開かれた理、閉じた崩壊、そして少女は…
たま〜にタイトルをオシャレにしたくなる時がある。
これはなんかそこまでな気もするけど。
ーー意味が分からない。
彼女から溢れる力の波動を感じて思った言葉がそれだ。
明らかに人の理解を超えている。
その性質も、量も、扱えている事も。
でも、覚えがある。
アレは、クソッタレな技研の狂人どもが究明しようとしていたモノと同じ。
唯の少女を非道な実験に巻き込む最悪に狂った研究。
確か…
-Esoteric Pervenire計画-
そんな名前だった気がする。
でも、アレは研究中の事故で魔力汚染が広がり組織ごと壊滅。
その計画は中止となった。
残ったそれを知る他の裏組織もあの調停者が殆ど潰して回った事によりもう無い筈。
それ以外も極力あの力に興味を持たせないように色々していた。
まさか、まだあったと言うのか?
残党どもが。
でも、疑問もある。
なぜその力が使えるの?
普通、体が崩壊して消えていく筈なのに。
あの技研ですらそれをどうにかする事は不可能だったと言うのに。
いや、ちょっとまって。
今使えている、って事はあの実験を彼女にしたって言うの?
あんな…狂気の沙汰、人の尊厳と道徳を纏めて核融合炉に投げ捨てた様な、邪悪の頂点の如き実験を。
魔法少女の最上位級にそれなりに長くいて、比較的こういうの、つまり裏事情をよく見て来た私ですらあまり思い出したくも無いのに。
そんなの…
一体、彼女は何をどこまで経験して来たんだろうか。
それを知るのすら怖く感じて来た。
でも、そうなら、彼女が白髪の理由も理解できる。
しかしここでまた新たな爆弾が。
「はっ?あれは…、は、ね…?」
彼女の背中から片方羽根が生えた。
まるで天使の翼の様な…。
何あれ。
あれは、知らない。
完全に未知の事情。
片翼だけってのが少し気になるけど。
例の力の副産物なの?
それとも…。
そう私が驚愕と思考に耽っている間にアリウスは凄まじい弾幕を放っていた。
全て例の力が込められている。
既に色々おかしい。
いや、使えるのは兎も角、その膨大な魔力も例の力の量もどう考えてもおかしいでしょ。
そして、少しの弾幕戦の後、内部コアに命中し、魔物は消滅した。
ええ……倒せちゃってるし…。
S+討伐とか私も数える程度しか無いのに。
しかも数人で戦ってなのに。
でもこの力の量ももしかしたら“そうなる様にされた”かも知れない。
少し、推測する。
私が考察したアリウスの境遇が合っているなら。
私が、私達がすべき事は、きっと…。
より対応を考えなければ。
きっと彼女は孤独なのだから。
せめて、私達が何か出来れば良いのだが。
ああ、でもまずは。
あの力についてなるべく警戒されない様に聞かないと。
秘深に、至る。
さて、そろそろ第一章も多分残り数話かな。