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異世界に転生してきた女と、殺意を抱く王様のこわい話

作者: 水藤紗弥

 ウェイルズ城内では華やかな宴が催されていた。


 七色の輝きが美しいクリスタルのシャンデリアが天井で豪奢さを演出し、あちらこちらのテーブルに置かれた美味しそうな肉料理やデザートが更に目を引く。

 大広間では、たくさんの貴族達が談笑するなか……


 王の隣に立つ美しい金髪の女性は、青いドレスに身を包み、愛想笑いを浮かべていた。

 ぎこちなさが少しあるとはいえ――その笑みは上品で、相手に不快を与えないものだ。それが自然に出来るのだからたいしたものである。

 現に、目の前の貴族の男も顔を綻ばせている。


「いや、お美しい。このウェイルズ王国に、このように素敵な女性がいらっしゃったとは……!」

 満面の笑みで讃辞を呈する。

 当然でしょ、と軽口を叩きたいところだったが……女はぐっと我慢をし、お上手ですこと、と羽扇で口元を隠した。


「そのようなことを仰っていただけるなんて……光栄にございますわ」

 自分でも大笑いしそうなのを、ぐっと堪えて恥じらう素振りを見せ、自らの頬に手をやる。


「そのような嬉しい言葉……殿下はちっとも仰いませんのよ」

 嫌味を込めて、女は隣に座る黒髪の男を見つめる。



 しかし、隣の男……ウェイルズ王国の統治者、アルヴィー・ウェイルズ王は……それに気がついているはずなのに、フン、とそっぽを向いてしまった。


 ――なにが光栄にございます、だ。


 彼の心の声が聞こえる者がいたら、その声の暗さに驚くだろう。


「いやいや、きっと殿下も照れておられるのですよ。婚姻の儀が楽しみですな」

 アルヴィーがちっとも照れてなどいない、ということを――残念ながらキャメリンは理解していない。このつれない態度も芝居だと思っているのだ。

「そうですよねえ?」


 ―― 一瞬、アルヴィーの目つきが鋭くなった。

 しかし、平常心だと自分に言い聞かせ、彼は目を閉じて耐える。


 照れたのではない。女のクサイ芝居に付き合いきれなくなったので、そっぽを向いただけだから。

 しかも何が『そうですよねえ』だ。いい加減にしろ。

 この女との【婚姻】を楽しみにしているだと? 冗談ではない。

 そう叫ばなかったアルヴィーは自分自身を褒めた。


 貴族――なんと名乗っていたか忘れた――が去った後、アルヴィーは人知れず……数回目のため息をつき、自分の愚かさを悔やんだ。


 この女が、金銭目当てに城へと潜入などしなければ……こんな煩わしいことに発展しなかったのだ。




 事件は……キャメリンとアルヴィーがこうして並んでいる時間から二日前に遡る。



「俺はまだ婚約者など必要ないと告げたはずだ」

 アルヴィーは自室にて、重臣たちともはや何度目か分からない懸念について口論していた。


 くどいと何度追い払ったか。

 それでも国のことを危惧する重臣たちは、決死の覚悟でアルヴィーへ婚約者・あるいは結婚をと進言してくる。


「ですが王。縁談話は数多くございまして、断ってもその倍の数がやってきます。しない、と仰るのも……そろそろ確固たる理由がなければ難しいのです。国のためをお考えならば、なにとぞ……!」


 このようなことをよくも毎日のように進言してくるものだ。

 アルヴィーの苛立ちは顔に表れていて、眉間にぎゅっと皺が刻まれた。



 彼が解放されたのは、それから数時間後。

 結局今回『も』話は纏まらずに終わっている。

 彼らの言うことも分かる。アルヴィー王はもう25歳なのだ。

 兄弟はいるのだが、彼らも口々に『王としていい加減に相手を見繕って欲しい』と同じ事を言う。


 そう思うのも仕方が無い。

 アルヴィーでさえ、弟が自分と同じ立場ならそう考えるだろう。


 重い足取りで部屋の扉を開け、暗い自室に戻ってくる。

『王がそこまで嫌だと申し上げるなら……適当な相手でも探し出して、婚約者だと偽ってでも宴を催すのはどうじゃろう? それならば縁談も膨大には来なくなりましょう』

 重臣の一人が長いあごひげを撫でつけながら、取り急ぎの案を出した事を思い出す。

 いったいどこから探してくるのだか――……そう思った瞬間、異質な気配を察知して、アルヴィーは素早くその場から離れる。


 今しがたアルヴィーがいた場所に……空を切る銀の閃きが見える。

 

――暗殺者か!


 暗闇に乗じての手際は常套手段とも言える。

 避けた拍子に花瓶にぶつかってしまい、落下した花瓶は硬い床に叩かれて、激しい音を響かせながら割れた。



 元々体を動かすことは好きだったので、アルヴィーは剣術も体術も一通りできるのが功を奏したというべきか。

 人の命を奪おうとする輩は、呆れるくらいに良く来る。

 薄暗い室内ではあったが、相手が千載一遇の機会をふいにしたのだ。

 アルヴィーは、暗殺者と思わしき人間の腹に容赦の無い蹴りを食らわせる。


「あぐっ……!」

 

 くぐもった女の声――に聞こえる。

 

「っ……?!」

 アルヴィーは素早く絨毯の上に倒れ込んだ人間の手首を拘束する。

 ほっそりした、女の手のようだ。


「――王! 何か割れる音が……!」

 けたたましい物音を聞きつけ、武器を携えた兵士や大臣が何事かと大人数で駆け込んできた。


 暗い室内を兵士の携帯していたランプで照らされ、浮かび上がったのは……闇色の服に身を包んだ、金髪の美しい女だった。




「新入りなのでお部屋を間違えてしまいました。申し訳ありません」

 ロープで体中をぐるぐる巻きに縛られ、床に転がされている金髪の暗殺者……キャメリン。

「貴様のようなメイドはいないとメイド長から証言を貰っている」

 それに、職場で相手を確認せずに武器を振り下ろすメイドなんて、恐ろしくて雇えない。


 あっけなく看破されたので『殺せば良いでしょう』と開き直って激しく抗議し、芋虫のように身体をくねらせた。

「何が目的だ……とは訊く必要は無いな」

「お金」

「……なに?」

 聞き間違いではなかった。

 女はもう一度『お金』とはっきり告げたのだ。

「俺の命ではなく?」

「あなたの命よりお金のため。だって私、この世界に転生しちゃったっぽいんだもん」


 いまいち話がかみ合わない。もしや、とアルヴィーは口にする。


「……つまり貴様は暗殺者ではなく、金品を物色しようとしていた、とでも?」

「そう。誰か来たから、悪いけどとりあえず昏倒して貰おうと思っただけ」

 ウェイルズ城に忍び込み、ドアを開けた先がアルヴィーの部屋だった……ということだけらしい。なぜそんな最上階をわざわざ狙って侵入したのか。


 昏倒と言うが、女が持っていたのは両刃の剣であったはずだ。

 いったい何を考えているのだろうか。死ぬと昏倒は同義なのだろうか。疑問が尽きない。


「殿下……この女とお知り合いでは……ありません、よね?」

 恐る恐る訊ねる重臣に、アルヴィーは『初めてだ』と頷いた。

「えっ、殿下? じゃあ、王様?」

 女が怖々呟き、王様? と目をしっかり合わせながら再び言うので、また頷く。


「ひぃっ! まさかのアルヴィー王!? やだ、かっこいい……でも、やっぱり命だけはご勘弁を!」

「その反応は今更すぎないか?」


「やめて、殺さないで……なんでもします……」

 うるうると目に涙をためて命乞いをし始める女。

 自分のやったことを忘れているのか何なのか、この女は先ほど王を殺害しようとしていたのである。どうあがいても処刑確定コースなのだが……。

 

 ――……女の美しさを捨て置くには惜しい気もする。

 重臣たちはいっせいに顔を見合わせた。

 まるで、名案を思いついたと言わんばかりに。



「……ッ、冗談じゃないわよ!! なんで私がアルヴィー王の婚約者になんなきゃいけないわけ?」

「殿下を暗殺しようとした分際が言うことか! 命があるだけマシと思え!」

 重臣の一人が説教ついでにキャメリンの頭へ杖を打ち下ろすと、小さい悲鳴が上がった。


「……死ぬ前に、こちらの都合で一週間だけ猶予を与えようということだ。お前はただ立っていれば良い。問題なく終えたときに、再びお前の処遇を考えてやらんこともないぞ……?」

 同情したのか、重臣の一人がやさしい提案を示す。

 しかし、キャメリンはそれを鼻で笑った。

「ハッ。あんたたちの言葉ほどアテになんないものもないわよ。そういう大事なことはきちんとしたお方……そう、ここにおわすアルヴィー王から言っていただかないと、頷けないわ」

 どういうわけか自信満々にキャメリンは言い放ち、アルヴィーに期待の眼差しを向けた。


「では今死ぬか?」

 アルヴィーは剣を抜き放つ。

 しゃらん、と 場にふさわしくない……いや、ふさわしいかもしれない軽やかな金属音が鳴った。


「あー、やっぱりまだイヤですうぅっ……! わかりました、やります! やりゃいいんでしょ!?」

「己の置かれた立場が分かっていないようだな」

「ひっ、やります! やらせてください! お願いします!」

 何はともあれお金より自分の命が大切だ。

 キャメリンは悲しそうに目を伏せる。


 黙っていれば……その仕草すら美しいのに、ただの残念美女であった。




 ――そういった経緯があり、ここにこうして立っているわけである。

 簡単な立ち方の教育などしかしていないため、ボロを出さぬよう王の傍らにいるだけだ。


「ねぇ王様」

 二人への挨拶を待つ行列が消え、しばらく経ったころ……キャメリンはアルヴィーに声をかける……ぞんざいな口調で。


 アルヴィーは何も言わず、視線だけをそちらに向けた。


「私、ウェイルズの事……歴史とか、何も知らないんだけど。知っておかないとマズいのってなんかある?」

 王に対して随分と砕けた物言いだが、アルヴィーの怒号と剣はキャメリンには打ち下ろされなかった。

 人目があることと、アルヴィーの器の大きさに感謝すべきだろう。


「何もいらん。貴様はヘラヘラとバカのように笑みでも浮かべていればよい」

 アルヴィーも辛辣だが、問題ないと言う意味で答えたようだ。


「ちょっとムカッとくるけど、つまりはアルヴィー王がきちんとフォローしてくださるのよね? よろしくね?」

 んふっ、と気持ち悪い笑い方でキャメリンは笑顔をアルヴィーに向ける。

 当の本人は何も言わなかったが、重臣たちの視線が刺すように痛い。

 むしろ刺さっているに違いない。当然である。


 だが、彼女は人前で減らず口を叩くのは止したほうがいい、ということを学んだのでよしとするべきだ。


 ――戻ったら、何をしようかなあ。


 あまりに暇なので、キャメリンはこの責務から解放されてからのことをおめでたく考え始めた。

 お金は手に入るかどうか分からないけど、命があればまあ次の機会もある。


 仲間も心配しているかもしれない。ちゃんと元気な姿を見せよう、など。



 転生者として……いや、前世と言うべきか。その記憶が戻ったのはつい最近。


 だが、彼女は選ばれた聖女でもなければ悪役令嬢でもない。

 それなりに活躍していた暗殺者だったはずだが、記憶が戻ってからというもの、どういうわけかことごとく任務は失敗続きだ。


 組織が彼女をこの場に指定したのも……恐らく手軽に消すためだったのだろうが、キャメリンはそれに気がつかないでいた。




 数日何事も無く過ぎ、キャメリンがアルヴィーの婚約者(仮)になって四日目になった。


 部屋に差し込む優しい朝日が、キャメリンの顔を照らす。

「んー……」

 薄着であるせいか肌寒さを覚え、寝返りをうった。

 意識が覚醒しないまま、夢とうつつの心地よい境にたゆたう。


 寝返りを打った先にあたたかいぬくもりを感じたキャメリンは、何も考えずすりついた。

――なんだかすっごいあったかくて気持ちいい。


 しかし、これはシーツの感触ではない。


 多少の疑問を覚え、ぺたりと自分が寄って行った『何か』に触れた。

 何かゴツゴツしたもの。さわさわとあちこちを触ってみたが、柔らかい部分も少しある。


「……何をしている、不埒者」


 不機嫌な男の声に、キャメリンの脳細胞は瞬時に活性化した。

 ばちっと目を開けて……飛び起きる。


「勝手にすり寄ってきて驚くとは、貴様はやはり頭がおかしいのか?」

 キャメリンは自分からアルヴィーに抱きついてきたのだ。


 眠っていたところに勝手に突進されて揺り起こされた上、体中を触れられたアルヴィーの顔が嫌悪に歪んでいる。


「あ……ひっ……きゃぁあー! 打ち首っ! 打ち首いやぁあ!」


 引き起こした状況を理解して、キャメリンはベッドから悲鳴、もとい奇声を発しながら勢い良く飛び退き……ドーンと派手に転げ落ちた。



「あーもー、ほんと最悪」

「うむ」

 朝食時、真向かいでぶつぶつと愚痴をこぼしながら立て膝をつく行儀の悪い女を見ないようにしながら、アルヴィーは彼女の一言目だけ深く同意する。

 

「転げ落ちて腰は痛いし、びっくりして来た人にパンツ見られて恥ずかしいし……それにだいたいね、どうして婚約者だからって同じ部屋で過ごして、なにより同じベッドで寝なくちゃいけないわけ? 普通別じゃない?」

 この女に『普通』がどの程度語れるのか、というところだけには興味が出たが、腫れ物には触らないようにしたい。

 そして部屋は別々にしていた気がしたのだが……なぜ潜り込んできたんだ?

 その疑問は口に出すのも恐ろしい。

 アルヴィーは無言でナイフとフォークを動かす。


「そりゃもう四日目だし? 慣れもあって安心してグーグー寝てたけど? 王様、ほんっとに私に何にもしなかったでしょうね?」


 今日数度目の確認だ。

 アルヴィーもいい加減にしてくれと言いながら睨み付ける。


「くどいぞ。貴様のように思考回路がどうなっているか分からん女に、手など間違っても出すものか」

 そう言い放ったアルヴィーは非常に非常に、機嫌が悪い。眉間の皺も深くなる。

 残念ながら当然である。

 

「ムカッとくる言い方ね……あ、ねぇ……それはさておきさぁ」

 

 さておくことなのだろうか。

 

 二人の朝食風景を見守っているメイドのほうが居たたまれない顔をしている。



「王族の食事時間って、こんなにシーン……として寂しくないの? さすがに王家だからみんな行儀いいけど、音立てないようにすることに気ィ使ってばっかで疲れない?」

「物心ついた頃からこのようにしている。気遣いは不要だ」


 むしろ、こんなイカレた女を押しつけられた方が苦痛である。

 そういえば昨日から、この作戦を言い出した大臣を見かけていないなとアルヴィーは思った。あの男は長いこと仕えてくれた大臣である。

 この女の破天荒さを気に病んで、なにかバカな真似をしなければ良いのだが。


「あ、そう。食事のときくらい、もっと楽しく食べたい……っていうのは、庶民の考えなのかしらねぇ」

 キャメリンはガチャンと大きな音を立ててスープ皿にスプーンを突っ込む。

 アルヴィーはこの四日間で数十回目――もう数えていない――のため息をついた。


「なっ、何よ?」

 キャメリンにとってみれば、もぐもぐとおとなしく食べていたと思いきや、アルヴィーが睨んでくるのだ。当然そう聞くだろう。


「騒々しい」

「そう? 私は平気」

 注意を気にせずスープをズズッと飲み始めると、相手のほうが耐えきれなくなったらしい。

 無言で立ち上がるアルヴィー。顔面蒼白になるメイドたち。


 この危険な状況に、わざわざ間に入ってくれる天使のような存在があった。

「――キャメリンさん。あなたを見ていると僕は楽しいのですが、ちょっとお行儀が悪いですよ。兄……いえ、陛下にそんな態度を取っていたら、もう首が飛んでいてもおかしくないのですから」

 サラサラの黒髪を揺らし、にっこりと屈託のない笑顔で話しかけてきたのはアルヴィーの弟、第二王子のアーレンである。


 しかし、この優しい王子にすら――キャメリンの態度が変わることもない。


「そっか……ごめんね、なんか。あっ、私のことはキャメリンって気軽に呼んでいいからね、アーレン様? やん、かっこいい……」

 ぶりっこ特盛りでアーレンに笑顔を向けると、アルヴィーが人でも殺しそうな視線をキャメリンへと向ける。

「やだっ、嫉妬なんかしないでよ。大丈夫よ、約束は守るから!」

「俺は貴様の脳が大丈夫とは思えん……アーレン、この女に近寄らぬほうが良い。これは嫉妬だとかそういった事ではなく、純粋な忠告だ。脳がやられるぞ」

 

 つい口に出してしまった本音に気付いて、ハッと周囲を見ると、メイドは何も聞いていませんという態度をし、アーレンは目を丸くして兄を見ていた。


「……わかった、ありがとう兄さ……陛下」

 慌てて取り繕うと、アーレンは少し塩味の効いたスープを口に運ぶ。


「兄弟で私を取り合うなんてちょっと困るかな……なんて……んふふ……」

 その様子を見ながら、キャメリンはパンを千切らず口に運んでおり、アルヴィー王は忌まわしい言葉を記憶から直ちに削除したい心境に駆られた。




「キャメリン様、少しよろしいでしょうか……?」

(アルヴィーの)部屋でゴロゴロと勝手にくつろいでいたキャメリンのもとへ、アーレンの婚約者、マリアがやってくる。


「あらあら……なんて清楚。若いし可愛いし。あっ、私もまだ負けてない……かな?」

 失礼千万極まりないことをほざき、キャメリンはにこにこと微笑みを浮かべる。


「あの……キャメリン様……?」

 勝手に悦に浸るキャメリンを気味悪がることもなく、マリアはもう一度声をかけてきた。


「あっ、ごめんなさい! 少しボーっとしていました! 汚くてなんにもない部屋に遊びに来ていただいて……ささ、こんな部屋でよければどうぞ」

 そう言って部屋に通そうとすると、部屋の奥からドンッという何かを叩きつける音が響いた。


「なぁ~に?」

「…………」

 面倒くさそうにキャメリンが振り返ると……机に向かって書類に目を通していたアルヴィーが彼女を睨みつけていた。


 ここは貴様の部屋ではない! とか、そういう事を含めた無言の怒りであったようだが、キャメリンには言っても言わなくても伝わらない。

 案の定よくわからないという顔をして、微笑みを返してきた。


「あっ、ところで……私に御用です、か?」

 お茶の用意をしながら、マリアに問い掛ける。

 メイドが慌ててやりますと申し出てくれたが、お茶くらい淹れられるからといって自分でやり始める。


 ざばざばとスプーンで山盛り五杯程度の茶葉がティーポットに入ったので、メイドは思わず目を覆った。

 とてもではないが、アルヴィーがどんな顔をしているか直視できない。


 このやべー女は婚約者(仮)として好き勝手にこの部屋を使っているので、その権限で好みのティーセットも用意してもらった。

 だというのに、茶も満足に淹れられない。


「あっ、あまりお話をできなかったのですが、アーレン様が先ほどキャメリン様とお話ししたとかで、わたくしもご挨拶など兼ねまして……したほうがよろしいかと……」

「やめたほうがいい」

 思わず口に出てしまった。だが、あまりに自然だったのか、声が小さくて聞こえなかったのか……キャメリンもマリアも気付いた様子がない。

 

「あら~うれしー! アルヴィー王とはお茶をしないけど、かわいいマリア様となら是非したいところだし……ホント可愛いお方……あっ、お茶ドウゾ!」

 メイドが青い顔をして、淹れ直しますと言ってくれたが……キャメリンは眉をつり上げて何よと怒りだしたので、マリアは慌ててその茶を受け取った。


「お茶、アルヴィー王も飲むでしょ?」

 一応、というのがありありの様子でアルヴィーにも声をかけてくる。

 アルヴィーは一度マリアをいたわしげに見つめ、再び眉に深く皺を寄せると『ああ』とだけ呟き、再び書類に視線を落とす。


 聞いた当人であるキャメリンが少し驚きながらも、ティーカップを用意する。

「なんだ、素直じゃん! 私が淹れるお茶美味しいって評判なんだよ?」


 どこの誰だ。つけあがらせたのは。


 アルヴィーが茶を貰うといったのは、マリアだけにこんなむごい思いをさせられないからである。

 マリアのほうも驚いていたようで、アルヴィーを見て目を丸くしていた。

「あっ、アルヴィー王は私の婚約者だから、手を出しちゃダ・メだぞっ?」

「…………」


 凄まじい怒りがアルヴィーの全身を駆け巡る。

 いっそここで殺そうか、などと一瞬でも考えてしまい、その甘美な提案を振り払うように頭をぶんぶんと振った。正常な殺意である。


「でも~、あと三日で帰っちゃうので、その間だけなんですけどね」

「えっ……?」

 アルヴィーへ毒のような濃さの茶を出したところで、悪びれもなくキャメリンはそう答え、マリアは目を瞬かせてきょとんとしている。

「いや、え? って、もしかして……何も聞いてないの?」

「あ、は、い……申し訳ございません……」


「身内に連絡をきちんとしなかった奴は、後で十分反省して貰うとする」

 こんな危ない女と結婚させられてたまるものか。


 外堀から埋めようとでもしたのだろうか。

 卑怯な手口に、明確な怒りを持ったアルヴィーが強い口調で言った……が、なぜかキャメリンは照れている。

「やだぁ……あんなに怒っちゃって。私のこと実は好きってこと? 困る……」


 あまりにも気分が悪いので、アルヴィーはキャメリンの呟きを無視しておいた。


「あと三日……あと三日で、このくだらない仮初めの婚約者などという茶番が終わる……それまで耐えるだけだ」

 軽く……本当に軽くマリアに事情を説明すると、そうだったのですか、とマリアが呟いた。


「わたくし、とんだ早とちりを……失礼致しましたっ」

「ああ、そんな顔しないで。なんかこっちこそ申し訳なく思えてきたからさ」

「思わなくていい」

 心からの言葉を向けるが、キャメリンの心には届かなかったようだ。


「ちょっと。さっきからなんなの? 一言くらい優しい言葉かけてよ。なに関係ないみたいな顔でお茶飲んでるわけ?」

「こんな毒物飲むわけがない」

 真面目に毒だと言ってしまった。


 さすがに本当のことを言いすぎるのも良くはないだろうとアルヴィー自身思ったが、彼女には真実に目を向けて欲しいという気持ちもある。

 全てが手遅れなのかもしれないが、僅かな希望がまだ胸にくすぶっていた。

 それはあと数日で砕かれるというのに。




「あ~もう最悪っ……!」

「そうだな、俺もそう思う」

 最近、アルヴィーはこうしてさりげなく……ツッコミのように毒を吐くことで、ストレスを一時的に緩和する手段を覚えた。


 キャメリンと一緒に過ごして早六日。

 苦痛の連続ではあるが、明日で終わりだと思うと少し気分も晴れやかになってきた。


「キャメリン様、どうなさったんでしょう?」

 きょとんとするマリアに、知りたくもないと平然と言うアルヴィー。

 最近なにかと弟の婚約者であるマリアが足を運んでくれている。


 アーレンを見ればキャメリンが媚びたような目を向け、スキンシップという名目のボディタッチを計ってくるので、アーレンに害があっては困ると判断したアルヴィーは、来週まで城内を出歩かないようにと伝えた。


 それがどこをどう間違ったのか忌々しいキャメリンの耳に入り、アーレンにアルヴィーが嫉妬しているかのように言いふらされていた。

 思い出すだけでアルヴィーの心にふつふつと殺意が沸いてくる。

 極めて正常な心の働きである。


「朝から晩まで全く騒がしい女だ」

 アルヴィーはそう言うと再び机に向き直る。


 今まで寡黙であった王が、少しずつではあるが……人に対し優しくなったようにマリアは感じていた。誤解でしかない。


「キャメリン様は、いったいなにを憂鬱に感じていらっしゃるのですか?」

 イライラし始めているようなキャメリンの声を聞きながら、マリアは気遣わしげに尋ねる。


「ほら、男女が一緒に寝てしばらく経つでしょ? そろそろ、夜なにかあったらどうしようかなって……好きでもない奴に求められるなんて最悪じゃない?」

 その言葉を聞いた瞬間、アルヴィーの目つきが剣呑なものになった。

「貴様を殺して良いならそうしたいが、死ねと言えば死んでくれるか?」

「やだっ……『何かあったら』には、そういうこともちょっとは含まれるかもしれないけど……殺したいほど愛してるなんて……急に激しい……」


 ――やっぱり今すぐ処分してしまおう。


 すぅ、と立ち上がって剣に手を掛けたところで、マリアに必死に押しとどめられた。

「すまん、マリア嬢……どうにも、最近自分というものを失いかける……」

「…………どう言葉をおかけしたら良いのかわかりませんが……ええ……」

 心優しいマリアは、慈愛の表情を浮かべて深く頷き、アルヴィーと見つめ合う。

 それが色目を使っていると思われたらしく、キャメリンにチッと舌打ちされた。


 やはり、この女を推した大臣の姿が見えない。

 最初は無事かどうかを案じていたアルヴィーが、だんだんあの大臣がいないことに怒りさえ感じ始めている。

 顔を合わせたら、極刑を言いつけるのですら足りないような気がしているのだ。


 キャメリンという破天荒な女は、何をどうしても理解しがたかった。

 マリアと話しているだけで勝手に怒りはじめて『私という婚約者がいるのに!』という、アルヴィーの殺意点火スイッチを入れてくる。

 しかも、キャメリン本人の喜びスイッチがどこでどう入るのかも分からない。

「もうすぐ婚約者の関係も終わりね……悲しいけど契約だから」

 どういうわけか命拾いしているのはキャメリンだというのに、なぜか申し訳なさそうに言う。

 もしかするとこいつは……命を駆けたやり取りを楽しんでいるのだろうか。

 やっぱり理解が出来ない。

 一日も早く消えて欲しいとアルヴィーは願っている。




 七日目の朝。

 キャメリンの笑顔はいつものことだが、アルヴィーの顔も心なしか晴れやかである。

「やっと明日帰れるんだ~!」

「貴様と離れられると思うと、心の底から嬉しい」

 素直な気持ちを伝えたのに、キャメリンは悲しそうな顔をしてアルヴィーに向き直った。

「そんな、心と裏腹なことを言って引き留めようとして……ずるいんだから」

「…………」

 何をどうしたらそう聞こえるのだろうか。いや、どうしたらそのような変換になるのだろうか? アルヴィーには分からない。

 極めて正常な人間の思考である。


「最終日までには、アーレン様にお声がけしたかったけど……泣かれても切なくなっちゃうし、兄弟が喧嘩になっても困るわよね……」

 キャメリンは王族に何か強い恨みでもあって、壊滅させたいのだろうか。

 彼女を巡って兄弟で対立することは――無い。神に誓える程度に、無い。

 しかもよくそんなことを婚約者マリアの前でいけしゃあしゃあと言えるものだ。その胆力が凄い。

 当然そんなキャメリンを、マリアは悲しそうに見つめていた。

「キャメリン様……そんなに楽しそうにされると、マリアは寂しゅうございます」

「あ、ごめんなさい……つい、帰れるのだと思ったら心が弾んでしまって!」

 マリアが悲しんでいるのはそこではない。

 この女は数分前の自分の発言を覚えていないらしい。

「良く今まで生きてこられたものだ」

 こんなものが暗殺者だというのだから、謎の組織の忍耐力とキャメリンの並外れた幸運に感心してしまう。

「あっ、そう、そうなのよ! ……絶対組織に戻ったら、おかしらのハゲ頭にタコをでっかく描いてやる!! あいつが金の卵と銀の卵を産むニワトリを捕まえて来いって言うから期待してきたのに、こんなことになるなんてー!」


 それが城に忍び込んだ動機らしい。

「そんなものが(ここ)にいたなら、俺も見てみたいものだ……」

 最終日近くなってようやく明かされる事実だったが、何の興味も沸いてこない。


「王様が見たこともないなんて、ほんとおかしいわよね! うふふっ!」

「おかしいと思っているならもう少し頭を使え!!」

 アルヴィーはそう怒鳴りながら机をドンッと叩いた。

 その拍子に机の上へ置かれたティーカップが宙に浮き、着地するときにガチャンと高い悲鳴をあげる。


「……はーん? アルヴィー王ったら寂しいんだ? そっか……まあ一週間も一緒にいたら、少しぐらい情が移るわよね。ねえ? 寂しいって言ってくれたら……そうね、あと二日程度ならいてあげてもいいわ」

 にやついた顔で言うと、アルヴィーはキャメリンを睨みつけて立ち上がった。

「貴様……」

「わっ、ごめ、ごめんなさい! 監禁とかやめて! えっちなこともダメ!」

 一人できゃあきゃあとわめくキャメリンの脇を抜け、アルヴィーは扉を開ける。


「貴様の突飛な発想にいつまでも付き合っていられるか。勝手にどこへでも行け」

 と言うと、アルヴィーは扉も閉めずにどこかへ歩いていった。



「……なんなのよ、もう。殺そうとしてこないだけマシになったけど……」

 実際、アルヴィーの鋼鉄の精神によって、キャメリンは今日まで生きながらえてきているのである。


 言葉は通じているはずなのに、意思の疎通が不可能という、普通の人間には耐えきれない異常な生活だった。


 その諸悪の権化が腕を組みながらプリプリ怒っていると、マリアが微笑みながらキャメリンの肩に手を置いた。

「殺そうとしなくなった、というよりは……ここへ来たときよりも、キャメリン様への態度が軟化した、ということではないでしょうか」


 もう軟化だとか硬化という話ではなく、対話を諦めているだけだが、マリアは人を疑うことをほとんどしないため、そのように解釈したのであろう。


「なっ……アルヴィー王は、そんなつもりじゃなかったと思いますよ。だって、だって……気に入った素振りも見せないし、優しくされてないし……」


 言っていることは本当に正しいのだが、これは『そんなことないよ』を前提とした謙遜フェイクである。

 だが、その巧妙でしたたかな女の内面に気付かないマリアは、うふふと可愛らしく笑った。

 

「あんなふうに誰かに接するアルヴィー様は見たことがありません」

 きっと誰だってない。アルヴィーでさえ、強い殺意を持ったことに戸惑いを感じているのだ。


「そ……それは、嬉しいような、恥ずかしいような……人に好意的に思われたら、それはとても嬉しいと思うわ」

 どんどんと間違った方面に二人の会話が進んでいるが、もはやここに的確なツッコミを入れる者も正してくれる者もいない。


「……でも、私が居なくなった後のアルヴィー王のことを思うと、ちょっと素直には喜べないです……後ろめたさがあって……だって、私、彼を棄てていくんですもの。明日帰っても、本当にいいのかな? 許されるのかな?」

 アルヴィーがこの会話を聞いていなくて本当に良かったと彼女には思って頂きたい。もしもこの場にいたら、一刀両断されていてもおかしくないし、誰だって同情するであろう。




「キャメリン様、どうでしょうか? 我らが王、アルヴィー様の……いえ、ウェイルズ王家の為にご成婚などを……」

 重臣の一人が、キャメリンに猫なで声で伺ってくるが、アルヴィーが控えよ、と地獄の底から響くような声で告げたので、サッと顔を青くして下がっていった。


 ウェイルズの重臣たちは、感謝と引きとめを兼ねた宴を用意してくれたのだが、先ほどのような言葉を誰かの口から飛び出すたびに、当然ながらアルヴィーの顔が険しくなる。


「……できません。確かに皆様には良くしていただきましたが、相互利益のためでしたから。これで私は契約を終えたと言う事で、帰らせていただきます」

 王を殺害しようとした嫌疑が掛けられているはずだが、おめでたくも帰れるなんて信じているのが凄い。


 今すぐ『この女を牢に放り込め』という号令を掛けたくなりつつ、アルヴィーはワイン片手に卓に座っている面々の様子を横目で見た。

 アーレンは気まずそうに食事をし、マリアはにこにこといつものように微笑みを浮かべているが……、二人とも『こちらに話を振らないで欲しい』というような気配を醸し出している。

 多分……気のせいではないとアルヴィーは思った。


「……ねえ。何のんびり酒なんか頂いてるわけ。なにか私にないの?」

「俺は何も」

「アーレン様も何も仰らないし、私のことであんなに気落ちして……」

「えっ!? あ、ああ……そうだね、どうかお元気で……」

 どうにか笑顔を繕うアーレン。


「この通り、陛下もキャメリンさんも結婚には乗り気ではありませんし、この話は予定通り破談って事で良いんじゃないかな……」

「ちょ、ちょっと。 話が飛躍しすぎだってば! 私は結婚もしないし子供も生まないなんて言ってないわよ! 皆勝手なことばっかり言って~……」


 恐ろしいことを言い放ち、ワイングラスに口をつけて、一気に飲み干す。

 飲み干すとすぐに注がれるワイン。


「いや、これが王家の総意である。今日で契約は終わりになる。助かった」

「そんな心にもないこと聞きたくないっ」

 急に涙目で訴え始めるキャメリンを相手にするのにも疲れたので、彼女にワインを薦める。

 それをまたグイっと呷る。


 そんな事を何度か繰り返した結果。




「キャメリンさん、大丈夫かい?」

 マリアとアーレンは酔い潰れたキャメリンを見て心配そうに声をかける。

「だいじょぶです。ら・い・じょーぶ!!」

 酒が入っていてもいなくても、脳の機能が残念なキャメリンは、ろれつがうまく回らないまま頷いた。

「それじゃーまた明日ねぇ~! アーレン様、マリア様、おやすみー!」

 ご機嫌な顔で手を振るキャメリン。つられてマリアもアーレンも手を振り返す。


 アルヴィーは兵士を呼びつけ、この女を地下牢に放り込んでくれと命じる。


 兵士も頷き、絨毯の上でぐにゃぐにゃになって酔い潰れているキャメリンを立たせるが、彼女は兵士にもたれかかって抱きつきながら喜んでいる。

 完璧に酔っ払いのどさくさ狙いのアレだ。


「にゃはは……もぉ~、だめよぉ~アルヴィー王が見てるぅ……」

「……連れて行け」

 しっしっ、と追いやるが、キャメリンは特に気にした様子はない。


「ふふ……王様にご褒美をあげる~」

 自分をゴミのように見るアルヴィーの顔がなんだか可愛く感じたらしく、キャメリンはアルヴィーに向かって投げキッスをする。

 自分に対して行ったのだと理解したアルヴィーは吐き気を覚えたが、腰の剣に手を伸ばすことなく……そのままさっさと部屋へ戻り、重厚な扉を開ける。



 一応部屋の中に誰かが潜んでいないかベッドの下も柱の後ろもくまなくチェックし、寝室も同じように確かめると長い息を吐きながらベッドに腰を降ろす。


「…………辛かった」


 キャメリンという長い悪夢からようやく解き放たれる事に安堵しながら、アルヴィーは額を押さえて心身の無事を心の底から祝い、その日は眠りについた。





 その後、ウェイルズ王国内では王様の婚約が破談になったことがすぐに伝わった。


 理由としては、その婚約者が亡くなったからだとか、実は他国の間者であったとか、様々な憶測が飛び交ったが――すぐに忘れ去られることになる。



 なぜなら、アルヴィーはその後すぐに別の令嬢と婚約、結婚したからである。

 その婚約話と破談の話がごちゃ混ぜになり、実は破談していたというのはフェイクだったという、ある意味うまいこと纏まった形になった。


 あれほど嫌がっていた結婚をなぜ進んで行ったのかとアーレンは兄にこっそり聞いてみたが、返事は非常に明快だった。


「聡明なる者は、話し合えば理解してくれるからだ」



 余談であるが、キャメリンはどうなったかというと――まだ地下牢にいる。


「ねえ……アルヴィー王はまだ来ないの? こんなところに幽閉するなんて、何考えてんのかしら!」

「王はここにいらっしゃらない」

「そんなこと言って私を疲弊させて、実はいかがわしいこと企んでるんでしょ! ああやだ! 男なんていやらしいことばっかり考えてる!」

「…………」

 こういったやり取りを行っている門番は、勤務の交代が早く来て欲しいと願うばかりだ。皆これが嫌だからギリギリまで来ないのも知っている。

 

 あまりにも自分に都合良く解釈するので、殺すとなんだか化けて出てきそう、というありえなくもない話になり、王の安全を考えて刑の執行が躊躇われたのだ。


「あーあ……私をここから出してくれる人が早く現れないかしらね」


 死ぬまで永遠に開放されない場所だと知ることもなく、キャメリンはもうこんなところ飽きたと言って、大きな伸びをした。

  

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