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9話『強敵との戦い 前編』

(なんだあの化け物…)

炎を纏う魔物を見てフリードは呆然としていた。


呆然としていたのも束の間、化け物はどんどんとザッシュ達に近づいていった。


直ぐ様フリードは《隠密》を使い、まだ火が付いていない木の影に隠れる。


(まだこっちには気がついてないみたいだ、早く逃げないと…)



――ブゥモォォォォォオッッ――


「「うわぁぁぁぁぁ」」


「く、来るなあぁー!!」


「だ、誰か助けてくれ!!」


(やばいッこのままじゃザッシュとドゴンが…いや、何を考えてるんだ俺はあいつらはずっと俺を無能と馬鹿にしてくるような奴等じゃないか、それにそもそも俺じゃあの化け物には敵わない…)


そう考えフリードがその場を離れようとしたとき視界の端に今にも殺されそうなザッシュ達の姿があった、その姿は情けなく、いつもの傲慢な姿は見る影もなかった。


―――――これでいいのか?


その時…懐かしい記憶が頭の中を駆け巡った


その男はこう言って笑った


――――――――――俺は、善人じゃねぇ…だからこそ目の前にいる人だけは必ず救う。偽善だと指を指されるかも知れねぇが、それでも俺は自分の手が届くのなら必ず助ける。それが俺だ…


―――――――――――

(そうだ…俺はあの人に憧れて冒険者を目指したんだ)


―――俺が憧れた冒険者なら絶対に…


――――見捨てない


その瞬間フリードは各種スキルを発動させ化け物のいる方へ走っていた。

もはやフリードの中には、化け物に敵わない等という考えは存在していなかった。

そこには、自身の夢へと突き進む断固とした想いしか存在しなかった。


―――ガキンッ――


(硬い…)


フリードの死角からの一撃は魔物の硬い皮膚を貫くことが出来ず少し傷つけた程度で終わった。逆に化け物の纏う炎によりフリードの方が熱によるダメージを受けてしまった。直ぐ様バックステップで魔物から離れる。

その瞬間、フリードの目の前を寸でのところで魔物の腕が通りすぎた。


(くっそ…流石にキツいか)


「お、お前は」


「チッ魔物の意識が俺に向いてる間に早く逃げろ!!」


「なんで助けて…」


「勘違いすんなお前らを助けた訳じゃない、喋ってないでいいから逃げろ!」


「わ、わかった」


「直ぐに助けを呼んでくるから絶対死ぬなよ」


そういってザッシュ達はその場から逃げていった。それを確認すると、直ぐ様魔物に向き直って剣を構える。初めての強敵を前にしてフリードは体から汗が吹き出すのを感じていた。


(この魔物は格上だ…どうにかして隙を見つけないと…)


そうフリードが考えている内に魔物は目の前まで迫っていた。魔物は右手に持った鉈のようなものを振りかぶってフリードを両断しようとする、フリードは≪剣士≫の《身体強化》《いなし》《剣術》《見切り》《剣戟強化》を使いそれを捌き、返す刃で魔物の顔を切り裂くが…


(重いッしかも剣の消耗が激しすぎる…今の攻撃だけでこれか…なんだこれ少し溶けてる?)


よく魔物が持っている得物を見るとうっすらと紅く発光しているのがわかる。


(そうか、あの鉈も魔物と同じように熱を放っているのか…これじゃ剣でいなすことは悪手だな、この状況で剣が使えなくなったら勝ちは絶望的だ)


直ぐ様、≪鍛冶士≫のスキルで溶けた刃を使える状態に直す。


そのまま、一直線に魔物の元へ向かい魔物の攻撃を《見切り》や≪狩人≫の《動体視力強化》等を使用して掻い潜り懐に入る…そして≪剣士≫の新たに覚えたスキルの1つ、強力な剣戟を一度放つスキル《スラッシュ》を魔物に向けて放つ。


―――ブゥモォォォォォォ――


フリードの攻撃は魔物を切り裂き、魔物は痛みにより大きな咆哮をあげた。


(よし、スキルを使えば攻撃は通るみたいだ)


フリードはやっと攻撃が通り、勝機を見いだしていた。


一方魔物は自分より弱いフリードに傷をつけられたことに憤怒していた。

そして、怒りに任せた様子で体から炎を吹き出しながら魔物がフリードに迫ってきた。


―――ブゥモォォォォォォ――


「うをおおおぉぉぉぉッッ!!」


負けじとフリードも声を張り上げて肉被する。


―――こうして戦いの火蓋が上がった。

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