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マイホーム?の新機能

 スッキリとした目覚めで、気持ちよい朝を迎えた俺は洗面台で顔を洗い、昨日お屋敷に用意したタオルほどではないが、ふかふかのタオルで顔をふく。


 鏡を見ながらヘンリーさんに呼び出しされていることを思い出すが、リーナさんに会えることも思い出してちょっと顔がにやける。


「あ……」


 そこでふと大事なことを思い出した。


≪異世界住居(領主のお屋敷)が解放されました≫

≪異世界家具・生活設備・魔法具が解放されました≫

≪馬車の購入・カスタマイズが可能になりました≫

≪マイホーム機能がアップデートされ都市機能が追加されました≫

≪管理区域への電力供給が可能となりました≫

≪管理区域へのガス供給が可能となりました≫

≪管理区域への上下水道機能が利用可能となりました≫

≪管理区域へのデジタル通信機能が利用可能となりました≫

≪管理区域の道路網へ干渉が可能となりました≫

≪管理区域の防衛設備へ干渉が可能となりました≫

≪管理区画の家屋へ修復機能が利用可能となりました≫

≪管理区画の家屋へ強制執行が可能となりました≫


 マイホームのシステムログを遡り、忘れていたことを確認する。

 階段を降りて猫トイレ周辺のチェックをして、冷蔵庫の中身もチェックして朝食の支度をする。


「目玉焼きとトーストでいいかな」


 フライパンを火にかけて、厚切りだけど、ふわふわのトースト用食パンをオーブンにいれる。

 喫茶店のモーニングセットにある、あれだ! バターたっぷりで外側カリっと中はふわふわ、バターがジュわっと染み出る最高のトーストと、適当に焼いた目玉焼きで満足しつつリビングのソファーでまったり……じゃなかったマイホーム機能確認しないとな。


≪異世界住居(領主のお屋敷)が解放されました≫

≪異世界家具・生活設備・魔法具が解放されました≫


 これはまあ分かりやすかった。お屋敷をそっくりそのままコピーして建築することができて、それに付随して家具や設備、魔法具なども設置できる一覧に追加されていた。


≪馬車の購入・カスタマイズが可能になりました≫


 そのまんまだけど、馬車が買えるようになっていた。馬が必要だけどこの世界で一般的な長距離移動手段を手に入れることができた。

 転移できる場所もマイホーム同士で制限されてるし、追加で建てるにしてもそこまで移動しないと駄目だし、いずれ使うことになるかも。

 カスタマイズに関してはサスペンションや車輪の変更、車体材質なども変えて購入できるようだ。

 デフォルト設定で、通常仕様・不整地対策仕様・整地高速仕様があり、外装内装で貴族仕様なんかがあった。

 電力などは供給できないから、旅の備品で魔法具が活躍するかなぁ。

 でも結局家を建ててそこで宿泊するから必要ないか?

 一度建てた家をそのまま保管して、好きなときに好きな場所に設置する機能があるのでテントのように家を運べるからね。

 馬車を購入するとしたら不整地仕様のサスペンション強化型かな。商業ギルドから領主さまのお屋敷に移動するだけでも、お尻と腰が痛かったし。


 ペシペシ、ペシペシ


 さっきからソファーの背もたれの上に楓と紅葉が居るんだけど、しっぽで俺の顔をペシペシしてくる。


「先に手を出してきたのは、君たちだからな!」


 手じゃなくてしっぽだけど宣戦布告してきた二人を背もたれからソファーに優しく引きずりおろして、モフモフわしわしの刑に処したった!

 ひとしきりモフモフわしわしを堪能してたら、そのまま二人はソファーでお休みになられました。

 えっと、お父さんまだソファーで考え事したいんだけど?

 座る場所ないんだけど?

 しっぽと耳で返事しないでくれますか?

 ちょっとだけスペースもらえませんか?


 必死の説得もむなしく、俺はクッションへ移動して再びマイホーム機能の海へ潜る。


≪マイホーム機能がアップデートされ都市機能が追加されました≫


 さあ、ここからが本番だ。色々と追加されているようだけど、要約すると……


 都市や国を治めているとされる人物が指定している範囲が、管理区画として設定されてて、そこへ電気、ガス、上下水道、デジタル通信が利用できるように設定できるということだった。


 家屋ごとに使用量は計測できるが、集金機能みたいなのはないようだ。マイホームと違って、管理区画へのこれらの供給は魔石の魔力かお金が必要でそれさえあれば無限に供給できる。魔力による供給が大幅にお得なようだ。その差百倍っておい!


 都市内の道路整備もできるし、街道の整備などもできるがこれも治めているとされる範囲というアバウトなものだった。


 まあ領主さまのお屋敷や、使用人の寮は、管理委託という形で俺の管理下に入ったようです。マイホーム総数にはカウントされてない。


 ただ、そこで使用される電気、ガス、上下水道料金がどうも発生しているようで、俺の財布から減っている!


 大した金額にはまだなっていないが、もらった魔石から供給するように変更した。これでしばらくは持つだろう。


 建物ごとに魔石を設置するためのコアがあるようで、そこに魔石を設置しておけば、そこからその建物には供給できるようだ。領主さまへ説明とお願いをしないとだめだな。


 家屋の修理は予め設定しておいた状態へ、管理区画内の家屋などを修復する機能だが、こっちは魔石は使えずお金のみだった。

 修復ポイントは管理委託を受けて機能が解放された時点が、今のところ登録されている。


 各種の供給には魔石が利用できるが、それ以外はお金ってことね。


 強制執行は管理区画内の建物へ、電気、ガスなどの供給停止とか、立ち入り禁止措置とかあれだね、利用料金払ってないところへ色々と処置できるってことだね。

 魔力供給のコアがあるのは、管理委託を受けている建物だけなようだ。


 ヘルプや実際に機能を確認してみたりして、アップデートの内容は概ね理解できた。

 近場の街まで街道を整備しようとしてみたけど、整備費用の桁がとんでもないことになりました。道路網整備とか個人でやれるレベルじゃないね、国家予算案件だよ!


 今回は領主さまのお屋敷を管理委託したために、この街の管理区画へ干渉できるようになったけど、王様の住んでるお城とか委託されたら、今度は国土管理とか解放されちゃうのかな?


 まあそんなことになる予定も、するつもりもないから、気にするだけ無駄だよね。


 とりあえず領主さまへ連絡しておくか。

 猫電話の受話器をあげてお屋敷の受付を呼び出す。初めて電話するけど、ここで聞こえる呼び出し音は普通なんだな。

 そんなことを考えつつ、呼び出し音は続く……あれ、忙しいのかな?

 と思っていたら繋がった。



『お待たせいたしました。タケルさま何かご用でございますか?』


 執事さんが出てくれたみたいだ。っていうことはみんな忙しいのかな?


「お忙しいところ申し訳ございません。そこまで急ぎではないのですが、時間を改めましょうか?」


『いえ、大丈夫でございます。お電話が鳴っていることが、私へ伝わるまでお時間をいただいてしまいました、お待たせしてしまい、申し訳ございません』


「ああ、そういうことですか……。近くにいる人が電話に出たほうが色々と早いと思いますよ。それはそうと、領主さまへお話があるのですが、お時間よろしいですか?」


『問題ございません、タケルさまからの用件は最優先と厳命されておりますので。少々お待ちください』


 これが、常識の違いってやつか。保留中の音が流れほどなくして内線が繋がったようだ。


『アルフレッドだ、タケル君、用件は何かね?』


 最優先と言えども忙しくはあるだろうし、対応も簡潔だ。こちらとしても助かる。


「お忙しいところ申し訳ございません、昨日設置した各設備を利用する上での魔力消費なのですが、今のところ私の魔力で稼働しています。お屋敷と、使用人の寮に、魔力供給用の魔石を設置するコアがございますので、いずれ魔石を設置していただきたいのです」


 断られたらどうしようかなぁと、まあそんなことはないと思いつつ喉がゴクリと鳴る。


『承知した。セバスチャンに指示しておくので、彼に詳細を伝えてくれたまえ。あと、電話があったことを、後から知った娘の相手をするのは骨が折れるので、この後に娘とも話をするように。では指示をするので暫し待て』


 あー、ソフィーさま電話してって言ってたもんな、社交辞令としても、お風呂の感想なんかも聞いた方がいいだろう。


『セバスでございます、魔石の件を旦那さまより承りました。ご指示をお願い致します』


 口頭で二つの建物のコアの場所を説明したけど、理解してもらえたようだ。


「場所が見つからなければご連絡下さい。急ぎではありませんので。あと設備の使用頻度にもよりますが、一級品を使えば一年は交換しなくても大丈夫だと思います」


『承知いたしました。今日にでも手配して設置致します。ではお嬢様へお繋ぎ致しますので、少々お待ちください』


 再び保留音が流れ――


『――タケル君! おはようございます!』


 流れるまでもなく繋がった。


「おはようございますソフィーさま。ご機嫌は如何でしょうか?」


『何度も言ってますがそんなに畏まらなくていいですよ、わたくし以外には聞こえてないのでしょう?』


 電話のたびに言われているが、時と場合に合わせて話し方を変えられるほど器用じゃないんだけどな。


「そう言われましても、やはり私はこれが普通ですので」


『「ソフィーさま、俺を信じてくれてありがとう」、ミカエルと出会ったあの白い世界でのこと、わたくしは一生忘れませんよ。普通にお話しできるのでしょ?』


 今回は誤魔化されてくれなかったです。


「……じゃあ、出来るだけ頑張るということでお願いします。領主さまの前で切り替える自信がないし」


『はい、頑張って下さい。今日はお屋敷には来られないのですか?』


「今日はヘンリーさまに呼び出されてるから、ギルドに行かないとダメだし、たぶんそのあとヘンリーさまのご自宅にレッツゴーです」


『ふふ、レッツゴーですか? 叔父様が羨ましがっていましたから。電話があればいつでもアンナと話ができるのにって』


「アンナ?」


『叔父様の娘で、わたくしの幼なじみ。とても頭が良くて美人で元気で、今は王都の学院へ行っていますが、もうすぐ卒業で帰ってくるはずです』


「じゃあ帰ってきたら、きっとビックリするね」


『ええ、早く会いたいです。お母様が亡くなって、元気のなかったわたくしの側にいつも居てくれたの。小さいのに自分でクッキーを焼いたりして、食べさせてくれたこともあるの、「もっと美味しいお菓子を作れるように、がんばるね」ってよく言ってました。甘いものが大好きなので、タケル君から貰ったクッキーも早く食べてほしいの!』


「じゃあ、帰ってきたら、美味しいお菓子を用意するか」


『はい、誕生日も近いのでお祝いしましょう』


 誕生日か、誕生日と言えばケーキだな。イチゴたっぷりのホールケーキでも用意すれば、インパクトもあってバッチリだろ。


「じゃあ、何か考えておくのでパーティの準備は任せるよ」


『はい、任されました』


「ところでお風呂はどうだった?」


『とても温かくて、お水のことを考えずに毎日入れるのは嬉しいです。あと、使用人棟にもお風呂を作ってもらったみたいで、メリッサがとても喜んでたの』


「メリッサ?」


『わたくしのお付きメイドです。いつも一緒にいるでしょう?』


 ああ、あの人ですか。


「オッケー覚えた。あと、お水やお風呂も一応少しだけど、魔力を使ってるから無駄遣いしないでね。さっき執事さんにも説明したから、話があると思うけど」


『はい』


「じゃあ、そろそろギルドに行く準備もあるから切るね」


『はい…………あの!』


「ん? なに?」


『ううん、何でもない。また電話するね、じゃあ』


「はい、じゃあまたね」


 ヘンリーさまに娘さんいたのね、近々帰ってくるからそれで俺に相談があるのかな?

 とりあえず、シャワー浴びて準備しよう。あとヘンリーさまのお宅訪問しても大丈夫なように、お徳用クッキーと、しっとりクッキーも多めに補充しておこうかな。


 もろもろの準備をして、楓と紅葉のご飯もセットして、俺はセカンドハウスへ転移した。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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