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宇宙創記ドミナントレガシー  作者: ZINDUSTRY
第一部
6/29

【EPISODE5 MYWORLD(マイワールド)】

●配役表


ベリオ♂:

ラプラス♂:


フラワ♀:

ネリル♀:(※フラワと兼ね可)


ディール♂♀:


●男女比率

最小4人【♂2・♀1・不1】

最大5人【♂2・♀2・不1】




ディールN:...朝の04:00(フォーゼロゼロ)に、フラワさんから連絡を受けた。

フラワさんが死亡時の立会いデータを提出してくれたおかげで、事件性の有無の調べ、葬式への調書は存外淡々と行われた。

...死因は、老衰だったらしい。

急激に回復のような兆しを見せて、急激に容態が悪化するのは、ない話ではないとフラワさんが肩を落としていた。

ベリオさんは泣き疲れて眠ってしまっているようだ。

ベリオさんの上司からの鬼のような電話には、フラワさんが一喝して休みをもぎ取ったらしい。

思えば、僕の周りの女性は強い人が多いものだ。


....そんな冷静な自分に少し驚く。 いや、冷静ではないんだろう。

心にぽっかりと穴が空いて、連絡がきた直後から2時間ほど涙を流した。

しかし、もう流す涙もない....というのが正しいのだろうか。

流す涙もないほど泣くと、...語弊を恐れず言うと、気分はとても晴れやかだった。

母さんは、熱く、太く生きた。僕が幼い頃から、いや、きっと.....

宇宙で人々と共に生きるとNOAHノアでの生活を断った時から。

母さんの熱は、胸を焦がすほどのものだったのだろう。


ディール:.....ダメだな。 出し切ったはずと思ったのに。

........涙というのは、全く。...........母さん。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


<葬式が行われているムロウル家。葬式の手順は慎ましく行われ、棺への別れの挨拶が終わる。>


<場面が変わり、ムロウル家の横の土手のような場所で一人座って空を見て居るベリオ。

その彼の背後から声をかける黒いスーツを着用しているフラワ>


フラワ:....スーツ、持ってたのね。


ベリオ:冗談を聞く気分じゃねえんだ。...上司に泣きついて貸してもらったヤツだよ。


フラワ:私たちにはやることがまだ残ってる。


ベリオ:....逆だ。何も残ってねえ。


フラワ:ふざけないで。承認された書類のバックアップデータが消えてるの。

OBLOMについての資料がごっそりとラボのデータベースから消え、セントラルのデータベースにも残っていない。

フィオナさんが亡くなってからの出来事よ。

...“OBLOMが人体に効く”というデータが忽然と姿を消し、OBLOMへの承認の話もいつの間にか立ち消えている。

....そのまま父さんの権限でラボの議事録を覗いたら、不自然な点が見つかったのよ。


ベリオ:.....だったら何だよ。フィオナさんの居ない今、OBLOMについて何を調べんだよ。

それをやればフィオナさんは生き返んのか?


フラワ:ッこの.....!!! 失ったのは自分だけだと思ってんのか!!!

喪失感そうしつかんや無念を味わったのはアンタだけだとでも思ってんの!?

そうやって自慰行為に耽ってれば誰かがアンタの“次のおば様”になってくれるなんて思ってないでしょうね!!!!


<胸ぐらをつかむフラワ>


ベリオ:....ひょっとして、発破かけようとしてんのか? ...離せよ。


フラワ:....呆れた。私に言い返す事すらできないのね。


ベリオ:お前に何か言い返してフィオナさんは生き返んのかよ。

....意味ねぇ事、したくねぇんだよ。


フラワ:.....もうアンタには会わない。

そうやって一人甘え続けて...。衰弱死すればいいんだわ。


<そう言ってベリオの胸ぐらを乱暴に離して。

尻もちをついても上を見上げようとしないベリオ。

尻もちをついたベリオにフラワは書類を投げつける。>


<その書類を拾い上げて読み始めるベリオ。>


ベリオ:.....「OBLOM鉱石の人体適用についての危険性レポートに対する追及却下承認」

..... 「OBLOM研究の予算打ち切り決定案」.....「OBLOM保存データ破棄承認」......



...........「決定責任者」.......。



「テンペスト・ラプラス」......ッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


<1年後。階級が上がって更に多忙になったディール。

対してセントラルの軍事基地局の副所長として働いているフラワが久しぶりにカフェ SeaCleにて紅茶を嗜んでいる。>



フラワ:...お互い、順調なもんね。


ディール:久しぶりにスケジュールが合いましたね、フラワさん。


フラワ:......1年経っても、未だに慣れないわ、この静かさ。


ディール:一目で理由は分かるんですが。....言葉にすると、一際重たいですね。


フラワ:......ベリオがいなくなって1年。ね。


ディール:...そして、IOPLANETのNOAHZの統括すら任されているラプラスさんが謎の失踪...。


フラワ:....偶然かしらね。


ディール:明確な関わりは見えません。

...しかし、セントラルエジソンの雰囲気も何かおかしいというか。

物資の輸出入のバランスが崩れているんです。

輸出の量が異常に多くなっていて.... 何に備えているのかも不明瞭なんです。


フラワ:........ん。 ここのコーヒー、少し苦くなったわね。





<場面は変わり、セントラルエジソンの軍事基地局の封鎖となっているデータバンク。

暗く、時折ランプの明滅するサーバーが列となって並ぶその奥に向かって歩くベリオ。

奥に到達するときゅいん、と音がして扉が開く。>


ベリオ:....クソッ。ここも外れか。


<小さくつぶやくベリオ。>



ラプラス:......いや。当たりだよ、ベリオ君。


<がしゅん、と音を立てて再び扉が開く。背後からかかる声に振り向くベリオ>


ベリオ:.....テンペスト....!!!ラプラス......!!!!!


ラプラス:ここに最後のOBLOMの研究データが有る。

そしてここはオンラインではなくオフラインでデータを管理しているうえ封鎖もされている。

データの完全な破壊には直接足を運ばざるを得ない環境である....よく突き止めたね。


ベリオ:なんで......


ラプラス:ふむ。何かな。


ベリオ:なんで!!!!!!オレを騙した!!!!!!!


ラプラス:騙してなどいない。実際、OBLOMについての研究は進んでいたし、承認も行われていたろう?


ベリオ:....っぐ....!!!


ラプラス:“不運にも”、OBLOMについての研究は資金面や技術研究における人員の確保が難しく凍結という結果になってしまったがね。


ベリオ:フィオナさんが亡くなったその数日後にプロジェクトもすべて凍結、残ったデータもすべて削除されているのも

....偶然だとでも言うのかよ!!!!!


ラプラス:......恣意的(しいてきな意見だね。

IOPLANETにおける死人は毎日10人ほどだ。

誰かが亡くなった直後に廃案とその記録が削除されるという可能性はむしろ常に存在するものだ。

...身内の死後にOBLOMのデータが削除されるという事例は低確率であるとはいえ......

“偶然では無い”と断ずるには少々根拠に欠けるのでは?


ベリオ:詭弁だ!!! オレとNOAHZまで出頭しろ...ッ、 法の場でオレと戦え!!!!


ラプラス:...私には....というより、この大地はもはや時間がない。

そのような無駄な時間はわたしは持ち合わせていなくてね。

それに......提出された書類によると、君の保護者にあたる...

“ムロウル・フィオナ”なる方は、コールドローズ症により眠るように亡くなったというデータが出ているが?


ベリオ:.....何が言いてえ。


ラプラス:“『楽になれた』のでは”?と言っている。


ベリオ:き......ッ、さ、まぁあああああああああああああああああああああああ!!!


<扉が開いて拳銃を構えた女性が飛び込んでくる。>


ネリル:大佐!!!!


ラプラス:慌てるな。.....武器を使うまでもない。


ベリオ:ぐううッ!


<直線で突進をすると背中を掴まれ、地面に押しつぶされるように叩き伏せられるベリオ>


ラプラス:ベリオ君。暴力で思いを伝えたければ弱くてはいけない。

私に立ち向かうのならば特に。

私の居る世界では君のような拳は認識すらされない。

分かるかね、ベリオ君。拳で思いなど伝わらないのだよ。

拳が可能に出来るのは、自分の“エゴ”を押し付ける事だ。

拳で思いが伝わるなら、何故我らはスペリオルに乗るのか?ふん!


<何発も何発も、顔面に拳を叩き込まれるベリオ。>


ラプラス:ベリオ君。私はね。元来暴力が嫌いなんだよ。

殴り合いでは特にね。理由は相手を殴り倒しても、手に不快な感触が残るからだ。


分かるかね? このように君の顔面を殴り倒し、優位にいるはずの私の手に飛び散る血.....手に残る肉を打つ感覚。


劣る存在が!優位に立つ人間に!!!淘汰されている時にすら不快な感覚を押し付けてくる!!!!!


........なんという傲慢(ごうまん!!!なんという不遜ふそん!!! そうは思わんかねベリオ君!!!!!


無能な人間ほど威嚇を用いて!!!非力な人間ほど暴力に訴える!!


それらは群れ、互いの傷を舐め合い...

限られた資源が加工され、それを口に含んだ親鳥が口移ししに来るのを無気力に口を開けて待ち続けている!!!!


“優れる”という事と自分以下の人間を携える事を同義と捉える愚かな人類共が!!!!


足を引っ張り合う事と共存を同義と捉える愚かな人類共がッッ!!!!


媚びを売る事と生存を同義と捉える愚かな人類共がぁぁぁぁッッッ!!!


拳を振るうとはこういう事だ!!!

生半可な手段で想いを察してほしいなどという児戯じぎが.....ッ、私に通用すると思うなッッッッ!!  

圧倒的な武力を、垂れ流さぬよう!!!

最小限の痛みで済むように導入する!!!

力を持つものが最後に求められるのが“加減”である事に....貴様ら弱者の様に我らは不満を垂れないッッッ!!!

歩みを止めず視線を上に向け続ける我らこそが!!!!

正義であり!!!真実であり!!!!

人類の暗い闇の旅路を導く!!!!!!

唯一の羅針盤の針となるのだああああああああああああああああああッッッ!!!!


<そう叫び、ベリオの鳩尾を蹴飛ばし、横に転ばせる。>


ネリル:大佐。....頃合いかと。



<ハッとした様子で拳を止め、ゆっくりと立ち上がると襟を正し、ハンカチで手をふく。>


ラプラス:ふーーーーーッ。ふーーーーーー....ッ。 失礼、取り乱したね。

...しかし、私が立ち向かうべきもの。背負うもの。見据える先。

全てが君の想像できるような範囲にはとうに無いものなのだよ。


ネリル:大佐。....午後には会談のご予定が。スーツを替えられるとよろしいかと。


ラプラス:では、手早く済ませる。....華美かびなものでは心象が悪い。暗い色の物を頼む。


ネリル:承知しました。...では、“手筈”の通りに。


ラプラス:ああ、頼む。


ベリオ:に........


ラプラス:....敵を前にしての気絶を精神のみで拒むか。.....おとこ、だな。


ベリオ:....げんな......................ひきょ.......う......もんが.........................。



<顔を近づけてベリオの耳元で囁くラプラス>


ラプラス:.....人類の向かう先。そして、最適解。

白いままの地図に対して、ペンを握る人間。

“冷たいバラ”の真意。....君の名字がない理由。

NOAHはすべての答えを持ち君を待つ。

...君を連れていく事は出来ない。...ただ、NOAHを目指せ。

そして、これだけは覚えておきたまえ。

このIOPLANETに残された余生は、長くはない。離脱を考える事だ。ネリル!


ネリル『了解、大佐。』


<ごごごごごぉん、という地響きと轟音。次の瞬間、天井が崩れて巨大な手がぬうっと現れる。

胸元にNAZ-24と刻印されたランドスタッドが立っていた。

胸元のコックピッチハッチが開き、ロープが下りてくる。>


ラプラス:サーバー群は破壊したか。


ネリル:『物理的に潰して破壊した後に微量の電磁発生ビーズを散布しました。

電磁情報の保存も、物理的な情報も閲覧できる状態では到底無いかと。』


ラプラス:...そうか。では...出せ。


ネリル:『了解。離脱します。』


<そう告げてラプラスがコックピットに入ると同時にスラスターを吹かして離脱するスペリオル。>



ベリオ:わ.....り......、ディール.....フラ...ワ........




<場面が変わって、とある病院の病室。>



ベリオ:ん.....。


<ゆっくりと目を開けるベリオ>


ベリオ:ここは.....っぐ!!



ディール:肋骨粉砕骨折ろっこつふんさいこっせつ


ベリオ:....あ?


ディール:両靭帯剥離骨折りょうじんたいはくりこっせつに、左腕さわん粉砕骨折ふんさいこっせつ


ベリオ:....ディール。


ディール:顔面内出血多数がんめんないしゅっけつたすう、金属の粉塵ふんじん多量吸引たりょうきゅういんによる気道の炎症。


ディール:....よくもまぁ、こんな大怪我で生きてましたね。普通は死んでるんですが。


ベリオ:......運が良かっただけだ。。


ディール:.....ベリオさんの居なかった間の話をしても、良いですか。


ベリオ:....。


ディール:ベリオさんの居ない一年間で、ムロウル家の軍事基地局雇用ぐんじきちきょくこようは停止。

イーストダーウィンの市民の生活水準は大きく下がりました。.....たった1年。

たった1年でイーストダーウィンの工場に捨てられる児童は飛躍的に増加しました。

ベリオさんの建てた孤児院が無ければどうなっていたか。


.....僕は、根本の問題を解決する事が何よりも重要だという考えは...今でも変わっていません。

....ただ、現状に対応する事も同じくらい必要な事なのだと、痛感しました。

...今の僕は、屍の上に立つ覚悟が出来ていないだけなのかも...知れません。

でも。 屍ではなく、人の上に立つには。

いや,,,,人と共に生きるという事は。

未来のみを見つめる事ではないのだと...強く...強く、認識した1年でした。

そして、同じくらい....あの日、ベリオさんについていかなかった事を、この1年間、毎日後悔していました。

....殴られても、文句言えませんね。


ベリオ:...オレが安静必須のケガ人だって分かってて言ってんだろ。...殴らねえよ。


フラワ:おら。


<透明なビニール袋に入っているバナナをベリオに投げて渡すフラワ>


ベリオ:おっ.....痛ッッッッッッて~~~~~~~~~~~え!!!!!!


<手の甲で器用に受け取りながら痛みでびりびりびりびりびり、と体を震わせ>


フラワ:どっから声出してんの。....死んだかと思ってたんだから。


ベリオ:.......死なねえよ。死なねえ理由が出来たからな。


フラワ:腕と足変な方向に曲げて顔を二倍くらいに腫らしたアンタが搬送されてきたらそりゃ死んだと思うでしょ。


ディール:病室で連呼する単語としてはふさわしくない単語が多いですね。


フラワ:...で、これからどうすんのよ。


ベリオ:NOAHに行く。


ディール:......やはり聞きますが。....何故ですか。


ベリオ:......深くは言わねぇ。....っつうか、オレにも詳しいことは分かんねえが。......テン兄に会った。


ディール:!!!!!!!!!!!


フラワ:.......ッ!!!!


ベリオ:.....何も変わってなかったよ。見慣れねえ女が横に居たけどな。

でも....でも、いや....また、届かなかった。歯も立たなかった....。


ディール:歯も立たなかった...って....。


ベリオ:....テン兄にボコられた後、女がスペリオルでオレの居た場所をブチ抜いて...テン兄を連れてった。

...んで、言われたんだ。


<回想>


ラプラスN:NOAHはすべての答えを持ち君を待つ。

...君を連れていく事は出来ない。...ただ、NOAHを目指せ。


ラプラスN:このIOPLANETに残された余生は、長くはない。離脱を考える事だ。


<回想>


ベリオ:“NOAHに来い 全ての答えが君を待つ”...ッて。

“冷たいバラ”の真意に...白いままの地図?...とか言ってたな。

あと、“IOPLANETの余生は短い”...とも。


フラワ:真意が不明瞭な表現ね...。

でも、冷たいバラ...。コールドローズ症の事でしょうね。

コールドローズ症についての情報を抹消した彼なら、何かを知っている可能性は高いわ。

.....“白いままの地図”....に、“余生”.....?


ディール:...IOPLANETは巨大ではあります。

NOAHからも人員は比較的多く割かれ...長期維持を目的としたコロニーのはずですが。

余生...“白いままの地図”.....?


ベリオ:考え込んでもしょーがねぇ。....オレはNOAHに行く。

......余生ってのは気になるが、まあ、しばらくIOPLANETから離れててくれ。

オレが今度こそテン兄ぶっ飛ばして、全部説明させる。

IOPLANETの謎を、すべて説明させて。IOPLANETの人々を救ってみせる。


ディール:.....ですって、フラワさん。


フラワ:バカが頭使うとろくなことになんないわね、ホント。


ベリオ:っっんだと!! もうお前らを巻き込めねえつってんだよ!


ディール:...NOAH本部によるIOPLANETについての情報の提出要請がここ一年で異常な数なんです。

...それに加えて、IOPLANETの“余生”という単語....。

まるで死にゆく故郷から人々が逃げていくかのように....。

この言葉は比喩ではありません。

セントラルエジソンやイーストダーウィンの上級役員がここ2か月で転勤に異動...と、少しずつですがIOPLANETからの離脱が確認されます。

....情緒のある街並みと人々との距離の近い市政で知られるウェストホーキングの代表ですら

ほぼ無連絡でのNOAH異動でIOLANETを後にしています。


フラワ:加えて、指数関数的に増加しているコールドローズ症の患者。

全てが40代後半を中心にした人間....。

もはや何かの関連が有ることは決定的。

...そこに、ラプラスの発言。

あんたがそこまで全身ぼろぼろにして嘘をつくわけでもないだろうし......。


ディール:僕も、ベリオさんについて行きます。

もう......前進を躊躇いたくない。後悔をしたくないんじゃない。

前進するという意思を、殺したくない。

真実を暴いて...IOPLANETの上層部を1から作り直す。


フラワ:あたしもついてく。NOAHにあるとされる18次元型演算処理記憶装置「H.U.M.A.Nヒューマン」を奪取するの。

....失敗しない経済を計算する。

そして完全に人間をデータ化して、人体実験の必要のない世界を作る。

....勘違いしないで、ベリオ。貴方に心を打たれたから、なんて1ベーゼにもならない曖昧な物じゃなく。

明確に目標を持って向かうの。...むしろ、アンタを引っ張って連れてくつもりだったのよ。

...さ、移動するわよ。見せたいものが有るの。


ベリオ:んあ?いや無理だよ。一か月の要安静だぞ!

いやちょっと!ベッド無理やり動かさないで!!あっ点滴抜けた!!血出てる!!!


<看護婦がベッドの周りを取り囲む。暴れるので点滴が抜けたりしながらもベッドがガラガラと音を立ててランドスタッドドッグに運ばれていき。>



ベリオ:これは......。


<目の前に広がるのは、まるで巨人の人体模型。鉄鋼により組まれた骨格。

血管の様に張り巡らされた絶振動コーティングされたケーブル。NAZ-24と刻印のされた頭部をペイントで塗りなおしていく作業員たち。

ふと見上げると、軽く顎を引いたような体勢のその巨人と目が合う感覚に陥る。>


ディール:僕の瞬間記憶で、設計図を記憶。メカニックさんと組み上げたんです。

コアの動力演算システムと物理計算システムのみ、“拝借”して作り上げました。


フラワ:爽やかにあたしたちも行く!なんて言ったけど、要するに宇宙法の反逆項目のぜ~んぶの文字に違反する行為ですもの。

この1年間、ぼーっとしてたわけじゃないのよ。

戦闘行動が起きてもいいように....最後まで、抵抗できるように。

ディールにスペリオルの設計図をそっくりそのまま覚えこませて、

ランドスタッドを三機と、IOPLANETに起きている異変を私の知り合い、ディールの友人...

主にランドスタッド工業や軍事基地局関係に共有したの。

それで、レジスタンス....って訳じゃないけどね。

NOAHに殴り込むための集団を作った訳。


ディール:「AIM.FOR.STARZ」(エイム・フォー・スターズ)。

ベリオさんの様に、僕たちも上を向いて走り続けられるように。

ベリオさんの背中を見て、僕とフラワさんとベリオさんで作ったチームです。

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