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宇宙創記ドミナントレガシー  作者: ZINDUSTRY
第一部
2/29

【EPISODE1 RIGHT WAY(ライトウェイ)】

●配役表


ベリオ♂:

ラプラス♂:

粗野な軍人♂:(※ラプラスと兼ね可)


フィオナ♀:

フラワ♀:

幼ベリオ♀:(※フラワと兼ね可)


ディール♂♀:


●男女比率

最小5人【♂2・♀2・不1】

最大7人【♂3・♀3・不1】




<巨大な宇宙に浮かぶ円錐状の巨大なガラス張りに見える建造物。

IO-PLANET(イオプラネット)”と大きくロゴの様に底面に表記されているその建造物の中>

<『Base Station Issuing Military Technology Development Dermits(軍事技術開発許可証発行基地局)』と表記された建物内のとある一室>



ディールN:人類(ぼくたち)はどこへ向かっているのだろう。

そんな事をぼんやりと考えながら退屈な仕事を繰り返す。

仕事と言っても、工場から送られてくる納品書に承認と却下のハンコを押し、サインを書くだけの退屈な作業の連続。

僕の人生はきっと、紙をめくり、ハンコを押し、サインをする運動で埋め尽くされるのだろう。


ディールN:オレンジ色の光が窓から差し込み始める頃。

オフィスに鳴り響くブザー音(それ)

業務の終了を知らせるその音がようやく僕を長い長い一人喋りから解放してくれる。

....が、其れも一時的な物。きっと今日もまた残業だ。

ここ数年増えたなあ。書類の数が膨大になってきちゃって.....。

...脳内でこうして呟くことを“喋り”と表す所に何かおかしみを覚えて一人ほくそ笑む。


<わずかな休憩時間の内にディールは仕事場の近くの空き地に移動する。すると、遠くから息を切らせてベリオが走ってくる>


ディールN:....そろそろかな。


ベリオ:おおおーーーーーーーい、ディールーーー!!!


ディール:聞こえてますよ、ベリオさん。何で毎回久しぶりみたいなテンションで走ってくるんですか。


ディールN:オレンジ色の作業衣でかけてくる青年。やや吊り上がったひとみに頬に残った切り傷。

クローンフラワーの花粉がきついからと鼻に張った絆創膏ばんそうこうのような花粉防止テープ。

EASTEDISON(イーストエジソン)地区の軍事武装(ぐんじぶそう)製造基地局(せいぞうきちきょく)弾頭開発(だんとうかいはつ)部門(ぶもん)で働いており、その作業衣から「囚人」と呼ばれていて。...そして、僕の幼馴染だ。


ベリオ:ぜーーーはーーー。ぜーーはーーー。

ぅ゛ぉっえ <苦しそうに膝をついて肩で息をしながら>三途の川が見える....


ディール:今見えてるのは合成樹脂(ごうせいじゅし振動吸収鉄鋼しんどうきゅうしゅうてっこうの道路ですよ。


ベリオ:ウン分かってる分かってるはいはいキミは本当に頭いいね理系だね....ちなみにこれは比喩表現ってやつで


<遮られる>


ディール:バカなこと言ってないでほら。宇宙資源回収区域うちゅうしげんかいしゅうくいきに関する宇宙法をまとめた資料。

<そう言って彼に分厚い資料の束を手渡し>


ベリオ:──ン?おぉ.....、ありがとう。大事に使うわ。サンキューな。いや~、一般公開されてる図書館だと曖昧な情報しかなくてよ。困ってたんだよな。....げっ、もうこんな時間。んじゃ!!!


<そう困ったように微笑みながらディールから資料の束を受け取る。受け取ってから振り向いてそのまま帰路へと駆けていく。>


ディール:ベリオさん!!<大声で呼び止める>


ベリオ:ん??<止まっては振り返る>


ディール:別にベリオさんの奇行(それ)は今に始まったことじゃないですけど。危ないことは辞めてくださいね。


ベリオ:.......分かってるよ。....じゃーな!


ディールN:そう笑うベリオさんの後ろには、天候操作システムによる紅い赤い夕焼けが輝いていた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ベリオ:....。<閑静な住宅街。機能的な見た目でありながらも気品の漂う住宅の集まった区域の一件の住宅の門のインターホンを押すベリオ>


フィオナ:どなたかしら。


ベリオ:あーー....その、どうも、ベリオです。


フィオナ:うふふ、カメラ越しのあなたはいつもより小さく見えるわね。懐かしくなっちゃうわ。


ベリオ:や、...辞めてくださいよフィオナさん。...今日はその、発色の綺麗なスペースミルフラワーが取れたんです。

それと....<そう口ごもりながら>


フィオナ:あら、お花だなんて...。いつの間にかあなたも女性の喜ぶ贈り物を勉強したのね。...入りなさい、お茶を入れるわ。




<白い家具に壁紙といった殺風景な部屋。

ぽつんと置かれたベッドの横には目まぐるしく動く数字の表示された機器が並び、

窓際には沢山の花、袖を通していない服、音楽再生用ディスクが並んでいる。

そのベッドに横たわる美しく年を取った気品のある表情を称えた女性がベリオに話しかける。>


フィオナ:いらっしゃい、ベリオ。.....手の包帯はお仕事が原因かしら?

それとも....ええと....?『イーストダーウィン地区の青年ら7人 バーの前で白昼に乱闘騒ぎ』...。 


ベリオ:違うんです、それは..! 


フィオナ:『6人の若い男女らに対し1人の青年が突如激昂。』


ベリオ:うう


フィオナ:『殴りかかるも20分ほどで乱闘騒ぎは結末を迎えた。』


ベリオ:ウウウ!


フィオナ『...一人の青年がゴミ箱に頭から身体を突っ込む形で。』


ベリオ:ウーーーー!!!!!


フィオナ:『ゴミ箱からはすすり泣く声が聞こえた。』


ベリオ:ムー


フィオナ:....成程。


ベリオ:ぐう


フィオナ:“ぐうの音”が出ていますよ。


ベリオ:あう....


フィオナ:....はぁ。

──あなたの振るう拳は痛みをまき散らします。

そして、あらゆる媒体で....あなたの思わぬ所にまで届きます。

例えば、遠い遠いセントラルエジソンの病人の読む雑誌を伝わって。


ベリオ:......はい。


フィオナ:あなたの拳も痛むでしょう。あなたの殴った男女も殴られた箇所が痛むでしょう。


ベリオ:う...。


フィオナ:暴力はその場にいた人間を傷つけるだけでは無いのです。

暴力という事実、そして其れがもたらす結果。

この二つも、“情報”に形を変え。姿を持たぬ暴力として人を傷つけるのです。

──今の私の心が、ずきずきと痛む様に。


ベリオ:仰る通りです.....。


フィオナ:...いいわ、貴方が無事で。

そして、貴方と喧嘩をした男女も無事なら。


....水と油ね、ティアラとは。

こんな正反対の二人が親友だなんて...これも運命かしら。


ベリオ:そ...そんな大げさなモンじゃ...


フィオナ:大げさではありませんよ。

...それに、私はそんな二人が取っても愛おしいの。

ティアラなんか昔から大人しくって心配していたくらいなんだから。

アナタのお陰で退屈しなくて済んで....ごほっ、ごほっごほっ!!!!


ベリオ:フィオナさん!!!

....これ、今月分の。先月の物より強い鎮痛剤です、水に溶かして飲んでください。


フィオナ:....はぁ...、はぁ....。<咳が落ち着いたのか、差し出された錠剤とコップを受け取るも、コップは机の上に、錠剤は机の上の皿の上にカランと置く。>


....気持ちは、とてもうれしいわ。

毎月毎月助かっているのも事実よ。


....ただ、少しだけ気になる事が有ります。


処方箋を見せて頂戴な、ベリオ。


ベリオ:......いや........、

その..........、


...........な、無くしました。


フィオナ:.....はぁ。<溜息>

私はこの区域の雇用創出を担っています。

都市計画や企業の事業計画にも目を通す仕事をしていますもの、この錠剤の値段を知らないわけではありません。

特殊な届出が無い場合、この錠剤は保険適用外。

とても毎月購入できる程安価な錠剤ではない筈。

貴方が持って来てくれるこの錠剤と...いつ貴方を見かけてもその作業着な事は、何か関係が有るのかしら?


ベリオ:......。


フィオナ:...ベリオ。

貴方が囚人と呼ばれながら工場で働いている事。

工場で作っている弾薬もの

この二つの方が、私にとっては余程苦しいのです。

その上、貴方が自分のお給金を私の為に使い果たすなんて......。

お願いよ、ベリオ。

ティアラの様に...自分の人生を生きなさい。


ベリオ:....アイツだって貴女の容態(げんじょう)を知れば同じことをしますよ。

愛を以て育てられた子が親に何をするかなんて、分かっているでしょう!

....これが...、これが俺の人生なんです。

貴女に拾われるまで俺は死んでいたんだ。

貴女に拾われてから俺の人生が始まった。



....なのに!俺の人生を貴女は生きろと言う!

俺の人生は貴女から始まったって言うのに!

ディールに黙っているのだってどれほど苦しいか分かるでしょう!



......飲んでください....、飲んでくださいよ......。


フィオナ:..........。

ほら、ハンカチ。涙を拭きなさい、ベリオ。

...やまいですもの、誰を恨めましょうか。

貴方に知られるつもりも無かった。

そして...、ディールへの口止めまで貴方に課してしまっている。

ごめんなさいね、更に私の我儘で貴方を苦しめて...。


錠剤、有難くいただくわ。


...でもね。

あなたのその優しさは、私だけに向けるものではないのですよ。

あなたはとっても優しい子。ティアラと同じくらい、愛しい大切な子。

その優しさは、私だけが独占していいものではないのですから。

さっきの雑誌の記事、小さくこう続いていたわ。

「六人の男女はコールドローズ症基金の少年の募金箱を奪おうとしていた疑いがある」...と。


....それでいいのよ、ベリオ。


ベリオ:.......。

...今日は、帰ります。

そうだ、スペースミルフラワーは水温の微妙な変化で色が変わるんです。

たまに水を入れ替えてあげてください、 目に楽しい花なので、...気分転換になるかなって。

 ...それじゃ。いつも通り、ディールには内緒で。


フィオナ:ふふっ、秘密の共有って、年甲斐にもなく胸が躍るわね。

ええ、またいらっしゃいね、ベリオ。


<目を細めて見送るフィオナ>


フィオナ:.......綺麗な夕焼け。<太陽の位置が変わったのか窓から差す光に目を細めて>



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――フィオナの回想――――――――――――――――



幼ベリオ:うえーーーーん!!うえーーーん!!!!

<イーストエジソン地区のとある一角。軍事産業基地局の立ち並ぶビルの路地裏でぼろ布を身に纏い泣いているベリオ>


フィオナ:軍事基地の視察は好きにはなれないわね...。

統一国家となった今、何故兵器の研究を根絶しないのか、理解に苦しむのは短絡的かしら....、まぁ。

....僕ちゃん、お母さんはどちらにいらっしゃるの? お洋服はどうしたのかしら。


<そこに一人の軍人が通りがかり>


粗野な軍人A:おっと、ティアラ家の。 .....あぁ、そのガキには構わねえ方がいいですよ。

この軍事区域じゃあ、よく人が捨てられるんでさ。 ....ま、生活水準っちゅうんですかね。

それがようやく宇宙で安定してきたのか、減ってきてはいるんですがね。

たま~にオレ達の仲間が餌付けするんだが....

ありゃもう何週間もマトモなもん食ってねえんだろうな。

野良犬と一緒、餌付けして延命より終わらせてやるのも人情ってもんでさあな。

噛みつかれる前に帰りなすった方が安全ってもんですよ。


<軍人をビンタするフィオナ>


粗野な軍人A:痛ェエ゛!!!

んなッ、何を...!!!


フィオナ:....取り消しなさい。


粗野な軍人:はァア!?間違ったことは言ってねえですよ!


フィオナ:宇宙に安全に居られるのは確かに武力...貴方たちの存在があっての事。

内乱も鎮圧され、あなたたちに感謝を忘れた日は一度もありません。

しかし.....人を人と思えない人間が、武力を持つべきとは、私は思いません!!!

恥に思いなさい。あなたの臆病を。

恥に思いなさい。あなたの浅慮せんりょを。

恥に思いなさい!あなたの傲慢ごうまんを!


粗野な軍人A:...ッ.....、ああそうかよ!

じゃあアンタが拾ってメシを食わせりゃいい!

キレーに服なんか着せちゃってよ、ベンキョーもさせりゃいいさ!

だがよ、コイツと同じガキは1ブロックも歩けばわんさかいるぜ!

下水に工場裏!食品加工工場の搬入出口!

その立派な思想で腹が膨れねェ事ぐれぇ分かんだろ!!!!


<粗野な軍人Aの大声で仕事仲間と思しき粗野な軍人Bが慌てて駆け寄ってくる>


粗野な軍人B:馬ッッ鹿野郎ォ!!!

ティアラ家に盾突いて明日の飯が食えなくなっちまっても知らねェぞォ!!

すンませんティアラさん、コイツ昨日賭けに負けちまって荒れてて...


粗野な軍人A:離せェオルァァア!!

俺ァ親切に教えてやってンだぜ!!!!???

世間知らずのお偉いさんよォ!!!

これが現場の声だよ!!

クソッタレえぇえ!


粗野な軍人B:もう黙ってろ!

話なら聞いてやっからよォ、もう行くぞッ....!!!


フィオナ:待ちなさい!!! 私の話はまだ終わっては...<クイクイと服を下からひっぱられる感覚に下を見て>


幼ベリオ:ねぇ....ぼ...、ぼくのせいでケンカしてるの? ...、、ほら、もうないたりしないよ。

目がしぱしぱするけむりもがまんする。のどがイガイガするのもがまんするよ。

けられてもないたりしないから...。だからおばさん、おこらないで。


フィオナ:....!!!! あなた....!!


幼ベリオ:みんな、ほんとうはやさしいのがいいんだよ。

やさしくされたいし、やさしくされたら、やさしくしてあげたくなるんだよ。

だから、ケンカしないで。

もう、僕はないてないよ、ほら。



フィオナ:....ッ、──、こんなところに居ちゃダメ!!

あなたは人間なの!! 私の家に来なさい....! 

たくさん勉強して、たくさん笑って、たくさん泣きなさい...!

人の痛みを知り、人の痛みに寄り添い、理不尽に怒りを示すことのできる人になるの....!!



――――――――――――――――回想終了―――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



フィオナ:...あなたが家を飛び出してから、何年になるのかしら。「申し訳ない」の一点張りで。 ....ベリオ。<呟いて場面転換>


ベリオ:ウ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ベリオ:あも~ダメだこりゃ!ダメだこれ!!人の言語で書かれてねえわ!!!翻訳すんのに4日かかったわ!!!!!!!!!!!


ベリオ:んで、分かったこと....。まとめると。

『宇宙における鉱石、宇宙線、原子に至るものは

NOAH(ノア)を始めとした宇宙に存在するコロニーに身分を置いている以上、

承認を得ない採取を禁止する。』

『承認においては書類審査、面接による診断、

収入と支出票のコピーに所属基地局による承認書類とそのコピー、

身分証明の可能な書類のコピー...、エトセトラエトセトラ......』

.................................。

ヒィーーーーーーーッッッ!!!!!

俺の主食は今日から紙だァァァア!!!!

ムシャシャシャシャシャアアアアァア!!!

<白目で口いっぱいに紙を頬張った所でラプラスが部屋の扉を叩く>


ラプラス:失礼するよ、ベリオくん。


ベリオ:ぶべぇええ!!!!

...コホン、お疲れ様です、テン兄。

<音速の勢いでゴミ箱に顔を突っ込んで紙を吐き出し、何事も無いかのように返事をする>


ラプラス:済まないね。インターホンを押そうとも思ったんだが.....

半開きのドアの向こうからにぎやかな声が聞こえてね。

邪魔はしたくなかったんだが......


ベリオN:このオレの部屋の前の扉で少し呆れた表情の彼は、テンペスト・ラプラス。

セントラルエジソン区代表のネヴァー・サーヴィス氏の秘書であり、

オレの働いている軍事産業維持部の責任者である。


セントラルエジソン区の特権階級層に属する彼だが、

その大勢とは違いオレ達“囚人”に対して分け隔てなく接してくれる数少ない人間だ。

ティアラ家で家庭教師をしていた彼は、幼少期のオレに人類学や歴史学を教えてくれた....オレの恩人の一人だ。


ベリオ:あー....ホラ、さ....、え~~~~~....最近!悶々としてて......<書類を慌てて後ろに隠している>


ラプラス:あぁ....まぁ....良いんじゃないか......


ベリオN:これはもう、バレちゃってるなあ

<マヌケ声で>


ラプラス:ベッ...ベリオくん、顔が平べったくなっているが。

こほん、...それより聞いたかね。OBLOM鉱石の噂を。


ベリオ:おぼみょん鉱石?


ラプラス:ゴキゲンな名前だね。


OBLOM(オブロム)鉱石。最近宇宙で新発見された....

岩石というよりは、結晶体だそうだ。

人類が宇宙に大地を作り上げてから急に蔓延を見せている....

コールドローズ症の特効薬の原料として注目を集めているらしい。


ベリオ:.....!!!!


ラプラス:40代にかけて年を取るごとに現れる謎の症状。

発病すると指先から体温は下がり続け、細胞はその冷たさに壊死を始める。

心臓は謎の膨張(ぼうちょう)が起き...その膨張の形は棘が生えたかのような形、

膨張の際に稀に現れる刺すような痛みから...()()()()()()

通称コールドローズ病と知られ、特効薬は存在しない..... と、言われていたが。

この新発見されたOBLOM鉱石には、体温の低下の阻止を始めとした根治を見せる働きの成分が非常に高いらしいね。


ベリオ:っっその、それは!!!....それは、いつ頃薬用として研究が始まるのでしょうか....。


ラプラス:これはあくまでセントラルエジソン議会の医療技術部からのレポート報告だからね。

正式な薬品への転用は......まぁ、10年といったところかな。


ベリオ:......10年.......も......


ベリオN:それじゃあ、フィオナさんにはとても......ッ!


ラプラス:まあ、すぐに議会からNOAH(ノア)の中央部に挙げられ、研究へと回されるだろうな。

宇宙資源認定も問題なく降りるだろうよ。


ベリオ:....そうなん...、ですね。


ラプラス:,,,,おっと。もうこんな時間だ。失礼するよ、ベリオ君。

....あぁ、それと。乱闘は出来るだけ夜間に頼むよ。

(かば)うには昼は目撃者がいささか多いからね。


ベリオ:ぐっ。そ、それは......すみませんでした。


ラプラス:,,,,フ。頭を下げられるのは強い男の証だ。それでは。


<頭を下げるベリオを一瞥しては微笑んで、部屋を後にする>


ベリオ:.......クソッ。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



<時は進んでその日の深夜から明け方にかけての薄暗い部屋>

<深呼吸を一つして、目を閉じてはゆっくりと開き、気分を切り替えるように通信端末に番号を打ち込み>



ベリオ:....フラワ?話があんだけど。違う違うってば!

だからあれはちんちんじゃなくてちんちんみたいなニンジンの写真だったんだって!

え何?赤くて気持ち悪いし味も嫌い?

じゃあもうそれはニンジンが嫌いなだけだから!!

....そんなことで電話したんじゃねえんだって。相談が有るんだ。



フラワ:フン、どんな相談なんだか。大体ね、まだ許してないからね。


ベリオ:ちんちんみたいなニンジンの話?


フラワ:その四文字の科学から最も離れた単語、勘弁して。


ベリオ:ニンジン?


フラワ:ち・ん・ち・ん・の・ほ・う!!!!!!!!


周囲の女の子:ママー、あのお姉さんちんちんってゆってるー


周囲の母親:シッ!見るんじゃありません!


周囲の男性:ストレス社会...か....


フラワ:ッちょ....どうしてくれんのよバカァ!

アタシが街中でボリューム調整できないタイプのヤバい人になっちゃってるじゃない!


ベリオ:はははは。


フラワ:捻り潰すわよ


ベリオ:じゃ、まあ、そういうことで。仕切りの厚いほぼ個室みたいなカフェがいいな....

セントラルのSEA CleT(シークレット)っつーカフェで、2時間後な。


フラワ:ちょっと!まだ話は終わって


<彼女の話を最後まで聞かずに電話を切る>


ベリオ:フー.....。始まりはいつも、美しき友情から。か。






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