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絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,レオンルート
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1話 隠された気持ち

ある日の朝


目覚ましの音を聞き、レノアはぼんやりと目を開ける。

ほどんど覚醒していない頭のまま、顔を洗い、髪をとかし、服を着替える。

その間、目は半分閉じ、よたよたとした歩き方で何度も物にぶつかったりつまずいたり……

行動ものろのろといつもよりずっと遅い。

その後ソファーに座り、何かすることもなくぼーっとする。そうしていれば、だんだんとまぶたが下がっていき、やがて完全に閉じきった。スースーと穏やかな寝息が聞こえてくる。


コンコン


「レノア、入るぞ」


そう声をかけ、部屋に入ってきたのは、ルイではなくレオンだ。

いつも二度寝したレノアを起こしにくるのはルイの役目だが、今日はこれから2人で出かけるため、レオンが起こしにきた。


「レノア、起きろ。レノア」

「…………ぅん?…ルイ?……あれ、、ちがう………レオンだ…なんで?…」

「これから一緒に出かけるからだろ?早く起きろ」

「…出かけ………?…………あ!そうだ!今日はレオンと出かけるんだ!レオン!早く行こう!」

「あ、ちょっ、、レノア!引っぱるな!」


レオンの言葉を理解したとたん、レノアは完全に目を覚まし、レオンの手を引きながらばたばたと部屋を出ていった。



◇◇◇◇



「あ、レオンにレノア!…じゃなくて、国王様とレノア様」


街に出れば、たくさんの人達に声をかけられる。


「レオン、お前ちゃんと寝てるのか?……ですか」

「レオン、適度に休憩しろよ……ですよ」

「レノアちゃん、お菓子いる?……ですか?」


反乱軍での癖がなかなか抜けず、全員言葉がおかしくなっている。レノアもレオンも、反乱軍の元仲間達に敬語を使われるのは違和感があるが、敬語をやめろとも言えないため、苦笑いを浮かべながら会話をする。完全なプライベートの場では敬語でなくても良いと言っているのも、癖が抜けない原因の1つだ。


いろいろな人と話したり、いろいろな物を買ったりしながら、2人は図書館の裏側にやってきた。そこは、子供のころ幼なじみ4人でよく遊んだ場所だった。誰もいない、静かで穏やかな場所。図書館の壁にもたれかかり、本を読んだり、街で買ったものを食べたりしながら、目の前に広がる森を眺める。4人のお気に入りの場所。最近、ずっと来ていなかったが、気付けば2人ともここに向かっていた。穏やかな、無言の時間が続く。


「ここに来るの、久しぶりだね」

「あぁ」

沈黙を破り、レオンに話しかけた。

「ここは、何も変わってないね」

「……あぁ」

「いろんなことが、変わった。私達の、見た目も力も考え方も、最後にここにきた時と比べて、ずっと変わった。国だって、変わった。みんなで、協力して変えた。

でも、ここは変わってない。静かで、穏やかで、景色がきれいな場所。ここに来ると、安心して、何だか幸せな気持ちになる。ここが好きだなって思う。そんな私の心も変わってない。レオン達が好きって気持ちも、あの頃と一緒。

……なんか、安心した。全部が変わったんじゃないんだね。みんなで、幸せになれるように、がんばってがんばって変えた。幸せな場所は、変わらないで残ってる。変わったのと、変わらないの、両方の幸せが私達にはある。変えるのは大変だったし、今も、やらないといけないことばかりで忙しいけど、幸せも、こんなにたくさんあったんだね。私達、、すっごい幸せ者だね!」


そう言って、最後に本当に心から幸せそうな笑顔を、レノアは浮かべた。


「そうだな。俺達は、最高に幸せだ」

レオンも、幸せそうな笑顔をレノアに向ける。

その笑顔は、王子でも、反乱軍のリーダーでも、国王でもなく、昔ここで何度も見た、“レオン”の笑顔だった。



「…………なぁ、レノア。幸せついでに、1つ相談していいか?」

「相談?」


真剣な顔になったレオンは、レノアに向けてそう言った。


「俺はさ、国王なわけじゃないか」

「うん」

「国王として、1番大事なのは国だ。常に国民を何よりも優先する。国にとっての最善の選択をする。

……でももし、たった一人の愛する人が出来たら、俺はどうすれば良いと思う?

もしかしたら、その人より国を大事にして、その人より国民を優先して、その人にとって悪い選択をすることになるかもしれない。

もしかしたら、その人を1番大事にして、その人を何よりも優先して、国や国民をないがしろにする、国より、その人にとって善い選択をする、そんな国王になるかもしれない。

どちらにしろ、中途半端だ。俺はそんな人間になりたくない。それならいっそ、誰かを愛するのなんて、しない方が良いんじゃないかって、思うんだ……」

「…………なんでその相談を私に?」

「………女子だから?」

「私、恋愛したことないから、ちゃんとした答えは返せないと思うよ」

「それでも良い。レノアの意見を聞きたいんだ」

「うーん……でも、私個人の意見だから、それだけで決めないでね」

「…………」

「なぜ無言……まあ良いや。えーっと、私は、我慢するのは違うと思う。自分の気持ちをおさえつけたって、つらいだけ。確かに、国王として、大事にすべきことはたくさんある。でも、レオンが選ぶような人なら、そういうこと、理解してくれるような人だと思う。それに、レオンは1人じゃない。国王は、1人じゃないんだよ。レオンが迷った時、間違えそうになった時、支えてくれる仲間はたくさんいるよ。どうせならその人とケンカした時、私が仲介するよ!…だからレオン、我慢なんてしないで。

………誰かを愛するというのは、すごいことなんだよ。誰かたった1人、愛する人ができるというのは、簡単なことじゃない。奇跡みたいなことなんだよ。でも、誰にでも出来ることでもある。想い会うことは、とても難しい。想いを伝えることさえ、出来ないことだってある。でも、相手を心のなかで想う事だけは、その人の自由だよ。たった一人を愛せるのは、とても幸せなことなんだよ。私には一生出来ないかもしれない。でも、レオンにそれができるなら、我慢なんてしないでほしい…………ごめん、いろいろ言っちゃって。私の方も言いたいことがごちゃごちゃになっちゃって」

「いや、、レノア、ごめん、ありがとう……」


-ギュ-


そう良いながら、レオンはレノアを優しく、けれど強く抱きしめた。


「レノア、俺、もう……()()()()()から」



-ガシャン-



何かが壊れる音が、どこかで重く、重く響いた。


レオン!もう我慢しないそうです!レオンは国王としての責任と、レノアの一番はルイだからって理由から、自分の気持ちに気づかないふりをしておさえつけていましたが、レノア本人に言われたら我慢なんてやめちゃいますよね!

レノア!やっちゃったねー♪ニヤニヤがとまんない。

まだまだレオンはヤンデレ1年生!はたしてこれからどう成長してくれるんでしょうか!私にもまだ分かりませんが、皆さんが望むヤンデレになってもらえるようにがんばります!

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