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触れ合えば分かる猫の良さ! だけどちゃんと知ってよ猫のこと!

「ソフィーとミカエルのフォローをするだけなら、屋敷に部屋を用意するが……」


 現在、我々は領主さまのお屋敷の庭に集まっております。

 領主さま、ヘンリーさま、ソフィーさまと、抱っこ中のミカエル、そして俺。

 プラス執事さん、メイド長さん、ソフィーさまお付きのメイドさんの、計七人と一匹である。


「自宅で待ってる猫がいるので、長期滞在はできないのですよ。今から建てる家も、住むためのものではなく、転移拠点と各種物資購入用の端末として、利用する予定です」


 郊外の自宅から毎回通うの面倒だしね、猫フードやグッズ購入するのもマイホームじゃないと無理だし、どうせなら直接選んだりして購入してもらった方がいい。

 あとパソコンやタブレットで猫知識なんかも勉強してもらえると助かる。なんか異世界言語も対応してて、至れり尽くせりですよ猫神様!


「とりあえず建てちゃいますね!」


 敷地内であってもスペースがあれば許可なくても建てられるんだけど、マナーとして一応世帯主さまには確認しないとね。

 さすがに建築済みの建物へ手を加える場合は、許可が必要みたい。


 ちょっと悩んでログハウスみたいな平屋でも建てようかと思っていたけど、結局予算がそこまで大きく変わらないのでシンプルな二階建てマイホームを建てることにした。

 自宅と違うのは浴室が大きめなのと、浴室と隣接する洗面室の上には部屋がないので即屋根だ。一階のトイレの上は二階のトイレ。臭いや湿気に考慮した構造になっている。

 その分、二階の面積は狭くなっているんだけどね。


 外観は現地の建物をイメージして偽装、内装は欧風にアレンジして家具などもアンティーク調なものにした。その分、建築費用は増えて一千八百万円也!

 貴族さまな気がする、領主さま一家をお迎えするに、十分な物だと自負しております。


 建設位置を調整して、ポチッとな! 三次元プリンターさながらに地面から二階へ向けて家が建つ、家が建つ、俺の家が建つ。

 約一分でちーん! 異世界マイホーム二軒目完成です。


 突然出来上がった建物を見上げてみなさん、無言であります。

 立ち入り権限を今いる人へ解放する。


「完成しましたのでどうぞ中へ」


 そう言って、率先して中へ入り内装や家具を確認。うん、問題ないね。高そうな紅茶と、お洒落なティーセットも購入してキッチンへ配置。

 そうしていると領主さま筆頭にみなさん、中に入ってきたのでリビングへ案内する。

 通販端末の画面として機能する大型液晶テレビの前にある、アンティークなソファーセットに座ってもらった。

 メイドさんたちはキッチンへ案内して、コンロの使い方と、茶葉と、ティーセットを説明して、お茶を淹れてもらうようにお願いした。

 コンロはこっちの世界にも、魔物を倒して得られる魔石の魔力で動く、魔道具コンロがあるので使い方は似たようなものだ。


「どうぞ」

 お洒落なカップへいい香りのする紅茶が注がれ、みな口をつけていく。

 うん、美味しいね、よくわからないけど貴族と言えば紅茶だよね。


「ほう」

「美味しい」


 みなさんにも好評のようだ。メイドさんありがとう!

 あ、お茶菓子もいるよね、クッキーと、マドレーヌぐらいでいいか。適当に食器も購入してキッチンへ収納


「お茶用の甘味がキッチンにあるので、適当に盛り付けてもらっていいですか? お皿は好きに使ってください」


 メイドさんにお願いしておけば大丈夫だろう。


「一息ついたところで、猫の話の続きなんですが」


「ひとついいかね?」

 猫の話を始めようと思ったら、領主さまから遮られたよ。


「何でしょうか?」


「異世界から生き物を召喚したり、建物が一瞬で出来上がり、出来上がった建物のなかにすでに家具があり、お茶や甘味の用意が整っているというのは、タケル君の世界では一般的なのかね?」


「いえ、非常識なことです」

 そんなのが一般的な世界なんてあるわけないよ、領主さま!


「自分で理解していてこれか……まあいい、続けてくれたまえ」


「はい、まず食事ですが、基本的に何でも食べると言えば食べます。本来であれば食べれば最悪、死んでしまう可能性のある食材もありますが、この世界では加護があるため死ぬことはありません。あと病気や、毒なども耐性があります」


「不死ということか?」


「あー、そういうわけではなく寿命はあります、普通であれば十年は生きると思います。二十年も生きれば、とても、とても、長生きな部類です」


「そうか」


「ただ、そういった苦手なものを食べ続けると、ストレスで寿命は短くなるかもです。専用の食べ物が色々とありますので、基本はそれを与えれば良いと思います。」

 ニャマゾンでカリカリフードと、お皿や、お水のボールを購入して倉庫から取り出す。


「こんな感じの乾燥フードです。お水は飲みたいときに飲むと思いますが、なるべく新鮮な水を用意してください」


 カリカリフードのパッケージを開けてお皿に入れて、水道からボールにお水を入れてテーブルに置く。


「ソフィーさま、食べるかわからないですが、ミカエルを呼んでみてください」

 ミカエルさん、現在お家探検中です。


「はい。ミカエル~お食事ですよ!」


「にゃーお」

 リビングの扉からミカエルが顔を出す。反応早いなお前、待機してただろ!

 ソフィーさまが床にお皿と水のボールを置くと、クンクンしてからカリカリと食べ始めた。


「美味しい?」


「にゃーお!」


 お気に召したようだ。


「だいたい一日二回ですね食事の回数は。乾燥フード以外にも水分量の多いフードもあります。この辺は猫によって好みもありますので、色々と与えてみてください。お皿の形とかに拘る猫もいたりします」


 あとはトイレかな?


「トイレはあとでお屋敷に用意しますが、常に清潔にしておいてください。猫はきれい好きで、自分の身体は自分で綺麗にしていますが、その分排泄物の臭いがきついです」


 毛繕いしてる猫も可愛いよね!


「洗浄の魔法があるので、トイレのお手入れは比較的楽かもですね。一度場所を覚えさせて躾すれば、ちゃんと同じところでするで最初が肝心です」


 ご飯も食べおわって、お水も飲んだみたいなのでメイドさんに一度片付けてもらい、次はおもちゃの時間だ!


「あとはストレス発散のおもちゃなどですが……」

 まずはニャマゾンダンボールの出番だ! 倉庫からちょうどいい大きさのダンボールを取り出し床に置く。途端にミカエルはダンボールに収まり、ご満悦だ。

 さすが最強の一角と呼ばれるだけはある、ニャマゾンダンボール!


「まあ単純に暗くて狭いところが好きなので、こういった箱が大好きです。で、あとは動くものに興味を示すので……ソフィーさまをこれを、ミカエルが見える場所で適当にフリフリしてください」


 定番アイテムである猫じゃらしを、ソフィーさまに装備してもらう。


「こんな感じでしょうか?」


 ダンボールを満喫していたミカエルのサファイアブルーの瞳に紅い炎が点る!


 その瞳は獲物を見つめ、ロックオン!


 全身の力を溜め、一気に獲物へと飛びかかった!


 あとは為されるがままである。右へ、左へ、上へ、下へ、縦横無尽に繰り広げられるソフィーさまとミカエルの攻防!


 永遠に続くと思われていたそれは、突然の終わりを告げる!


 飽きた! そう言わんばかりに突然興味を失い、再びダンボールへと戻っていった。


「ミカエルー、どうしたの? おもちゃですよー」


「たまに突然スイッチが切れたように飽きたりするんですよ。あとは高いところが好きなので、そういった場所を作ったりしてあげることですね。階段とかも大好きですよ」


 倉庫からキャットタワーを取り出し壁際にセットする。


「こんな感じのタワーを用意すると喜びます。あとは爪を研ぐ習性がありますが、放っておくとお屋敷の柱とかガリガリしちゃうので、専用の柱を用意して防ぎます」


 今度は麻縄をぐるぐると巻き付けた、爪研ぎ柱を取り出して設置する。


「縄張りを主張するためのマーキング行為も含めているので、場所さえちゃんとすれば、建物を傷つけることはなくなると思います。何本か用意しておくので見極めてください」


 気づくとミカエルは、キャットタワーの天辺まで登って俺たちを見下ろしていた。


「あとはクッションとか、お気に入りの場所とか、一緒に暮らして見守ってあげてください。お屋敷のキッチンなど、入ってはいけない場所は早めに教えてあげてください。普通に言葉で説明すれば、理解してくれると思います」


 一気に説明したけど、復習できるようにしとかないとね。タブレットを三つ用意してゲストアカウントを設定、猫との暮らしに関する電子書籍をいくつかダウンロードしてから領主さま、ヘンリーさま、ソフィーさまに渡す。


「あとから知りたいこととか出てくると思いますので、こちらに資料を用意しておきました。暇を見つけて読んでください。読み方はここをこうして……」


 一通り使い方を説明して、お屋敷でも読めるけどバッテリー切れたらここへ持ってきてねって、説明してるところでお昼になったので、お屋敷に戻ることになった。


 ミカエルが帰りたくなさそうにしてたけど、君の家はここじゃないからな!

 猫とアンティーク調の家具はすごい似合ってるけど、リアル中世の屋敷が君の家なんだからな!


 ソフィーさまは終止ごきげんだったけど、領主さまとヘンリーさまは、なんだかとても疲れているようだった、難しく考えすぎだぜ!


お読みいただきありがとうございます。

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