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絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,共通ルート
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9話 3日目 ライアン

3日目

部屋にはレノアとルイ、ライアンがいた。

ライアンは、真剣な顔をして床に正座している。


「レノア、ルイ、ほんっとーにすまなかった。昨日の夜ユーリに何があったのか説明してもらって、おれがすげぇ酷いことをしたんだって分かった。10発……いや何発でもいい、おれを気がすむまで殴ってくれ!」

そう言って、レノアとルイの目の前でライアンが頭を下げた。

「いやちょっと待ってあんた昨日の夜まで何があったか理解してなかったの?」

しかし、もうすっかり許しているレノアは、別の部分に関心がいく。

「……あ、まぁ、うん…魅了魔法とか初めて聞いた」

「えぇ。だいたいの人が使える、恋の駆け引きとかにも使われる魔法だよ?まぁ私使えないから詳しく知らないけど」

「おれ魔法も恋愛も興味ねぇからなー」

「そう言えばそうだったね」

身体能力が異常に高いライアンは、魔法の知識が少なく、魔法を使うこともほとんどない。そのうえ恋愛に全く興味のないライアンが、いくら一般的な魔法といえども、知るはずがなかった。


「そんな事はどうでもいい!レノア、おれを殴ってくれ!」

そう言い笑顔で両腕を広げるライアン。

「やめてそれだけ聞くとあんたドMだから!」

「ん?おれはドMじゃないぞ!それより、気のすむまで殴ってくれ!」

「だからぁ……もう、いいや。えっとね、ライアン。私もルイも、もう怒ってないから。殴らないからね?それより前みたいに遊ぼう?」

「んー。まぁ、レノアが言うならそうするか!」

そう言ったライアンは、太陽のように明るい笑顔を見せた。



「……て言っても、特にする事ないよね」

「確かになー」

「ねー、ルイ。なにするー?」

そう言いながら、レノアはルイに抱きついた。

「おー。2人だけでずるいぞ!おれもおれもー」

立ち上がったライアンが、抱き合っている2人を一緒に抱きしめる。

「あ!私この感じ知ってる。小説で読んだ。母親が息子を抱きしめて、その2人を父親が抱きしめるっていう家族の感動シーン」

「てことは、おれとレノアが夫婦でルイが息子か!」

「そういう事だね!」

「……僕が、息子で………ライアンが、レノアの夫?」

レノアの腕の中で、ルイがぼそりと呟く。

「そうだよー。ルイは愛しの我が子ー」

「……我が子」

「ねぇ、私達6人はさぁ、家族だったらどの立場かな?」

「突然だなぁ」

レノアの突然の問いかけにライアンが反応する。

「いや、なんとなくどうかなーって思って」

「うーん。取り敢えずギルは母親じゃね」

「うん、それは確実。ギルってなんだかんだ言って面倒見良いもんね。それなら、やっぱ父親はギルの親友のレオンかな?」

「おう。それがぴったりだ!」

「なんか、疲れて机で眠るレオンの肩に、エプロンつけたギルが毛布かける様子がすごい想像できる」

レノアの脳内に、お似合いの2人の様子が浮かび上がる。

「あー、確かに!じゃあ、1人目の子供はもちろんおれだな!」

「はぁ!?私だから!ライアンの下はなんかやだ!」

「えぇー!?酷くね!!」

2人の間で小さな口喧嘩が始まる。

「ぜんっぜん酷くない!てか、1人目はやっぱルイじゃない?4人の中で1番しっかりしてるし」

「うん、確かに。言われてみれば……それで、ユーリはやっぱ末っ子だよな」

「うん。母親(ギル)の目を掻い潜り父親(レオン)にあざとく、ずる賢く金をせびるユーリ。似合いすぎて怖い」

「まさしくユーリだな」

「じゃあ、もちろん2人目が私で3人目がライアンだね!」

「はぁ!?絶対逆だ!」

「いやいやいや!私が上、お姉ちゃん!」

「絶対、おれが兄貴だ!」

(バカが2人……うるさい)

「「ルイ!(おれ)が上だよね(な)!」」

再度口喧嘩を始めるレノアは、ルイの心の声に気付かず、ライアンと共にルイに詰め寄る。

「……もう、双子で良いんじゃない?」

ルイの若干呆れたような言葉に、2人は本当の双子のように同時に顔を輝かせた。

「「それが良い!」」

(良いんだ…)

「平和的解決だね」

「ルイ頭良いなぁ」

そうして、2人のくだらない言い争いは終わった。


ライアンの謝罪から始まった3日目は、無事以前の日常を取り戻すことに成功した。



■■■■



レノアは、おれの仲間で、数少ない女友達だ。

平民のおれは、国の騎士団員だった。王妃様が死んでからくさり始めた国。その国を変えるために、反乱をおこそうと第2王子だったレオンに誘われた。

難しいことは分かんねぇが、おかしくなってきてた国のためにこれ以上自分の力を使いたくなかったし、レオンに味方した方が良いっておれの勘がいってたから、誘いに乗ることにした。

そして、レノアを紹介された。女と関わる事は滅多になかったから、どう接すれば良いのか分からなかったけどレノアは面白くて良い奴だった。

そんなレノアがおれは好きだった。家族みたいに思ってた。

それなのに、おれは酷いことをした。

何が起きたかは分かった。でも、おれがレノアにした事や言った事を具体的に思い出すことはできない。そんな状態で謝っても、それが本当に謝ったことになるのか……でも、レノアは許してくれたし、もう、これで良いんだと思う。難しい事を考えたって、おれには分かんねぇしな。

ただ、1つおかしな事があるんだ。今回の事件の前と後で、何かなくなった気がするんだ。仲の良いレノアとルイを見るたびに、なんだかよく分からないもやっとした気持ちになるのに、今日抱き合う2を見てもそんな感情浮かばなかった。何でだ?………まぁ、どうせ考えても分かんねぇし、それがなくなったって何かなるわけじゃないからいいけど。

よーし、レノアやルイとも仲直りしたし、これからまた頑張っていくぞー!


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