被災した日
とある日、私は倉庫で仕事をしていた。割り振られていたのはピッキング・・・全国からインターネットショッピングで注文された品物を一区画ずつ分けて集めてくる作業だ。
ひたすら黙々と作業所に散りばめられた棚から商品を集め、次の工程に渡すという地味な仕事だ。だが、幼い頃からコミュ障な私にはとても合っているという天職とも言える仕事である。大手の有名な倉庫では完全フルオートメーションでピッキングができる所もあるが、私は人力でひたすら倉庫を駆けずり回るこのピッキング作業が好きだ。ついでに言えば汗のかける運動もできて一石二鳥だ。
今はまだ独身だが、もし結婚して子供ができてもこの仕事はずっと続けていくだろう・・・私はそう思っていたのだ。あの日までは。
あの日・・・変わらず私はピッキングの作業をしていた。何時ものスピードで倉庫を駆けずり回っていた私は最初気付かなかった。・・・微かに揺れる地面に。
次第にグラグラと揺れは大きくなり、棚の揺れに気づいた時既に遅かった。棚と棚が重なり合う場所に居た私は気がついた時には棚の下敷きになっていた。地震で揺れぶつかりあった棚の下敷きになった私は一瞬何が起こったのか分からなかった。それだけ作業に集中していたのだろう。
こういう時の為の緊急対応のマニュアルはあったハズだったのに。
なのに私は作業に夢中でそれを取る事は出来なかった。
(棚が倒れてくる程の揺れだったから凄い地震だったのかな・・・?圧迫されてる所がとても痛い・・・)
朦朧としながら動けない私は考えを巡らせていた。冷たく感じるハズの床を生暖かく感じながら・・・。
(誰も来る気配がない・・・皆無事に避難出来たのかな・・・)
だんだんまぶたが重たくなっていき私の生は終わりを迎えたのであった。
主人公が被災した地震や倉庫にモデルはありません。
私も倉庫のお仕事を経験してますが地震対策はしっかりとしてる企業ばかりでした。
(主人公の働いてた倉庫もしかしてブラックだったのでは・・・gkbr)