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ルスト、殴り込む

 翌日7月16日午後3時


 私はブレンデッドの街のほぼ中心部にある傭兵ギルド事務局の建物の中にいた。

 マイストとバトマイの二人が私に託してくれた重要情報を頼りにここに来ていた。事務局のエントリーホール、その一番奥に会議室や資料室へと繋がる二階階段がある。人目を避けてそこへと足を踏み入れる。

 私は周囲に視線を走らせ注意されないか警戒する。すると何者かからの疑問の視線を感じる。


「―――?」


 その視線に反応すればそこにいたのは事務の女性の1人だった。あっさりバレたと思ったが、彼女は少しだけ困った表情をして人差し指で上だと示す。

 私の右手を縦にしてお詫びを表して階段へと足音をひそめて上へと登っていく。 

 目指すのは三階。建て付けのいい階段を足場に登っていくと、ギルド長の事務室や会議室が並んでいる。そしてそれらのドアの中に表札の書いていない不審なドアが三つある。その一番右、私は耳をそばだてる。


「いる」


 人の気配がする。雑談の声がする。間違いない。


「よし!」


 ドアの取っ手を握りしめ意を決してそのドアを開けた。


――ガチャッ――


 小気味良い音を立ててドアが開く。その際に集まる視線を覚悟しながら私は中へと飛び込んだ。


「失礼します!」


 突然の声に室内の皆が驚いているのが分かる。

 広い室内の中に大きな会議用の長テーブル。その上には我がフェンデリオル国の国土地図が広げられている。そしてその両側と突き当たりに14ほどの背もたれ付きのイスが並べられている。その周囲に先だっての哨戒行軍任務で同行してもらった仲間たちが約1名を除いて揃っていた。

 姿が見えないのはやっぱりドルスだった。それ以外の集まっているメンバーを確かめて私は宣言した。


「エルスト・ターナーです! お聞きしたいことがあります!」


 私の言葉に憤りの声を返してきたのは見知らぬ人物だった。


「なんだ君は?! 部外者は出て行きたまえ」


 野太く力強い声でそれは為される。その声の主を私はしっかりと見据える。

 そこに立っていたのはカークさんをもっとスリムにしたような男性で、力強い肉体と顎に蓄えた髭が印象的な人物だった。赤い髪と蒼い瞳、正規軍人の詰め襟制服。その肩と胸元につけられた徽章からその階級が中尉であることを教えてくれる。

 その傍らには細身のシルエットの黒髪の女性、正規軍人ではないが仕立ての良い立て襟シャツにズボンと言う出で立ちから傭兵のような気配を感じさせてくる。おそらくは正規軍人の彼の秘書的役割の人だろう。

 正規軍人の彼は私にはっきりと〝部外者〟と言った。反論しようとする私を遮って声を発したのは意外にもプロアさんだった。

 皮肉るような口調で彼は言う。


「ほらな? だから言ったんだよ。彼女を除外するともめるって」


 背もたれ付の椅子にふんぞり返って座っていた彼は、姿勢を正してしっかりと座り直すと私の方に視線を投げながら言葉を続けた。


「誰が見たって隊長役やってた人間を外すなんて考えられねーよ。それにこいつ諦め悪いぜ」

「しかし、これは決定事項だ!」


 プロアはそれ以上反論しない。説得は無理だと思ったのだろう。正規軍人の彼の一方的な言葉に、これは諦めるしかないか――と思った時だった。


「ちょっと待ってください」


 そう告げながら私の背後から入ってくる人物がいた。


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【旋風のルスト正当続編『新・旋風のルスト 英傑令嬢の特級傭兵ライフと、無頼英傑たちの国際精術戦線』】
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【本編リンク】

第1部:西方国境戦記・ワルアイユ編

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■旋風のルスト:関連作品リンク■


■第2部の後のルストと仲間たちの〝それぞれの物語〟■
【旋風のルスト・アフターストーリー『それぞれの旅路』】


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▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒▒■いつも本作をごらんいただきありがとうございます
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