私、もうすぐで1歳になる
なんやかんやで私はスクスク育ち今1歳になろうとしている。オムツはまだ外れていない・・・が、お世話してくれる使用人さんに頑張って意思疎通して汚れたら早く替えてもらえるようにしている。
そんな私は手の掛からない良い子だと使用人さん達の中で有名だそうだ。今は頑張って食器を使って自分で食べる練習とハイハイからあんよに切り替わる為の練習に勤しんでいる。
前世の記憶から考えても早い方だとは思う。自分の子供は居なかったけども従姉妹や親戚のおうちの子はそんな成長に急ぐ子達ではなかった気がする。
だって早くオムツ卒業したいんだもの、仕方ないじゃない。
そんなこんなで、もうすぐ私は1歳になり『神との面談』という神聖な儀式があるらしい。らしいと言うのはこの世界のお母さん、ルビディアさんが私に話し掛けて教えてくれた。元の世界の風習だとお宮参りみたいなものなのかな?
1歳になる日にアヴェム・イヴリース夫妻神の神殿へ行き祝福を受ける、というものらしい。
大体の人は1歳の頃の記憶なんてないしどんなものかなんて自分の事では覚えていないだろうけど、聞いたところによると、神殿の祭壇に掲げられ無事に産まれて1歳になった事を神様に感謝しお伝えするという儀式みたいだ。
異世界で生まれ育った記憶のある私には意味不明です。教えてくれてありがとうございます、お母さん。
そんな訳で、今私の周りはその神との面談へ着ていくためのベビードレス選びがなされている。公爵家縁の家というのもあって、かなり力をかけてるみたいだ。赤子が着るにはとてもレースとフリルが多めのラメ感キラキラでいったいいくら位するのか検討もつかない。私もっと質素というかシンプルなのが良いんだけど。
「お嬢様、可愛らしいからどれも似合って迷いますわね~」
「ええ、ええ!このピンクのドレスや水色のドレス、どれもお似合いですわ~」
使用人さん達がきゃいきゃい言いながらドレスをあれもこれもと私にあてながらあーでもないこーでもないと私を着せ替え人形にしてきて飽き始めた頃、ふと1枚の白いドレスが目に入った。上品な布を使われてる割にレースやフリルは控え目で、座ったら裾がふんわり柔らかそうだ。
そっと近寄り眺めていると、ルビディアさんが私を抱っこした。
「あら、そのドレスが気になるのかしら?」
その言葉に首を傾げているとルビディアさんはふふっと微笑んで、
「それは私が赤ん坊だった頃に着てたらしいドレスなのよ」
と教えてくれた。そう言われてまじまじと見てると確かに他のベビードレスと見比べて、普段着回してても安っぽい感じがないハイクラス感が漂う洗練されている・・・気がするデザインだ。公爵家の赤子が着ていても全然浮いてなくてむしろしっくりくるのではないだろうか。
決めた、私これ着たい。
「まぁま、こりぇー」
そう言いながら例のベビードレスをつかんだ。勝手に触って叱られるかなー?と思ったけどルビディアさんは嬉しそうに微笑んで「良いのよ、ありがとう」と言いながら私の頭を撫でてくれた。
ルビディアさんがぽつりぽつりとお話してくれたけど、このドレスはルビディアさんがとても大好きだったお祖母様、私からしたら曾お祖母様がルビディアさんに贈る為に手ずから作られた1品らしい。それは確かに大切な物ですね、私も大事に着なくちゃ。
後はもう、神との面談というイベントをこなすだけだね。
そうして私は神との面談当日を迎えたのであった。