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絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,レオンルート
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16話 理解『軟禁1日目・2日目』

博愛主義といえば聞こえは良いのだろうか。レノアは幼い頃から全てを愛する子供だった。

誰に向ける愛でも、種類も量も、全く同じ。

家族にも、友人にも、犯罪者にも、見知らぬ人間にも、家族愛のような、友情のような、そんな愛情を、平等に、同じだけ向けていた。

それは、レノアの性格ではなく、性質のようなものだった。

生きていくなかで生まれた博愛主義という性格ではなく、魂が誕生した瞬間に、平等とか、誰でも愛するとか、他にもいろんな、一見キレイに見えるものを無理やり詰め込まれたような、生まれ持った性質。

そんな性質のせいで、友人への愛も、恋愛の愛も、レノアには理解できないものだった。本などで知っても、愛の種類に違いがあるというのがよく分からない。愛することで、なぜ嫉妬や独占欲といった()()感情が生まれるのかも分からない。

レオンの言う愛と自分の抱く愛の違いも分からないし、自分を愛しているレオンが何故こんなことをするのか、理由を察することもできない。

けれど、この状況の異常性はしっかりと理解できて、レノアは恐怖に震えながらも声をあげた。


「……ぁの、、私……レオンのこと、愛して、るよ……レオンも、私のこと、愛してるなら、どうしてこんなこと、するの?…変、だよっ……お願い、、私を、出して……」


レノアらしからぬ小さな声で言ったそれは、まぎれのない本心であった。確かにレノアは、レオンを愛していた。けれどそれは、レオンとは違う愛の形で、最近出来はじめた順番の中で、愛の大きさはルイの次だった。

嫉妬も独占欲も分からないレノアは、“同じだけの愛を愛してほしい” “1番に、唯一になりたい” そんなレオンの気持ちは理解できない。だから、“ここから出して”と、ただひたすらにそれだけを望む。きっと何かの気の迷いで、愛してくれているのだから出してくれるだろうと、そう根拠のない確信を抱きながら。


そんなレノアの心情を、レオンはしっかりと理解していた。ずっとずっと見てきたからこそ、レノアの心情は手に取るように分かった。だから、説明した。愛しい人に、自分を理解してもらうために、自分を理解したうえで、受け入れてもらうために。


「レノア。俺はね、レノアを愛してる。それはもう、誰よりも。愛してるからこそ、ここに閉じ込めるんだ」

「?」


いったい何を言っているんだと、そんな疑問を全面に出した表情で、レオンを見つめた。

レオンはニコニコと笑みを浮かべながら、まるで幼児に語りかけるような口調で話を続けた。

その様子に、だんだんとレノアの恐怖心も薄れていってしまった。


「レノア、嫉妬って知ってるか?」

「嫉妬………うん、焼きもちでしょ…?」

「まぁそうだけど、焼きもちって言うと、随分と可愛らしく聞こえるな。。俺はね、いろんな人たちに焼きもちをやいてるんだ。レノアと仲良くするのは俺だけが良いと思ってる」

「……よく分からない。仲良くできたらそれで良いじゃん。どうして自分だけが良いの?」

「愛してるからだよ。愛してるから、嫉妬しちゃうんだ。独り占めしたくなるんだ。やっぱりレノアには分からないかな。レノアは、好きな人も、物も、みんなに見せて、共有するタイプだもんな」

「…うん。よく分からない。でも、独り占めしたいとか、そういう考えの人もいるっていうのは、なんとなく分かった。でも、だからって、人を閉じ込めちゃうのは良くないよ……」


レオンの表情に狂気が見えなくなったことに安心したレノアは、先程よりも落ち着いた口調でレオンを説得し始めた。


「お願い、私をここから出して。あの、私これからもっとレオンと仲良くするし、えっと、、もっと、一緒にいる?、し…あと、それに「ははっ。なぁ、レノア、何を言ってるんだ?」

「え……?」


どうすれば出してくれるのか、レノアなりに必死に嫉妬や独占欲について考え、レオンを説得しようと丁寧に言葉を発していく。けれど、その声をレオンの楽しげな、馬鹿にしたような笑い声が遮った。


「レノアはずっとここにいるって、絶対に出さないって、俺言ったよな?出したりなんかしたら、レノアどうしたら良いか何も分からなくなるだろ。でもさ、必死に前より関わろうとはするんだ。怯えるんじゃなくて、頑張って関わってくるんだよ。頑張ってだよ?まるで義務みたいに、少しぎこちない笑顔浮かべて。そして、少ししたら何もなかったみたいに前の関係に戻るんだ。

俺はさ、レノアと義務みたいに仲良くなるのも、俺がレノアが愛しくて愛しくてこうしたのをなかったみたいに、1番がルイな日常に戻されるのも、絶対に嫌だ。だから、絶対に出さない。出した時点で、俺の望みが叶う可能性は完全に消え去る。せっかく閉じ込めたのに、そんなことするわけないだろ。大丈夫だ。外には出れないけど、家の中では自由だ。それに、窓から外の景色も見れる。何かほしいものがあれば、なんでも俺がもってくる。レノアはただここにいるだけでいいんだ」

「えっ。やだよ!私外出たい!」

「ダメだ」

「ムリ!」


状況に会わない、緊張感のない調子で叫んだレノアは、強硬手段にでようと瞬間移動をしようとした。けれど――


「??……あ、あれ……?」


何度ためしても、自分のいる場所に変化はない。レノアの表情に、少しずつ焦りが出始める。その様子を見て、レオンが笑みを深めた。


「レノア、魔法は使えないよ」

「え、なんで……?」


何故レノアが魔法を使おうとしていたことに気づいていたのか、何故魔法が使えないのか、その2つの疑問を浮かべながらレオンに問いかけた。


「そろそろ瞬間移動しようとするだろうと思ってた。俺がレノアの魔力を壊したから、しばらくは魔法を使えないよ」

「ま、魔力を、、壊す、、、?」

「そう、魔力を壊す。黒魔法に、魔法を無効化する魔法があるだろう?あれは、魔法の中の魔力を壊すことで、魔法を壊している。それを、人にやったんだ。レノアの体内の魔力を壊した。少しすれば回復するだろうけど、しばらくは魔法を使えない。だから、レノアは自力でここから逃げ出せない。ずっとこの家の中にいるんだ。。あっ、ちなみに、魔力を壊した影響で今は体に力が入らなくなってるから、力ずくで逃げようとしても無駄だよ」

「………」


レノアは、ぽかんと口を開けてレオンを見つめた。

まさか、そんなことが出来るとは、考えたこともなかった。


「そんなこと考え付くなんて、レオンはやっぱりすごいねぇ」


相変わらず緊張感もなく、この状況でレオンを褒めたレノア。そんなレノアに、レオンはその笑みにたくさんの幸福を滲ませた。


「ありがとう。レノアならそう言ってくれると思っていたよ。よし、じゃあ、そろそろ眠ろうか」

「えっ、ちょっ……」



――もっと話して、説得したいと思っていたのに

レオンから恐ろしさを感じなくなったような気がして、普通に話すことが出来たから、だから、早く説得して、出ていこうと、そう思っていたのに

全く出してくれそうになくて、魔法すら使えなくて――


レオンは幸せそうな笑みを浮かべてレノアを眠りの中へと落とした



◇◇◇◇



目が覚めたとき、日は随分と昇っていて、家の中にレオンはいなかった。

相変わらず魔法は使えないままだったが、体には力が入るようになっていた。だから、家中を歩き回り、どうにか逃げ出せないかと外へと続く道を探した。しかし、いくら探しても見つかることはなく、とうとう諦めたレノアはベッドに寝転んだ。


「…………ルイ………」


そして突然、もうここから出られないんだと、もうレオン以外に会えることはないんだと、どうしようもなく理解した。今まであった根拠のない自信とか希望とか、そんなものが全部消え去って、けれど絶望はなくて、ただ呆然としたまま、スッと、当たり前のことのように理解した。


「…………会いたい……さみしい………」


何故こんなことになったのか、それはまだうまく理解できないまま、ただ寂しいと、ルイや、みんなに会いたいと、もう会えないと分かった途端に、そんな欲求たちが溢れだしてきた。


    これから、どうなってしまうのだろうか

  

 「ルイに会いたいなぁ」


    そう、ポツリと呟いた。


すごく遅くなってしまいました。本当にすいませんm(_ _)m

それから、2月は投稿出来ないと思います。受検勉強に専念したいと思っていますm(_ _)m


なかなかヤンデレっぽくなってなくてすいません。

次からじわじわとおかしくなっていく予定ですので、、といっても、その次の投稿がすごく先になってしまうのですが……


取り敢えず、レオンルートは確実に完結させますので、よろしくお願いいたします

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