表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,レオンルート
47/53

17話 悲しみ『軟禁2日目・3日目……』

大変お待たせいたしました


『雑なこれまでの粗筋』

目が覚めたらレオンに軟禁されていたレノア

魔法は使えないことと軟禁の動機をなんとなく理解したレノアは、ここから出たいとお願いしたが、拒否され強制的に眠らされる

翌日、起きたらレオンは居らず、出口はなく、ボーッとしたまま“ルイに会いたいなぁ”と思う


~そして今回に続く~


寂しさを感じながらも、なにも出来ることがなく、ひたすらボーッと過ごしていたレノア。そうしてぼんやりとしていた意識の中に、突然大きな音が響き渡った。驚きにガバリと起き上がる。


「あ、レオン……」

「レノア!ただいま!会いたかった!」


レオンが満面の笑みを浮かべながら抱きついてきた。その様子に困惑する。

こんなレオンは、見たことがない。

レオンは、出会った頃から穏やかで、こんなに分かりやすく好意を見せることなんてなかった。昨日の狂的なものとも違う、純粋な好意に、なんだか気恥ずかしさを感じ、視線を反らす。レオンはいっそ不気味な程ニコニコと笑い、レノアを見つめている。


「あの、レオン……」

「なんだ?」


思いきって話しかけた。レノアに話しかけられたレオンが、よりいっそう嬉しそうな雰囲気を醸し出す。


「私を、ここから出して。みんなも、心配してると思うの。急にいなくなるなんて」


自分の思いを訴えても出してくれないなら、友人たちのことを話せば、出してくれるかもしれないと考えた結果だった。

優しく友達思いのレオンなら、今は暴走してしまっていても、友人のことを考えたら出してくれるかもしれない。きっとみんな、突然いなくなった自分を心配しているはず。大切な友人が自分のせいで困っているなんて、レオンは嫌なはずだ。


そう改めて考え、自分を自分で誉める。なんて良い考え。これなら絶対にレオンは出してくれると、レノアは自信に満ちていた。


しかし、当然ながらそう簡単にはいかない。レオンは相変わらずニコニコしながらレノアの言葉に返した。


「みんなって、例えば誰だ?」

「え?ルイとかだよ。何も言わずに居なくなったんだもん。ルイ、私のこと探してるでしょ?レオンは、ルイがそうやって困ってるの嫌じゃないの?」

「別に。ルイが悲しんでても困ってても、俺には関係ないし」

「え……?」

「ルイとか、どうでもいい。俺はレノアがいればそれで良い」

「っ!」


レオンの言葉に、目を見開いた。


まさか、レオンがそんな事を言うなんて

友達想いのレオンが、友達がどうでもいいと言うなんて

聞き間違いだろうか?信じたくない

どうしてレオンはそんなことを……


『俺はね、いろんな人たちに焼きもちを焼いているんだ。レノアと仲良くするのは俺だけが良いと思ってる』


(焼きもち……)


心の中で、小さく呟いた。


レオンは、焼きもちを焼いていると言っていた。だからだろうか?だから、あんなことを言ったんだろうか?

自分と一緒にいることの多いルイに、焼きもちを焼いた?

焼きもちを焼いて、ルイに嫌な感情を抱いてしまった?

自分が原因で、レオンが焼きもちを焼いてしまった?

自分のせいで、優しいレオンに嫌な感情を抱かせてしまった?


「……ぁ…………」


思考が、おかしな方向へ行ってしまった。

レオンの友人を軽んじるような言葉を、どうしても受け入れられなかったのだ。レオンがそんなことを言う人間だと、思いたくなかった。

だから、理由を考えた。このレオンは、何かのせいであって、レオン自体は優しい人だと、無理やりにでも、違和感から目を背けてでも、そう思い込もうとした。

そうして、昨日のレオンの言葉を思い出し、原因は自分だと、悪いのは全部自分なんだと、そんなおかしな答えを導きだしてしまった。


「レオン、レオンっ。ごめんね……」

「…レノア、大丈夫だよ」


レノアの瞳から、ボロボロと涙が零れた。

自分のせいだという考えにたどり着いた途端、悲しみが溢れだしたのだ。もちろん、この状況も、何もかも、レノアは悪くない。しかし、おかしな思考の沼に嵌まってしまったレノアには、ただレオンに謝るという選択肢しかなかった。そんなレノアに、レオンが優しく声をかけ抱き締める。泣きながらひたすら謝るレノアを慰めながら、レオンがニヤリと笑みを浮かべた。



◇◇◇◇



目が覚めた。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。探したがレオンの姿はなかった。忙しいのだろう。太陽は真上に昇っていて、もう翌日になっているんだろうということが分かった。


ベッドに寝転んで、ぼんやりと天井を見つめる。

昨日のことを思い出すと、自然と涙が溢れてきた。

レノアは、レオンのことが大切だ。大好きだ。そんなレオンが、ルイのことをあんな風に言うなんて、辛かった。自分のせいで、レオンがああなってしまったなんて、悲しくてたまらなかった。レオンに申し訳なくて、涙が溢れて止まらなかった。


「ふっ、うぅ、ごめん…、ごめん、ねぇ……レオン…、…私の、せいで……」


誰もいない部屋で、ひたすら泣き続けた。謝り続けた。

自分のせいで、レオンは変わってしまった。自分のせいで、自分のせいで…… そうやって、自分を責め続けた。


そうして泣き続け、涙も声も枯れてしまうという頃、レオンが帰ってきた。


「あぁ、レノア。泣いてるんだね」

「…うぅっ、、…レ、レオン………?」

「レノア、大丈夫だよ。俺は何にも変わってないよ」

「で、でも……」

「大丈夫、大丈夫。俺はレノアを心の底から愛してる。愛してるって、嫌な感情じゃないだろう?」

「ぅん、そうだけど……」

「大丈夫。時間はたくさんあるんだし、じっくり考えて、レノアなりに納得してくれたら良いから。大丈夫だよ。レノアは悪くないよ」

「うん、、レオン、ありがとう」


レノアは淡く微笑んだ。けれど、申し訳なさも、悲しみも、消えてはいなかった。


そうして悲しみが消えないまま、数週間。

レノアは今日も泣いている。1つの思考に囚われたレノアは、なかなかそこから抜け出すことが出来ていなかった。

自分のせいで、レオンがあんな感情を抱いてしまった。そのことをひたすら謝って、悲しんだ。


あの日以降そうして過ごしていたレノアが、レオン以外の人を思い浮かべることも、会いたいと願うこともなくなっていた。

そのことにレノア自身は、全く気付いていなかった。


『お知らせ』

以前どこかの後書きでエンド3つ書く予定だと書いたのですが、予定を変更してエンドは2つになりました

すいません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ