【EPISODE2 YOUTH(ユース)】※未編集 文章グチャってるので工事中
●配役表
ベリオ♂:
ラプラス♂:
フラワ♀:
ディール♂♀:
●男女比率
最小4人【♂2・♀1・不1】
フラワ:『....腐れ縁って恐ろしいのね。あいつの為になんでこんなとこまで...』
フラワ:ほら、来たわよ。
ベリオ:よおー
フラワ:ヨオーじゃないわよバカみたいな声で。
私は忙しいの。分かってんの?
ベリオ:どれくらいだよ。研究所ったってそんな激務か?
デスクワークだったら時間ぐらいあんだろ?
フラワ:呆れた。アンタ石の通貨でも使ってんの?
宇宙に人類が出る前から研究職は貧乏暇無しで有名なんですけど。
アンタに分かりやすく言うと...神経反応速度理論のレポート100枚分のデータをまとめないといけないぐらい忙しいんですけど。
ベリオ:ホオ。100枚分ってとこだけ分かった。
フラワ:.....で? 何? 成功するナンパ術でも知りたいわけ?
ベリオ:いや。IOPLANET周辺宙域のOBLOM鉱石が欲しい。
フラワ:.......。
ベリオ:IOPLANET周辺宙域の
フラワ:聞こえてるわよ。
ベリオ:...イヤ、なんつーか...新しいビジネスを始めたくてよ....
た、高く売れんだよこの鉱石っつーのがよ!
フラワ:アンタにしちゃよく調べてんじゃない。
一般的な情報公開はされてない筈だけど。
ベリオ:そーーなんだよ!
コイツはとにかく新発見された直後で、何に使うかはよくわかんねーけど
フラワ:コールドローズの特効薬。
この鉱石をどこで知ったかは知らないけど...、かねを
フラワ:どうやって。いつ。....そして、“何故”なの?
ベリオ:.....コールドローズ病を治す。
フラワ:...!!! ..ご立派ね。
このコロニーを脅かす大病を排除したいなんて。
....アンタはそんな大義を掲げるような人間だったっけ?...っていうのは置いておくわ。
そして、それを聞いて私が出した結論、聞きたい?
ベリオ:...おう。
フラワ:そ。じゃ遠慮なく。
...私の意見は絶対に不可能理由は二つ。
宇宙法第24条第1項、宇宙資源回収区域規定。
民間/企業を問わず、NOAHでの承認が必要。
そして、承認はNOAHの中央部でのみ行われており、実質NOAHの息のかかっているであろう大企業しか資源回収は行えない。
次に手段。問題は“採掘方法”。
NOAHZで採用されている多角宇宙作業人型ユニット...スペリオル、だったかしら?
全コロニーの中央区で採用されている機体でさえ、採掘が行えないほどOBLOM鉱石は繊細で、不安定。
そんな鉱石を採掘する程の精密な動きが出来る機体は...まだ民間には存在しないの。
ベリオ:.....分かった。
フラワ:アンタが柄にもなく人助けをしたいって言いだしたその点は認めるわよ。
成長したのね。
ベリオ:....変に思わなかったのか?こんなこと急に言い出すなんて...。
なんか裏に目的があるんじゃないかとか...、例えば金儲けしたいんだろう、とか...。
フラワ:.....最近アンタの名前で薬品発注が有んの。
新開発されたコールドローズ症への鎮痛薬。
ベリオ:...!何で知ってんだよ..!
フラワ:さてね。ただ、私の実家は重工業専門の研究所で...人体への投薬や手術による機体との同調率の向上や安定を研究してるの。
薬品の受発注をウチの研究所で一括で行うためにセントラルの薬品流通はウチがちょっと前から管理する事になった。
....当然、情報は膨大。
セントラルの住人が消費する薬物の履歴から貴方だけを見つける事なんて出来ないわ。でも....
ベリオ:....。
新開発の薬品を個人で購入しているのはごく少数....ってか。
フラワ:理由が有るんでしょ。
私にも話せないくらいの。
ベリオ:...話すさ。
フラワ:辞めてよ。
まるで私が“協力する”って言ったみたいじゃない。
ベリオ:聞いてくれないのか?
フラワ:........取り合えず、聞くだけよ。
ベリオ:....<少しだけ微笑む>
ありがとな。
....聞いてくれと言っておいてなんだが....
他言無用で頼む。フラワにしかまだ言えてねぇんだ。
フラワ:随分勿体ぶるのね。
ベリオ:....フィオナさんが、コールドローズ症だ。
フラワ:.............................そんな。
ベリオ:痛みも増してきてる。
でもフィオナさんは入院もしない。
貧困に喘ぐこのコロニーの人たちの為に....工場やスラムに捨てられるガキの為に寝てられねえって。
ディールにもオレにも言わずに....安い薬で痛みを誤魔化してたんだ。
でも....
フラワ:....。
ベリオ:...見ちまったんだよ。
日の差した昼に、コートを着てるフィオナさんを。
....布地の裏側には、熱発生シートがびっしり貼られててよ。
....フラワも知ってんだろ。俺はフィオナさんに最初に拾われたガキだ。
そこからフィオナさんは子供の為の献金や施設建設の為に走り回ってる。
...身体に鞭を打って、人助けの毎日だ。
そんなフィオナさんを見て、のうのうと生きていられるほど俺は図太くも...強くも無ぇ。
......頼む。
フラワ:
ベリオ:“出来ない理由”しか口にしてない。“諦める理由”にはならねぇよ。そうだよな、フラワ。
フラワ:....何言ってんのよ、そもそも医者でもないあんたが何で急に
ベリオ:ディールのお母さんは。
フラワ:....!!!
ベリオ:フィオナさんは、目の良い人だったんだ。ディールも同じに目が良くてな。
そんなフィオナさんが、言ったんだ。「貴方の笑顔がかすむ」って。
フラワ:...ベリオ...。
ベリオ:フィオナさんは凍えながらもオレに生きていくとはどういう事かを.....未だに教えてくれる。
...時間がないんだ。計画を立てる必要がある。
....そしてこの計画にはもう一人、ディールにも参加してもらう。
フラワ:…あのね、流石にそんなこと無理に決まって(途中で台詞が遮られるように)
ベリオ:そこで!! フラワとディールには、脅されてもらう。巻き込まれてもらうんだ。
OBLOM鉱石独占を目論む犯罪者によって無理やり作業をさせられた形を取る。
フラワ:バカなこと言わないで。
なんでそんなメリットも何もない....いえ、そんなことより、犯罪者って....どういう事よ。
ベリオ:オレが、首謀者だ。
フラワ:....ッ!
ベリオ:オレが、二人を脅す。“という体”を取る。
宇宙法において罰せられるのは俺だけだ。
OBLOM鉱石は採取と同時に絶振動ボックスに居れてから宅配ボックスのラベルを張って....
セントラルエジソンのスペースエキスプレス船に紛れ込ませる。
搬入口にドローンで紛れ込ませて...、行き先はフラワの父さんのラボにすればいいだろう。
そして、“どうやって”の部分だが.....。
フラワ。“非公式の機体を含めた”場合、精密削岩の出来る機体が一つだけ、あるよな。
フラワ:.................何故、
ベリオ:『知ってるのか』、だろ?
オレは軍事産業維持部の弾頭開発部の“囚人”だ。
発注される弾薬の種類や発注先の情報は上司の机を見れば盗み見れる。
ベリオ:最近、NOAHから妙な発注があった。
ナパーム弾、徹甲榴弾、ホローポイント弾に電磁障害弾。
これらの弾丸はすべて特殊作戦に用いられるものだ。
だが...スペリオルの使うライフルとの互換性はない。
スペリオルのライフルでは、これらの弾丸を射出するだけのバレル(銃身)が短すぎる。
必然、巨大なスナイパーライフルに似た銃器でないと射出は無理だが....
スナイパーライフルの設置、リロード、弾種変更には現行のスペリオルではまだ研究段階の動作だったはず。
“これらはすべて精密作業”だからだ。
フラワ:...それで?
ベリオ:まあ聞けよ。
戦闘においての狙撃は迅速で正確である必要があるからな。
下手するとスナイパーライフルの設置、エイミング、射撃、リロード、移動、
全ての動作がスペリオルの何倍もの精密な動きを必要とされるはずだ。
....そして極めつけに発送先の欄に「セントラルエジソン区 軍用重化学研究基地局(M.H.C.R.B.B アルファベットは読まずに)」の記載...。
フラワの父親の運営するラボだ。
そして、さっきの「何故」、のセリフ。
教えてくれ。お前のところで何を作ってる。
フラワ:.....イヤな男。 必死な時だけ頭が回るのね。<そう言って胸元のジッパーを下ろす>
ベリオ:うおおおおどした!?!?!?!スマートなオレの一面を見て発情!?!?!
フラワ:キモ。量子物理学的にゼロパーセントな事言わないで。 .....“これ”よ。
ベリオ:めちゃくちゃゼロじゃん.....。って、どれどれ....。
<彼女の首の付け根の中央。そこには銀色の円状のパーツが取り付けられているように見えて>
ベリオ:.................見えないおしゃれみたいなこと?
フラワ:し!!!ん!!!け!!!い!!!ゆ!!!に!!!っと!!!
ベリオ:しんけいゆにっと?......神経ユニット....!
フラワ:セントラルエジソン 軍用重科学研究基地局のシークレットプロジェクト。
超精密行動用ランドスタッド「CONTROL」...通称CT。
そのファーストテストパイロットがあたし。
この胸のコンセントはCTの神経操作ケーブル接続口。
....早い話、娘の体でテストすれば表に漏れず、失敗しても隠ぺいが容易、上手くいけばラボのマスコット。
ノーリスクハイリターンのモルモット、ってとこかしらね。
ベリオ:ランド…スタッド…?
フラワ:そ。大地に立つ者…、LAND STANDが訛ってこう呼ばれてんの。
スペリオルだって公称は多角戦略作戦ランドスタッド スペリオルなんだから。
…知らずにここまで嗅ぎ回ってたの?
ベリオ:…いや、呼び方なんか誰も教えてくれねぇし…
フラワ:…ま、褒めたげる。推理自体はお見事。それで?いつ私は“被害に遭う”のかしら?
ベリオ:協力するって、言ってくれりゃいいのに。
フラワ:うっさい。…あ、あと二つ質問いいかしら?アンタは拒否は出来ないけど。まず、
私はいいとして。ディールを巻き込む理由が見当たらないわ。
ベリオ:いい質問だな。流石理系。
ま、簡潔に答えると....ディールの目と耳が要るんだ。
CTのモニターじゃOBLOM鉱石の偏光電磁波のせいでどれがOBLOM鉱石なのか特定できない。
だからディールの目で目視して削岩の位置を特定してもらう。
アイツの視力は滅茶苦茶高いからな。
んで、削岩中にディールの耳を使う。
OBLOM鉱石は振動を加えられて爆発する兆候を見せた時に高周波を発するんだ。
それをディールに耳で聞き取ってもらって、危険を回避しつつOBLOM鉱石ゲットってわけ。
安全に、確実に、大量にゲットしてえからな、どうせなら。
フラワ:...二つ目。ディールは、お母様の容態を把握しての事なの?
ベリオ:...フィオナさんは、ディールにコールドローズ症なのを隠してる。
,,,,オレにも隠していたさ。
フィオナさんが体調を崩しはじめ...今思えばコールドローズ病の初期症状だったんだろうが。
...オレがお節介にフィオナさんにこっそり花と薬を届けに言った最初の時に、医者との会話を聞いちまうなんてこともなかった。
....フィオナさんが自分をコールドローズ病のサンプルとして“自分を”捧げるのを...オレが、止めてんだ。
鎮痛剤と花だけを届けて、何も知らないディールに心の中で謝りながら。
フラワ:...フィオナさんの選択を、貴方が塞いでいるようにも見えるわ。
ベリオ:...そうさ。塞いでいるんだ。
フラワ:.....。
ベリオ:オレにディールの様子を聞いてくる時や...
窓の外に懐かしそうに目を細めるフィオナさんを、指咥えて見てられねぇんだ。
....医療が追いつくその時まで。
コールドローズ症だって分かった途端、隔離と投薬を続けられて衰弱死するなんて理不尽が無くなるまで。
オレがあの人の血液に...心臓になりてえんだ。
....降りてえなら、今のうちだぞ。
フラワ:頼る当てがないくせにカッコつけないの。
あたしが降りたらどうすんの、バカ。
...で、ディールには、どう説明をするの。
ベリオ:ディールには、オレの周りの孤児の為の孤児院設立の資金集めって事にする。
実際オレの周りには孤児だらけだ。
街が小綺麗になっても孤児は消えてねえ。
昔の俺の様に人が寄り付かないところ...汚染された場所や危険な場所に目立たないように捨てられてるだけだ。
オレみてえな思いをするガキは、これからの世界に必要じゃねえ。
ベリオ:それに....毎晩遅くまで、お前が忙しいってよく愚痴ってる研究の為に
お前がラボでNOAHZへの技術研究協力のレポート書いてんのも知ってる。
自分の体を改造までした憎いラボの為にNOAHに納めるレポートを書くなんて合理的なお前じゃ考えらんねえ。
....NOAHからの資金援助を受けるための軍備拡充研究のレポートの作成に追われてんだろ?
フラワ:...どっから仕入れてくんのよ、その情報。
ベリオ:お前のラボに弾薬を運んでんのはオレの所属する部署の隣の奴らがやってんだ。
毎晩寝ずにNOAHに提供する“人体動作ランドスタッド転写装置”や“それに付随する神経反応速度理論”
のレポートを書いている娘がいるって言われちゃ誰か即分かんだよ。
...綺麗ごとじゃラボは潰される。
NOAHでも忌避されている人体実験を施されたお前っていう存在は貴重だ、
...まさか胸に穴が開いてるもんだとは思わなかったが。
...で、そんなお前からとれるデータのレポートが有る限りNOAHはラボにいくらでもゼニを弾むだろうな。
...だが、もしレポートが滞ってNOAHからの支援金が来なくなった場合...ラボは倒産。
お前の父親は...まぁ、軍備守秘を知っちまってる以上、NOAHに守秘情報の保持者の保護という名目の軟禁を受けるだろうな。
それを防ぐには....ラボの存続のための金。それも、莫大な金額。
フラワ:.....。
ベリオ:心配すんな。お前のラボが遊園地みたいになるくらいの量を掘り出そうぜ。
フラワ:.....ここ、アンタの奢りだから。準備できたら、連絡しなさい。
あと、オレンジのその服。ダッサいからやめなさい。モテないわよ。
ベリオ:あっ、おい.....。...素直じゃねーんだよな....。...モテないってほんと?
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<場面が変わって、イーストダーウィン地区の中央を流れる巨大な川。その河原の大きめのベンチに腰掛ける二人>
ベリオ:よう。こんなとこに呼び出して悪ぃ。
ディール:別に構いませんよ。セントラルは息が詰まりますから。
自然に触れながらの会話っていうのも、むしろ有難いくらいです。
ベリオ:自然つっても、見せかけだけどな。
この川だって、チャチな浄水施設を通しての排水処理された水が集まって流れてるだけだ。
ディール:.....で、用件は何ですか? 何もないのにこんなところに連れ出して。
ベリオ:......こないだ。宇宙資源回収区域についての宇宙法。まとめてくれてあり がとな。
ディール:...いえ、それくらい。
ベリオ:...その時に、「危ないことはしないでください」って....言ってたけどさ。
悪い。オレ、結構危ない橋を渡ろうとしてんだわ。
...。んで、隠しても仕方がないから言うけど。
お前にも、片棒を担いで貰いたい。
ディール:....はぁ。内容によりますね。
ベリオ:最近宇宙法で宇宙資源認定が下りる予定のとある鉱石がある。
その鉱石にガチガチに制限が下りる前に、その特殊な鉱石を掘り出したい。
ディール:....手段と人数は?
ベリオ:作業に必要な最低人数でいく。3人だ。
メンバーはオレ、ディール、フラワの3人。
手段はフラワの研究所で開発している精密作業用人型動体で採掘を行う。
ディール:保管方法と保管場所。動機も教えて下さい。
ベリオ:オレの職場の弾頭開発部から絶振動ボックスをちょろまかして、それに入れる。
そのボックスに宅配ラベルを張り付けて、ドローンでスペースエキスプレス船に紛れこませる。
動機は....イーストダーウィン地区の孤児院の設立だ。
学区も設けて、親がいなくても学びを得て、孤独のままに死んでいくガキを無くす。
それには莫大な金が要る。
んで、採取された鉱石を売っぱらって儲ける。
この鉱石の存在はまだ未発表だ。先んじて大量に取って売っちまえば、かなりの大金になるからな。
フラワとディールは、オレに脅されて手伝わされた、って形を取る。
ディール:,,,一応、理論的に練り上げられてはいますね。ですが、お断りさせて頂きます。
ベリオ:....頼む。お前が必要なんだ。
ディール:ベリオさん。そもそもこの作戦に僕が必要な理由が見当たりません。
鉱石の採取とその首謀者。この2人だけで完結をすればいいのでは?
<そう言うと、ベリオが片手で手の中に納めていた小さな装置のスイッチを押して>
ディール:....!!!
ベリオ:耳鳴りが消えた、って顔だな。それは耳鳴りじゃねえ。
この装置で鳴らしてた15000hzの帯域の高周波だ。
もちろん俺は少しも聞こえねぇが....お前は最初っから聞こえてたんだろ?
ベンチに腰掛けてから、今俺がこの高周波発生装置を切るその瞬間まで。
ディール:....だから何だというんですか。
ベリオ:オレの採取する鉱石....OBLOM鉱石は性質上、振動が加わると不安定になる。
そして不安定な状態のまま更に振動を加え続けるとこの15000hz~17000hzの高周波が鉱石から発生する。
それをディールに聞き取ってもらう。
加えて、ディールの目の良さも必要になる。
OBLOM鉱石は偏光波を出してるもんだから、モニターでの判別が難しい。
だから、データとディールの目視による2つの方法で判別をしていく必要があるんだ。
ディール:...なるほど。僕を必要する理由はそれですか。
ベリオ:分かってくれたか。
ディール:ですが、なお。断るという結論を変える気にはなりません。
ベリオ:......は?
ディール:断る、と言っているんです。
ベリオ:....ッなんでだよ!計画も!お前を必要とする理由もきちんと答えたろうが!
ディール:目的が金である以上、手を貸すことはできません!
やっていることは強盗や密漁と何ら変わりないじゃないですか!
社会はその行為を認めないって言ってるんです!
ベリオ:じゃあ社会はオレを助けてくれたのかよ!
フィオナさんが俺を見つけるまで軍人に蹴られるオレを社会は見つけてくれたかよ!
弾薬形成合金の混じった空気を吸いながら生きてるガキを社会は今助けてやれてんのかよ!
ガキの死体を燃やす軍人の給料は払われて、ガキに金を渋る社会にどうやって正面から向き合うんだよ!
ディール:ベリオさんは立ち向かうという行為をはき違えている!
目先の子供たちだけを救ったって意味がないんです!
社会の仕組みを変えるべきです!
ベリオ:目先の子供は人間じゃねぇってか!
その“仕組み”が変わる頃まで何人のガキの死体を見ねえ振りすりゃ良いんだよ!
ディール:ベリオさんの今立つ大地も僕らの知らぬ亡骸で作られたものなんです!
今更慌てても社会は表情を変えません!
ベリオ:テメェ.....ッ!!!
ディール:辞めてくださいよ!!!
ここで僕たちがケンカしたところで何が変わるって言うんですか!!!
<殴りかかるベリオ。然し簡単に殴り返され、地面に投げ出される。それを見降ろすディール>
ベリオ:...んーだよ....余裕かよ....。
配られたカードがたまたま強ぇだけの奴が...!!
紙の上でしか死体を見れねぇ臆病もんがッ!!!
<再度殴り掛かるも、完全に殴り返され、あおむけに倒れるベリオ>
ディール:....もう、辞めにして下さい。
出来る事からやらなければならないんです。
ベリオさん。貴方の拳も、言葉も、社会という存在から見れば余りに軽すぎる。
...母さんに軍事基地局雇用の強化を進言しておきます。
ですから、この話はもう終わりです。
....治療ポッドへの無料チケットです。
顔の傷、これで治してもらって下さい。
<そう言って去るディール>
ベリオ:クソッ........要らねぇんだよこんなもん........
<目に涙を浮かべて仰向けの状態で小さく呟く。>
ラプラス:.....若さとは、時に熱を帯びるものだね。
<横から声が響く。河原を降りてきたのは、職務終わりに見える服装のラプラス>