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手掛かりを探して

 街の中に入った途端に猫マップが反応したが、どういう基準で判別してるんだろう?


 そんな疑問を抱きつつ、大通りを真っ直ぐ中央広場に向って歩きながらマップを確認すると、肉球マークは三つ点灯していた。三つしかないと言うべきか、三つもあると言うべきか……。


 ちょっと光点が多すぎるので、フィルターをかけて肉球と危険表示だけにする……うん、すっきり! もちろん危険表示なんてなかったよ。


 街の中央広場のさらに奥にお屋敷が見える。この街の代官とか、領主様のお屋敷かもしれないな。


 肉球マークのひとつが、そのお屋敷近辺にあるような気がするのはきっと気のせい、うん、気のせいさ!


 中央広場に到着したので周囲を確認してみると、確かに冒険者ギルドと商業ギルドがあった。三の鐘は一の鐘と呼ばれていた一回しか聞いてないので、あと二回鳴ればいいのかな?


 門番さんが言っていた、時鐘の塔というのが目の前のこれだろう。高くそびえ立つ塔の天辺近くに、鐘が備え付けられていた。見上げる首がちょっと辛い。


 とりあえずは先ほど拾った髪飾りの手がかりを探すために、冒険者ギルドに行ってみようか。登録するのはどっちかというと、商業ギルドにしたい。


 冒険者ギルドに入ると業務は開始されているが、まだ早い時間ということもあり人もまばらだ。


 荒くれ者に絡まれるという、テンプレを警戒していたが肩透かしだね。受付はいくつかあったが、今は綺麗なお姉さんとおっちゃんの二人だけだ。


 もちろん俺が向かうのはおっちゃんだ! 綺麗なお姉さんには免疫ないから無理!


「おはようございます、ちょっとお尋ねしたいのですがいいですか?」


「何だいボウズ? 冒険者になる相談か?」


「いえ、ちょっと落とし物を拾ったので、捜索依頼みたいなのが最近依頼されてないかなと、確認したいんです」


「落とし物? いくらこの街や、周辺が、物騒な出来事から縁遠いからって、そんな依頼をしてくる人は居ないなぁ」


「そうですか……もし髪飾り的な物を探しているような人がいれば、門番さんを訪ねて貰うように伝えてもらえませんでしょうか? 俺は今日のうちに街から出る予定なので、帰りにでも手がかりがあれば、今度街に来たときに渡せるかもしれないので」


 これぐらいであれば依頼料とかなしで、子供のお願いってことで伝えてくれるだろう。


「おう、まあそれぐらいなら構わないさ。真面目な坊主のために職員に伝えておくよ」


「ありがとうございます、お邪魔しました失礼します」


 目論み通りにことが運んだので、冒険者ギルドを後にして急いで門へ戻る。二の鐘まではさっきの門番さんが居るはずだから、伝言のことを伝えておこう。


「ということで、探している人がいたら門を訪ねるように、冒険者ギルドへお願いしてきたので、俺が帰るときに訪ねて来た人がいれば、教えてもらうことはできますか?」


「今日一日、ということであれば構わないよ」


 可能性は低いだろうけど、今出来ることはこれぐらいかな。


 気を取り直してもう一度中央広場へ戻ったところで、二回目の鐘が鳴り響いたよ。でも、もう一回鳴るまで商業ギルドには入れない。


 鐘の感覚が体感一時間ぐらいなので、それまで肉球マークをたどりながら街のマッピングをしておこうかな。



 しばらく歩き回った結果、肉球マークがあった場所は結構大きな宿屋っぽい建物と普通の民家、あとは嫌な予感が的中してしまって、街で一番大きな建物と思われるお屋敷の中だった。なんてこったい!


 宿屋はともかく民家や、お屋敷に、いきなり「猫いりませんか?」って入っていったらきっと捕まるよね? 宿屋でも捕まるね!


 どうしたものかと考えつつ、三回目の鐘がなったので、とりあえず商業ギルドへ向かうことにした。

 それが終わったら、宿屋っぽいところに行ってみるかな。そういうところなら食事もできるだろうし、お昼ぐらいに行けば偵察できるだろう。


 いざ、商業ギルドへレッツゴー!


 そして再び二択を迫られる。受け付けには綺麗なお姉さんと、おっちゃん。もちろんおっちゃ……お姉さんとばっちり目が合ってしまった。微笑まれちゃったよ!


 栗毛色のショートヘアーな、綺麗なお姉さんの微笑みに吸い込まれるように受付へ向かう。猫耳とか似合いそうだなぁ、猫と猫耳は似て非なるものだけど猫耳もイケるよ。しっぽもつけて欲しいなぁ。


「おはようございます!」


 照れと妄想を隠すように元気に挨拶! 大丈夫だ、俺は今、おっさんではない!


「はい、おはようございます。どういったご用件ですか?」


 正直ヤバイです、ブルーの瞳に見つめられてしまい、思わず目をそらしちゃったよ。ブルーの瞳って劣性遺伝らしいね! この世界がどうかわからないけど!


 それはともかく……、


「えっと、落とし物を拾ったですが、物が物だけに失くした人が探してるのじゃないかと思いどうしたものかと……、商業ギルドなら何か噂でも入ってないかなって、来てみました。あとは、ギルド登録をしたいです」


 頑張ったよ、俺、頑張ったよ。たまに視線を合わせるとずっと見つめられていたようで、ドキドキですよ。


「落とし物ね、どんなものか見せてもらってもい~い?」


 なんかお姉さんちょっとフランクになってませんか、なんだかとっても素敵なんですが、もちろん見せちゃいますよ。


「これなんですが……」


 ポケットから髪飾りを取り出して受付台に乗せると、いつの間にか近づいてきていた貫禄のあるおじさんも、髪飾りを見つめていた。


「確かにこれは拾いました。で、終わらせるのは不味いかもね……って、マスター、いつの間に!」


「ちょっと気になってね、どこでこれを?」


 ギルドマスター様でしたか、いきなり大物がご登場ですよ。包み隠さず、外壁にある鳥の巣や、予想だけど鳥の習性も含めて説明をして反応を待った。


「領主様の奥様か、お嬢様が、似たような髪飾りをつけていらっしゃったような記憶がある。今日も領主様に呼ばれているが、お嬢様へプレゼントされる、新しい髪飾りをご所望ということだ。何か、関係があるかも知れんな」


 いきなりビンゴ……だと……!


「街で滞在している宿などは、決まっているかな?」


「いえ、日が暮れるころには街を出ようかと思っています」

 さすがに猫たちを放置しておけないからな。


「なら、これから何か予定はあるかな?」


「特に予定はありません、あると言えば商業ギルドでの登録と、商売についての相談ぐらいでしょうか」


「では、私と一緒に領主様の館へ来てくれないか? いきなり会わせるわけにはいかないが、馬車のなかで待っていてもらい、もしその髪飾りがお嬢様が失くされたもので、あればお目通りも叶うであろう」


「そんないきなりで、大丈夫なのですか?」


「領主様といっても気さくなお方だ。もし、それがお嬢様のものであったとすれば、とても大切なもののはずだから、きっと会ってくださるよ。もし、違った場合は私が責任を持って買い取ろう。もちろん、君がそのまま持っていても構わないがね」


 領主様の屋敷に潜入のチャンス到来!

 もちろん、行くに決まってます!


「では、よろしくお願いします。このままだと気になって帰りづらいので」


「よろしい、準備している間に登録するのであれば、してしまいなさい。あと領主様に会う可能性もあるのだから、いつまでもそんな汚れた格好をせず、洗浄してしまいなさい」


 そう言って、ギルドマスターは奥へ消えていった。確かに土で汚れてるけど、洗浄ってなに?


「お姉さん、洗浄って何ですか?」


 お姉さんが、何言ってるのこの子? みたいな顔になってますよ。これってよくある洗浄魔法ってやつがあるのかな。


「もしかして魔法ですか?」


「そうだけど、え、使えないの? 嘘でしょ?」


「お姉さんは使えたりしますか?」


「もちろん!」


「掛けてもらってもいいですか……」


 この後、無茶苦茶綺麗にした!


 洗浄魔法に関しては、かなり呆れられたけど掛けてもらえました。


 ギルド登録も「ちゃんとお金あるの? 大丈夫?」って何度も確認されたけど無事登録できたよ。


 色々相談したかったけど、ギルドマスターの準備も出来て、馬車の用意もされてしまったので、相談は後回しになり領主様の屋敷へ向かって出発した。



お読みいただきありがとうございます。

今回は猫成分が少なかったです、ごめんなさい。

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