表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/50

勉強しよう

 領主さまのお屋敷にあるセカンドハウスから転移して、戻ってきた我が家の猫部屋では、楓と紅葉がちゃんと出迎えてくれたよ。


 出迎えてくれたというか、二人が遊んでいるところに俺が帰ってきただけとも言う。


 ただいまのヨシヨシをしてから家のなかを一通り歩いてみたが、壊れたり汚れている場所などもなく、ちゃんとお留守番してくれていたんだね。


 歩いているとき、やたらとスンスンされてたのは、ミカエルの匂いに反応してたのかな。


 ちゃんとお留守番出来たご褒美に、ハイ!ちゅーぶを二人に用意して、美味しそうにペロペロするのを眺めてから、おもちゃで遊んだり、存分にモフモフしてその日は無事に終わった。


 そういえば、早速ソフィーさまから電話が掛かってきて、呼び出し音を初めて聞いた二人がきょろきょろしてたのは可愛かった。


 ちなみに我が家のデザインはもちろん、美猫姉妹仕様の柄である。


 次の日に返すのを忘れていた滞在許可証を返したついでに、お屋敷の料理人さんに美味しかった野菜のことを聞いきたところ、


「商売ないですが、昔から分けてもらっている野菜なんですよ」


 商用目的で作っているのではない、個人消費のお裾分けしてもらっている野菜らしい。


「少しなら分けて貰えると思うから、行ってみてはどうですか?」


 領主さまから出入り自由の許可をもらっているギルドカードを見せて、話をすればと提案されたので場所だけ教えてもらい、訪ねると、快くお野菜を分けてくれた。もちろん、心ばかりの銀貨を渡しておいたからタダじゃないよ。


 街の門へ行き、滞在許可証を返却して、無事に落とし物も解決したことを伝え、商業ギルドへと向かった。


 領主さまからの髪飾り発見や、ソフィーさまの呪いを解いた件の報酬の確認をしないとだめだしね。


「おはようございます!」

 昨日受付をしてくれた栗毛のお姉さんが居たので、今日も吸い込まれるようにその受付へ向かう。


「あら、タケル君、おはようございます。昨日は帰らなかったの?」

「ちゃんと帰りましたよ?」


「そうなの? まあいいけど、落とし物はちゃんと解決できてよかったね、報酬受け取りき来たんでしょ? マスターお呼びした方がいい?」


「はい、お姉さんのおかげです、無事ソフィーさまにお返しできました! ヘンリーさまもお忙しいでしょうから、今日は大丈夫です」


 まあ最初にお姉さんがちゃんと話を聞いてくれなかったら、ヘンリーさまも興味を示してくれなかっただろうし、お姉さんのおかげというのも間違ってないよね!


「えへへ、どういたしまして! じゃあ、報酬の受け渡しをするから、ギルドカードを預からせてもらってもいいかな」

「はい、どうぞ」

 やっぱりお姉さんは綺麗でかわいいな! チョロい!


「現金で受けとるの? ギルド口座へ入れておけば、ちゃんとしたお店ならカード決済できるんだけど? (あら、領主さまの魔力登録されてるのね、よっぽど気に入られたんだ……)」


 そんな便利な機能があるとは! 現金には困ってないし口座行きかな。

 て言うかマイホーム口座へ入金するにしても宝石とかにしたほうがいいし、宝石屋さんとかもカード決済できる、ちゃんとしたお店の方がいいよね、価値とかよくわからないし。


「口座でお願いします!」


「はい、……入金終わりました。カード返すね。受付では報酬内容は分からないから、カードに魔力通して残高と入金明細確認しておいてね」


「ありがとうございます。お姉さん、宝石とかを買いたいのですが、いいお店を知りませんか?」


「リーナ」


「リーナって言うお店ですか?」


「違うわよ、お姉さんのな・ま・え!」

 ああ、そういうことですか。


「あ、俺はタケルです、リーナさん、改めてよろしくお願いします」


「はい、よろしくお願いします。それで宝石関係のお店って、お姉さんにプレゼントしてくれるの?」


「…………」


「冗談よ、冗談!」

 ちょっと目が本気だった気がしないでもない。


「まあ洗浄魔法や落とし物の件ではお世話になりましたので、お礼をするのもやぶさかではないですが、いきなり宝石はないと思います」


「そう? お姉さん全然オッケーよ? ま、冗談は本当にそれぐらいとして、宝石関係だとここかな、かなりの高級店だけど品質は折り紙つきだし、タケル君のカードなら問題なく取引してくれるはずよ」


 そう言ってリーナさんは宝石商を一件紹介してくれた。最初にギルドカードを確認してもらったら、取引はスムーズになるはずよって教えてくれた。


「ありがとうございます。宝石じゃないですけど、色々と親切にしてくれるリーナさんにお礼です。量も多いので、皆さんで食べてください」


 ソフィーさまお気に入りのお徳用サイズクッキーを常備していたので、リーナさんに渡しておいた。まさか一人では食べきらないだろう。


 リーナさんにさよならしたけど、報酬の確認のためにちょっとソファーで休憩がてら座って、ギルドカードに魔力を込める。格好よく言ってみたけど、真ん中の窪みに親指置いただけです、はい。


 カードにメニューみたいなのが表示されてスマホみたいだった。タップしたら残高が表示されるが、日本円にして一千万円ぐらいの残高があった……。

 入金明細を確認したら、同じ金額が領主さまからになっていた。


 報酬高すぎぃぃぃ!!


 髪飾りを拾って届けて、猫の里親になってもらって一千万円とかないわー。貴族の面子侮っていました。呪いの件だって副産物だし狙ったわけでもないんだけどなぁ。


 まあ今さら返せないし、屋敷で多頭飼育することになるから、その時のリフォーム費用として先払いして貰ったって思えばいいや。


 予想外の収入に驚きつつ、教えて貰った宝石商に向かい店に入ったんだけど、こんな少年でも一応ちゃんと初対面の店員さんは相手をしてくれた。


 リーナさんに教えて貰った通りにギルドカードを渡して、宝石を買いに来たことを告げると店員さんはカードを確認して、俺と、カードを、それぞれ二度見したあとカードを返してくれた。


 あとは奥の商談室みたいなところで、美味しいお茶を飲みながら色々と宝石を持ってきてもらって、とりあえず五百万円分ぐらい購入して、宝石商を後にした。


「タケルさま、今後ともよろしくお願いいたします。領主さまにもお伝えいただけますでしょうか」


 って店員さんが総出で見送ってくれたけど、商業ギルドカードってすごいね、ほんと、どえらいカードだよ!


 街での予定は終わったので、さっさと転移してマイホームへ戻ってきた。

 昼御飯は分けて貰ったお野菜でサラダを作り、その旨さは感動ものだった。

 買ってきた宝石を早速換金してみる事にしたんだが、


「なんじゃこりゃ!!!」

 思わす叫んでしまいました。約五百万で買った宝石が、何故か一千万円ぐらいで換金されてしまった。


 現地通貨総量を気にして宝石で換金したら、増えちゃったよ、あかんヤツやでこれ!


 まあ今回はたまたまでしょ、運良く品質がよかっただけさ、きっと!


 さて、ここからはお勉強の時間です。猫カフェを作るにしても、ソフィーさまが沢山の保護猫を受け入れるとしても、猫と人が楽しく共存できる空間を作らないとダメだ。


 特に多頭飼育になるとその辺をしっかりしないと、猫も、人も、不幸になる。

 ニャマゾンの電子書籍から、猫と、人が、共存できるような家造りに関する本をピックアップして読み始める。


 マイホーム機能にもキャットウォークや、猫ステップ、猫天井とか、いろいろ設備はあって設置する機能はあるんだけどただ、それを置くだけではなくそこにある理由を考えて構成したかったんだ。


 …………。


 …………。


 …………。


 楓、キーボードの上で寝ないで……


 …………。


 …………。


 紅葉、楓の真似しないで……


 …………。


 …………。


 二人に邪魔――俺的にはご褒美だけどさ――されつつも、何冊か読み終わり、何度も確認したりしていると、陽も暮れて夕飯どきになった。


「二匹だけだしこのままでいいかと思ってたけど、練習もかねてこの家も猫リフォームするかなぁ」

 パソコンの電源を落として伸びをしていると、


 ピローン


 懐かしい電子音が響いたと共に、


『マイホームの機能に新しい猫設備・家具が追加されました』


 って脳内アナウンスが……マイホーム機能アップデートされちゃったよ!


『にゃ~ん、にゃ~ん、にゃ~ん』

そして猫電話から追撃の着信音!


『もしもし』

『タケル君、街に来たのにどうしてわたくしに、会いに来てくれなかったのですか?』


こうして「タケル君は街に来るたびに、わたくしへ挨拶をするルール」がこの日制定された。



お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ