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絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,レオンルート
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3話 図書館

翌日、レノアはレオンの部屋で目を覚ました。なぜか、レオンと抱き合って眠っている。

レオンの部屋で膝枕をしながら酒を飲んでいたのは覚えているが、途中からの記憶がない。酒を飲んで記憶を失くすのはレノアにとって初めての経験だった。

どうしてこんなことになっているのか、自分は何かおかしな事をしてしまっていないかを尋ねるために、レオンを揺すり起こす。


「レオン、レオン、起きて-!レーオーンー!」

「……はっ。俺、いつの間に、寝てた?」

「あ、レオン、起きた!ねぇ、私、途中から記憶ないんだけど、なんか変なことしたりしてない?」


眉を下げ、不安そうな表情で聞く。レオンに、何か迷惑をかけていないだろうか。記憶がないというのは、想像していたより不安なものだった。


「いや!ぜんっぜん!変なことなんて、するわけないじゃないか!」

「そう。良かった」


2人の会話は、噛み合っているようで実は噛み合っていなかったのなが、お互いそれには気づかなかった。






「あ、ルイ-!」


お昼頃、レノアは庭の木陰で涼んでいるルイを見つけた。

レノアの方を向いたルイは無表情だが、嬉しそうな雰囲気を纏っている。


「ね、ルイ。今ひま?」

“こくり”とルイが頷く。

「なら、一緒に図書館行こう!」

「…良いよ」

「やったぁ!」


ということで、2人は図書館へ行くことになった。





静かな図書館に、ペラペラと本をめくる音だけが響く。

そこに時々混じる、小さな笑い声や鼻をすする音。今日も図書館には、たくさんの人がいた。


「ふー。面白かった。次は何読もっかなぁ」

一冊読み終えたレノアは、小声でそう呟いた。

「…おすすめの本があるけど、それ読む?」

レノアの声に反応したルイがそう言った。

「え!何々?読みたい!」

「…じゃあ、ついてきて」

「うん!」



「この本だよ」

図書館の奥の方へ来たルイが、一冊の本を手にとった。


「この本はね……」

ルイが楽しそうな雰囲気で、本のおすすめする理由を話し始める。


「おー!面白そう!やっぱりルイって薦めるの上手いよね。ネタバレせずに、でも良いとこ教えてくれるから、いつも読みたくなっちゃう!」

「…そんなこと、ないよ」


ルイが少し照れくさそうに笑った。


「あ、貴重なルイの笑顔だ。かっわいー」

「ちょっ、からかわないでよ」


2人は、顔を近づけ、小声で心底楽しそうに話している。

お互いの揺らぐことのない信頼から生まれる、楽しげで幸せそうな笑顔と雰囲気。何も知らない人が見れば、恋人だと思われてもおかしくない。



そんな2人を、影から見つめる者が1人。

たまたま調べたいことがあり、図書館に来ていたレオンである。

その顔には、怒りと悲しみが浮かび、握りしめた拳から、赤黒い液体が溢れだしていた。


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