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絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,レオンルート
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7話 誕生日プレゼント

遅くなってしまいすいません

誕生日パーティーももうすぐ終わるというころ。

ユーリが楽しそうな笑顔を浮かべながら立ち上がった。


「よし!これからレノアに誕生日プレゼントをあげます!」

「おぉ!プレゼント!嬉しい、ありがとう!」


5人からそれぞれ1つずつ誕生日プレゼントを貰う。


ユーリとライアンは、満面の笑みで目をキラキラとさせながらプレゼントを渡してきた。その様子に、レノアの胸に純粋な喜びや楽しみが溢れた。

ギルは、滅多に浮かべない優しく温かい笑顔を浮かべながら渡してきた。それを見て、嬉しかったけれど、思わずお母さんみたいだなと思ってしまったことは、怒られるので口に出さず心の中にだけ留めておいた。  

ルイは珍しく感情を顔に出し、小さく微笑みながら渡してきた。レノアは心の中で思い切り悶えた。

そして最後に、レオンから渡された。顔を微かに赤く染めながら少し強張った表情で渡してきたレオン。いつもは全員のプレゼントが同じくらい嬉しいのに、今年は何故かレオンのプレゼントが一番嬉しいような気がした。


今年の誕生日も楽しいけれど、自分の感情に戸惑うことも多く、レノアは心の中で首を傾げた。




しばらくしてパーティーが終わり、全員が片付けを始める。

レノアも手伝おうと思ったが、主役なのだからと5人に追い出されてしまった。


一人おとなしく部屋に戻ったレノアは、5人から貰ったプレゼントを開けてみることにした。

自然と、レオンからのプレゼントに手が伸びた。美しい装飾がなされた箱を、その箱自体が最高の宝物であるかのように、大切に扱う。

そっと、ふたを開ける。

箱の中には、月の光を受け鈍く輝くネックレスと、一通の手紙が入っていた。


桃色と赤色の宝石が美しいネックレスを、レノアは優しく持ち上げ、じっくりと眺める。

宝石に詳しくないレノアは、それが何の宝石か見当もつかないが、レオンが一生懸命、思いを込めて選んでくれたんだろうことは予想出来た。


しばらくネックレスを眺めた後、次に手紙を手に取った。



―――――――――――


レノアへ


誕生日おめでとう

今年は、ネックレスを贈ることにした

桃色の宝石はローズクォーツ、赤色の宝石はガーネットだ

いろいろ考えて、これが1番レノアに似合うと思った

気に入ってくれたか?

本当にいろいろなことがあったけど、今日、こうして何のわだかまりもなくレノアを祝えて本当に良かった

レノアが俺といてくれるのは、当たり前のことじゃないんだという当然のことを、実感出来た

こうして平和になり始めたこの国で、来年も、再来年も、また5人でレノアを祝いたい

ずっと一緒に過ごしていきたい

1番なんて軽々しく言えないけど、全てを取り払ったただの俺にとって、レノアは間違いなく1番大切な人だ


俺を支えてくれてありがとう

俺と出会ってくれてありがとう

生まれてきてくれてありがとう


すごい恥ずかしいし、大袈裟だと思うかもしれないけど、これが俺の本心だ

レノアは、俺の大切な仲間で、友達だ

それはこれからもずっと変わらない


改めて、レノア、誕生日おめでとう


レオン


―――――――――――


手紙には、そんなことが書いてあった。

レオンの愛情が伝わってくるその手紙を読み、レノアの胸に大きな喜びが広がる。


ー1番大切な人ー


その言葉が、ずっと頭の中に響き渡っていた。



他の4人からのプレゼントも順に見ていく。

けれどやはり、レオンからのプレゼントがよりいっそう輝いた、特別なものに見えたのだった。



レオンからの手紙を何度も読み返していたレノアは、ふと喉の渇きに気付き立ち上がった。

廊下へと続くドアを開ける。すると、奥からレオンが歩いてくるのが見えた。


「あ……」

「……あ、、レノア。プレゼント、見てくれたか?」

レオンが、恥ずかしそうに目をそらしながらそう言った。

「…っうん!ネックレスも手紙もすっごく嬉しかったよ。ありがとう!レオンから手紙貰ったのなんて始めてだったから、びっくりしたよ」

レノアも何だか気恥ずかしく、無意味に手をいじりながら答えた。

「はは、、手紙って、意外と恥ずかしいな」

「うん。読んでる私も恥ずかしくなっちゃったよ。でも、それ以上に嬉しかった。ほんとにありがとう」

「そ、そっか、それなら、良かった…」

「……」

「………」


お互いに何を話せば良いのか分からなくなってしまい、何とも微妙な雰囲気の沈黙が続く。

いつもならば、レノアがずっと喋っているのであまり沈黙が続くこともなく、続いたとしても、それはなんの苦もない穏やかなものだった。


「じゃ、じゃあ、おやすみ。また明日ね」

「…あぁ。おやすみ」


微妙な雰囲気のまま、2人はぎこちない笑みを浮かべ別れた。


喉が渇いていたことも忘れて、大きな音を立ててドアを閉め、ベットに飛び込んだ。


自分の感情も、行動も、何もかもが理解出来ず、ただただ混乱する。

レノアにとって、レオンは大切な仲間で、友達。他のみんなと同じだけ愛おしい存在。全員が平等に愛おしい()()()()()()()()レノアにとって、“1番”というのは自分とは関わりのないものだった。そして、“1番”のいないレノアを“1番”だと言う人などいるわけがないと思っていた。

だから、驚いたのだ。レノアが1番大切なんだと伝えてきたレオンに。驚いたのと同時に、嬉しくて、恥ずかしくて、たくさんの幸せを感じた。

自分を1番大切に思っている人。レオンの事をそう認識したとたん、どう話せば良いのか分からなくなった。認識する前から、レオンへの感情に違和感を感じていた。それなのに、こんな事も知ってしいまい、レノアの心はぐちゃぐちゃだ。


これから、レオンと以前と同じように接することが出来るのか


そんな不安を感じながら、レノアは1人目を閉じた。

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