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絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,共通ルート
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4話 もう一度

「諦めろ、サンディ。お前の負けだ」


その場に響いた新たな声に、レノアは後ろを振り返った。そして、驚きに目を見開いた。


「アラン、様」

「…………」

そこにいたのは、国の王太子であり、レオンの兄であり、レノアの元婚約者であるアラン王子だった。


タタッ

「兄様!どうしてここに?」

サンディがアランの目の前にかけて行き、そう言った。

「に、兄様って、え?どういう…サンディが、アラン様の、妹!?」

サンディの言葉に、レノアは酷く混乱する。


「サンディが、妹か。まあ確かに、私はこいつの兄だな」

そう、アランが言う。

「サンディって、平民じゃないの?」

「さぁ、どうだろうな。それより、このゲームはお前の勝ちのようだな、悪魔の子」


「「…え?」」


アランが、ルイの方向を見ながら言った言葉に、レノアとサンディの声がそろう。


「に、兄様、どう…っ!」


“ドサッ”


アランに声をかけたサンディが、突然その場に倒れてしまった。そして、


“パチンッ”


アランが指をならしたとたん、周囲にたくさんの人が倒れた状態で現れた。それは、レノアを裏切った反乱軍の者たちだった。


「……え?」

「では、私はこれで帰らせてもらう」

「はぁ!?」

「もう、用はすんだからな」

「ちょ、ちょっと!」


そう言うと、アランは倒れたサンディをつれ、転移魔法で消えてしまった。


「ル、ルイ……」

助けを求めるように、先程から1度も言葉を発していないルイを見上げた。


「落ち着いて。まずはみんなをどうにかしよう」

「う、うん」


うなずき、全体に治癒魔法をかけた。

反乱軍の人たちが、キラキラと光り輝く。


「ねぇ、ルイ。みんなに何があったの?」

「今から、説明するね。でも、どうせ話すなら、一気に話した方が良いよね」


そう言ったルイは、魔法で倒れている全員の頭上に大きな岩を落とした。


「っ~~~~!」


全員、声にならない悲鳴をあげ、それぞれの反能をする。


「な、何すんだよぉ」

幹部の1人であるライアンが、頭をおさえながらそう言った。


「……みんなを起こそうと思って」

「相変わらず雑だな!」

「そんな事より…」

「無視!?」


それは、懐かしい光景だった。まだ仲間だった頃の、日常の光景。ただ、懐かしいと、ただそれだけ思った。


「……あれ?そういやおれ、何してたんだっけ…………ん!?ど、どういうことだ!?おれがレノアを……えぇ!?何が、どうなって!…むがっ」

「はいはいちょっと黙ってようねぇ。お前が喋ると話が進まないから」

「むがー」


これまた幹部の1人であるユーリが、ライアンの口を後ろから塞いで黙らした。


「じゃあ、みんなに何が起こったのか、僕の推測だけど話すね」

「みんなはサンディに、方法はわからないけど異常に効力を上げた魅了魔法をかけられて、操られてた。で、さっきレノアが治癒魔法をかけてみんなを元に戻した」


ルイは簡潔に説明した。


「え!?みんな操られてたの?」

「…うん」

ルイの簡単な説明を聞き、レノアは驚きに目を見開いた。


「レノア!」

突然、後ろからレオンが名前を呼んだ。


「すまなかった!操られてとはいえ、レノアを酷く傷つけてしまった。俺は最低だ。本当に申し訳ない」

レノアが振り返ると、レオンが深く頭を下げ謝ってきた。


「レオン………確かにその時はすごく悲しかったけど、今はもう()()()()()()()()()よ。それに、操られてたんだからしょうがないよ」

レノアは、笑ってそう言った。それは、優しくも残酷な言葉だった。


「なんとも思ってない、か。なぁ、レノア。レノアはもう、俺たちに興味がないか?」

「っ!さすが、レオンだね。私のこと良くわかってる………うん、私はもう、みんなに対して何にも思ってない。みんなは完全に、過去の人たち」


その場に、重い沈黙が広がる。


「レノア、頼む!もう一度、もう一度だけチャンスをくれ。お前の信頼を取り戻すチャンスを……頼む!」

「……あ……えっと…」

「レノア!おれも頼む!魔法とか、よくわかんねぇけど、お前に酷いことしたっていうのはわかる。なんなら殴ってくれてもいい。だから!おれたちとまた仲間になってくれ」

ライアンが、レオンの横に並びそう言ってきた。

「ライ、アン……」

「「「レノアさん!すいません!!俺(私)達に、もう一度チャンスを下さい!お願いします!!」」」

他の反乱軍の人達もいっせいに謝って、もう一度仲間にと、そうレノアに言ってきた。


「みんな……嬉しいけど、私、、みんなの期待に応えられるかわからないけどよ?みんなが悪くないっていうのはわかってるし、いま、悪い感情をもってる訳じゃないけど、一度は憎んだ人達だから……」

「それでもいい!お前がまた、戻って来てくれるなら、何でもいいから……だから………」

レオンが、そう懇願するように言った。


「………わかった」


レノアは、ただ一言、そう答えた。


………「「「よっしゃー!」」」


一瞬の静寂の後、その場に何人もの喜びの声が響き渡った。


「わわわわ!」

それに驚きつつも、辺りを見回し、ふと、あることに気づいた。


「あれ?……ル、ルイ!ちょっとみんな黙らせて」

「わかった」

ルイはすぐに、先程の魔法をもう一度全員に使った。


「「っ~~~!」」

「ルイ、今度はなんだよぉ」

「レノアに、黙らせてって言われて……」

「だからお前は「それより!……それよりギルはどこ?それと、ユーリは何でかたまってんの?」


副リーダーであるギルの姿がどこにも見当たらなかった。そして、何故かユーリが全く動かずに、まるで人形のようにそこに立っていた。


遅くなってしまってすいません

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