「そうだけど…でも流石に。」
「あれじゃ死ぬ事も無いよ。壁が壊れた後即座に避けれないと理解して当たる直前に魔力を纏い防御力を増やし、更に咄嗟に後ろに飛んで衝撃を少なくしてた。あれじゃまだ打撲程度だよ。」
腐っても天才。
判断力が段違いだ。
「そんな早業を…。」
「アレはそういう“天才”なの。迷ってる暇なんて無い。全力でやらないといけない。おけ?」
「…わかった。ひとまずはそうする。」
色々と思う所はあるけど。
取り敢えず吹き飛ばされた方向に向かう。
学園を超え、場所は街中、広い交差点の中央。
「ここは…まずい、かも…。」
ここは人が多い。
(やらかした。しかもこんなに人が集まってる。こっちに飛ばすべきではなかったな〜…。)
絶対被害出る。
上手くいけばどうにかなるかもしれないけど、相当可能性は低い。
それに、まだどうしても1つ、大きな不安材料がある。
それは、
(彼女はまだ“魔女の力”を使っていない。)
魔女化した事で新しく得た力。
何の能力、魔法なのか完全に未知数、故に何があり得るか分からない。
もし、広範囲攻撃系や対複数人数に適している能力なら最悪とも言える状況…。
……もしかして。
この展開を狙っていた…?
だったら、あえてここに飛ばすように誘導されたの…?
あーあーどんどん不穏してるなぁー