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2話 愛と憎しみは紙一重

レノアとルイは、暗闇の中をゆっくりと歩いていた。


(あいつらへの情は全て消した。さて、これからどうしようか)


(あいつらだけは)


「絶対に、許さない」


そう、昏く濁った瞳で呟くレノア。



ある雨の日、全てが変わった。


ドンッ


「ねえ、私やってない、何もやってない!話聞いて!ここから出してよ!ねえ!」

「うっせぇんだよ!この裏切り者!」


“ガシャンッ”


レノアは、まったく身に覚えのない罪で一方的に罵倒されたあと、地下牢につれてこられていた。


虚しく響く音 遠ざかる足音


なんの説明もなしにいきなり地下牢につれてこられて、レノアは自分がどんなことをしたと思われているのかも、よく分からずにいた。

しかし、自分がまったく彼らに信じてもらえなかった。自分が彼らに、“裏切られた” それだけはわかった。


レノアの心は底の見えない悲しみと絶望にみたされ、ただただ、自分が裏切られたそのときを、何度も、何度も、頭の中で繰り返していた。


「この、裏切り者!」

「裏切るとは最低ですね」

「裏切るとかほんとあり得ない」

「お前はもう仲間じゃない。この、裏切り者」


“裏切り者”

“裏切り者”

“裏切り者”

“裏切り者”


「裏切り、者……違う、違う違う違う違う違う!私じゃない、裏切り者は私じゃない!違う!違うの!裏切り者はっ……裏切り、者は……」


“オ前ラダ”


悲しみは 怒りに

怒りは 憎しみに

そして憎しみは 復讐を



「……復讐…………復讐、してやる」


ギリッ


歯を強く噛み締める


憎しみを抑え、牢を壊すために魔法を使おうとした、そのとき……


“ガシャーン”


「おい、お前何すんだよ!」

「待て!どこに行くつもりだ!」


突然響く物音と、いくつかの怒鳴り声 そして……


コツッ コツッ


こちらに近づいてくる1つの足音

レノアは音の近づいてくる方を鋭く睨み付ける。

やがて、暗闇から姿を現したのは……


「ルイ……」


ルイ

レノアの幼なじみであり、最も信頼していた人物

そして、偶然あの裏切りの場にいなかった人物


レノアはルイをまっすぐに見つめる。


ルイはどこまて知っているのか

なぜここに来たのか

ルイは、裏切っているのか――


それを見極めるために


ルイもじっ、と見つめ返す。そして


「僕は、レノアを信じてる、レノアだけを信じてる。早く、こんなところ出ていこう」

ゆっくりと、レノアをまっすぐに見つめながら言うルイ。


「ルイは、裏切ってないんだね……ありがとう」

ルイがかすかに目を見開いた。

「…うん。じゃあ、早くいこう」

そう言い、魔法で牢を壊し、レノアに向かって手をさしだす。

レノアはそっとその手をとる。



レノアは知らない 自分の声から 以前の優しさが消えていることを――――



レノアはもう一度ルイの目を見つめる。


「ルイ。私、あいつらのこと許さない。もう一度、ここに戻ってくる。今度は……“敵”として。ルイ。一緒に、復讐……してくれる?」


ここでしないと答えれば、レノアは金輪際ルイと関わるつもりはない。ルイの答えは……


「する。僕はどこまても、レノアについていく」

「そう。じゃあ、行こっか」


これでルイは、レノアの大切な大切な、仲間……



レノアは知らない 自分の声が 深く暗い憎しみに染まっていることを――――



「あいつらだけは、絶対に、許さない。必ず復讐してやる」



レノアは知らない 自分の声に 憎しみの中に 悲しみが隠れていることを――――



………………

…………

……



「レノアとルイは……」

「逃げましたね」

「くそっ。あの裏切り者!」

「まさか、ルイまで」


「みんな!ルイ君とレノアちゃんは特に仲が良かったから、きっと騙されちゃってるんだよ。だから、助けてあげよう?」

「で、でも……」

「ね?助けて、あげよう?」


彼ら一人一人をまっすぐに見つめ、妖しく微笑むサンディ。


「ああ、そうだな……助けてあげよう……」


そう、決められたセリフを言うように、感情のこもっていない言葉を発する彼ら。

その瞳には生気がない。


にやり


1人、密かに口角をあげる。

しかし、彼らは誰も気付かない。

それが見えていても、その映像を理解できない。



「あはは。思ったより簡単だったなー。助ける、なんて……クスクス…………さぁて、そろそろ、行かなきゃね」


そんな声も、彼らには届かない。

脳がそれを、言葉として理解しない。


彼らは、彼らも…………壊れている。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「あいつらが憎い。憎い憎い憎い憎い憎い!……絶対に、復讐してやる」



「レノア、お前だけは許さない。必ず見つけ出して、復讐する」





――愛と憎しみは紙一重――



自らも知らない、彼らの奥底に眠っていたレノアへの “執着” “狂気” “愛情”


少し前まで、レノアの心に溢れていた彼らへの “信頼” “優しさ” “愛情”



それらは、ほんの小さなきっかけで “憎しみ” へと変わった



――愛と憎しみは紙一重――



愛か憎しみか それぞれが選ぶ道は……


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