表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,レオンルート
36/53

6話 誕生日

「「「レノア、誕生日おめでとう」」」


いつのまにか自分の周りに集まっていた4人と横にいたルイが声を揃えて言った言葉に、レノアはやっと今日が何の日かを思い出した。

「そっかぁ。そういえば今日は私の誕生日だったね。みんな、ちゃんと覚えてて、しかもこんなふうに祝ってくれてありがとう。すごく嬉しい!」

思い出したというより、誕生日であることを認識したようなレノアが、満面の笑みを浮かべてお礼を言った。


「やっぱりレノア忘れてた。毎年忘れてるよね。毎年祝ってるんだし、嫌でも覚えない?」

ユーリが呆れたようにそう言う。ユーリの言う通り、レノアは毎年規模に違いはあるが、周りの人達から祝われていた。それなのに忘れている。その理由はきっと、幼い頃から自分という人間を何度も否定され、自分へ関心を向け自分自身と向き合うことを恐れるようになってしまったから。だから、無意識のうちに自分への関心に制限をかけ、生まれた日さえも認識しないようにしている。

それ以前に、そもそもレノアはその日の日にちを確認していないので、覚えてもあまり意味がなかったりするが…。


毎年誕生日を覚えていないレノアだが、祝われるのは嫌ではない。

様々なプレゼントや今年のようなサプライズはもちろん嬉しいが、何より、自分が生まれてきたことを祝い、喜んでくれる人がいる。それだけで、レノアは十分に幸せなのだ。


わいわいと話をしながら、6人は部屋の中央にある丸テーブルのもとへ行き、席に着く。

テーブルの上には、たくさんの豪華な食事がどこか誇らしげに鎮座している。


「わぁ!すっごい美味しそう!ギルが作ったの?」

「そうです。一生懸命作ったので、ぜひ全て食べてくださいね」

ギルが完璧な笑みを浮かべながらそう言った。

目の前にある大量の料理を見て、レノアは顔をひきつらせた。


「ギルだけじゃないよ。ぼくも作るの手伝ったんだよ~」

2人の会話を聞いて、料理の向こう側からユーリがそう主張してきた。

「そっか、ユーリも作ってくれたんだね。ありがとう!」

「ふふっ、どういたしまして!」

レノアが感謝を伝えれば、ユーリは満面の笑みを浮かべ言葉を返した。


「おれは飾り付けしたぞ!ここ全部。凄いだろ!」

今度は、ライアンが得意げな表情を浮かべながらそう言ってきた。部屋は、それなりの広さで、そこを全部飾り付けしたとなると、大変な作業だっただろうことが予想出来る。

「ここ全部か。すごいね!さすがライアン。飾りの間隔がバラバラなところとか、すごくライアンっぽいね」

レノアは心からの感謝を述べた。悪意は一切ない。褒めているのである。

「バラバラでも、きれいだから問題ない!」

「うんうん。きれいなら何でもいいいいよね」

2人ともおおざっぱな性格なので、全く気にしていない。

そういうのが気になってしまい、魔法での装飾中にできる限り直していたのがレオンである。


「これを計画したのはレオンなんだよ。2週間前突然やろうって言ってきたんだ。魔法の飾りとか演出とかも、やっては修正してを引くほど繰り返しながらやってて、多分レオンが一番頑張ってたし、楽しみにしてたんじゃないかな」

ユーリが楽しそうな笑みを浮かべてそう言った。

「そうなの?レオン、ありがとう!さっきからこれしか言えてないけど、ほんとありがとう!すっごい嬉しいと思ってるよ」

レノアは、ちょうど隣に座っていたレオンに思い切り抱きつきながらそう言った。


「っ!…レノア……レノアが喜んでくれたなら良かったよ」

そう言って、照れているのか顔を赤く染めながら優しく微笑んだレオン。

その笑みを見て、自分の心に明らかに以前よりも多くの幸福や喜びが広がる。

「レオン、顏真っ赤だよ。照れてるの?」

突然の感情に驚きつつもどことなく気恥ずかしさを感じ、レオンの胸に顔をうずめて隠しながら誤魔化すようにレオンをからかう。

「べっ、別に照れてない!」

「レオン、嘘は良くないよ」

「だから、嘘じゃないって」

そうやって、抱き合ったまま楽しげに話す2人。


(もう付き合っちゃえばいいのに)

「……」


自分の感情に混乱していたレノアは、ユーリがそんなことを思っていたことにも、ルイが悲しげに2人を見つめていたことにも、全く気が付かなかった。

なんか普通の恋愛小説みたいになってるけど、少しずつ病んでいくので安心(?)してください。

あと、キャラがぶれちゃっててすいません。


~宣伝~

『自称ヤンデラーの失敗』という話が完結しました。全部で13話。これから番外編を投稿予定です。メンヘラ少女が主人公で矛盾のないヤンハーを作りたいなと思い、勢いで始めて勢いで終わった話です。

メンヘラというか、他者承認欲求?みたいなのが強い主人公で、自分もヤンデレに愛されたいタイプのヤンデレ好き。ヤンデラーの定義が分からないので、自称をつけておいた。すっごいヤンデレウェルカムなので、最初は全然ヤンデレっぽくない。最終話でドンとくるけど、主人公が全く怖がらないからどうしてもヤンデレが薄れちゃってる。多分番外編の方がヤンデレてる。

あと、最終話にはルイも出てきます。作者のただの自己満足です。

この話よりヤンデレ度は低いけど、時間があれば読んでみてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ