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何もすることがない

 赤子の1日、それは寝ては起きてお乳を飲んでまた寝る・・・それの繰り返しである。


 1度、成人までの過程を経た私にその生活リズムはとても酷だった。首が座るまでは、抱っこされる以外何も出来ないし首が座ったら寝返りがうてる様になるまで身動き出来ないし・・・1番嫌なのは排泄がまだ1人で出来ないからオムツをしなくてはいけない事である。


(オムツ辛い・・・前世ほど発達していない世界なのか紙オムツじゃなくて布オムツだし・・・綺麗じゃないと気持ち悪いし、歩けるようになったら早く卒業したい・・・)


 前世の記憶は私にとって【前世の記憶を持ったまま赤子から始める転生した生活】の一番弊害を受けた部分である。


「あぶぅー(ひまぁー)」


 思わず心の声が漏れ出たが、赤子の言葉だからか誰にも気付かれること無く穏やかな時間が過ぎてゆく。


 前世では絵本とか0ヶ月から遊べる玩具があったと思うんだが、この世界にはそんな物はなく殆ど『人to人』だ。


 前世の記憶を持ってるとはいえ、流石に前世での生まれたての頃の記憶は持ってなかった。人によっては胎児の頃の記憶からあるって言う人も居るけど流石にそこまでは覚えていなかった。前世で幼児だった頃の記憶すらあやふやなのに。


(娯楽が無いなんて、娯楽の素晴らしさを知ってる身からしたらすっごい地獄・・・)


 それでも、夜の寝かしつけの時間にはこの世界のお母さん・・・ルビディアさんが、この世界の昔話を聞かせてくれた。今の娯楽に飢えた私にとって唯一の楽しみである。


 お話のラインナップはこの世界の神話だったり、逸話が殆どだったがこの世界の発展レベルや世界観を知るには充分だった。


 この世界の主神は男神アヴェムと女神イヴリース、他に神はなく4属性の聖霊と八百万の神みたいな万物に宿る聖霊による信仰が殆どだ。


 ちなみに私につけられた新しい名前『シルフィア』は風の聖霊様、シルフィにあやかってつけられたそうだ。私の瞳の色は風の聖霊様の色らしい。


 そんな風に聖霊様に近い名前をつけられる時はだいたい、王侯貴族や国に貢献している大きな商家に生まれた人だけらしい。


 庶民クラスで聖霊様に近い名前をつけられるのは聖霊様の色により近い瞳の色を持ち、強い魔力を持った者だけが赦される特権らしい。もっとも庶民で生まれて聖霊様に近い瞳の色を持って生まれてしまった場合、待ってるのは神殿に属するか、王侯貴族の養子になるかしかないみたいだが生憎私は運が良かったのか公爵家と有名な商家との婚姻家で生まれた子供なので、養子だ神殿だと揉みくちゃにされる心配は無さそうだ。


 そんな感じでこの世界の神話や逸話を聞きかじりながら、私はスクスク育ち第1目標のオムツ卒業を目指すのだった。

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