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この世界で私がやりたい事

 神は私にこう言った。


「この世界ではどう生きたいのか」


 ーーーと。


 せっかく人生1からやり直せるのだから、前世でやりたかった事をやるのが1番なのだと思う・・・が、急に話を振られたのですぐには思いつかなかった。


「あらあら、難しく考えなくても良いのよ?この世界に来てこのやり取りをした人は大体、前世の子供時代に憧れていたお仕事や夢にみていた事、好きだった事を主軸に生きてった人が殆どよ。流石に『声優』というお仕事がしたいという願いはちょっと分からなくて困ったけど」


 真剣な話になったのか、かわいいとブツブツ言うのはやめたらしいイヴリース様が助け舟を出してくれた。相も変わらず頭を撫で続けるのだけはやめないみたいだが。しかし、この世界に来て『声優やりたい』なんて言う人も居たのか。意外と私が生きてた時代に近い人も来てたのかな?


 私の好きだった事、やりたかった事か・・・。本が好きだったから図書館の受付の人になりたかったんだよね。高校の先生が大学に入ってそれになる為の資格を取らないと出来ないお仕事だって言われたから進学するお金が無かった為諦めた夢だったけど。


 あとは・・・雑貨が大好きだったから雑貨のお店やってみたいとは思ってたんだけど、コミュ障気味だった性格のせいでお店は諦めたんだよね。でもそういった商品を扱うお仕事がしたかったから倉庫のお仕事してたんだよね。やっぱり倉庫のお仕事好きだったんだなぁ、私。


「私、生まれ変わったけどやっぱり倉庫のお仕事がしたいです!」


 私がそう宣言するとお二人は驚いた様だった。


「そっかぁ・・・まさか自分の死亡原因になった仕事を転生してもまたやりたいなんて言い出す子がいるなんてね。本当に君はその仕事が好きだったんだねぇ」


「倉庫のお仕事は悪くありません、1番悪いのはずさんな管理をしていたあのブラック会社です」


 アヴェム様の言葉に思わず、ズバッと切り返す私。神様相手に何やってんだ私。


「あ、すみません、神様相手なのに失礼な事を・・・」


「良いのよ、それだけちゃんと言えるって事は雑貨を扱う仕事が・・・倉庫の仕事が好きだったのね」


 そんな私をイヴリース様はぎゅぅっと抱きしめてくれた。頭を撫でるのだけは忘れずに。


「君は好きに生きていけば良いんだよ。流石に前の世界と同じ様なシステムはこの世界にはまだ無いようだ、それを君が1から作っていけば良い。」


 それを聞いた私はそれしかないと思った。前世では出来なかったことが今世では出来るかもしれない、そう思うと夢が広がったような気がした。私にも出来るんだと。


「ところで、この世界では紙や製本についてはどこまで発展してますか?」


 今世の私はまだ1歳になったばかりだ。そこら辺の知識はまだ疎い。聞ける事なら今のうちに聞いておいた方が良さそうだ。


「紙や印刷、製本技術については前に来た迷い子が整備してるみたいだから君が心配している程遅れてはいないと思うよ。君と同じ神殿で面談したから、居住を移してなければまだ存命してるからそのうち会えるかもね」


 1番心配した部分は杞憂に終わった様である。倉庫のお仕事は大体、通信販売だ。今でこそインターネットで取引出来てはいるが、インターネットが出来る前までは殆どが紙媒体でやり取りをするのが主流だった。


 私が雑貨好きになった元も、高三だった時に知ったカタログ雑誌だったなぁ。かわいい雑貨がたくさん載ってて、働いて収入が出来たらいつか購入したいと思っていた。今となってはそれも叶わぬまま転生してしまったが、それを一から自分で始めると思うと凄くワクワクしてきた。


「私頑張ってこの世界で通信販売と倉庫のお仕事始めます!」


 ・・・まず、成長してからだけど。

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