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絡み合う愛情と憎しみ 少女は誰の手を掴むのか  作者: 如月麗羅
第2章 反乱軍,共通ルート
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3話 決意

『これ以上、レノアを傷つけんなっ!』

そんなレオンの言葉に、レノアは思わずレオンの名を声にだした。それは、本心からの言葉だと、理屈なしにそう思った。

レオンの呼吸はあらく、レノアの言葉に応えることはない。


「レ、レオン!」


レノアは、すぐにレオンのもとにかけ寄る。

けれど、それは知り合いに対する情からの行動ではない。どんな事情があったとしても、レノアにとってレオンはもう過去の人間で、どうでもいい存在。かけ寄るのは、見知らぬ人が困っていたら助けるのと同じ小さな善意……

そんな事は、あの時から分かっていた。あの時、一瞬頭に過った感情。それに恐怖しながらも、自分が異常である事を理解した。それでも、目をそらし続けた。認めたくなかったのだ。けれど、もうそんな事はしない。しっかりと、自分と向き合う。こんな時に限って、悲しみや苦しみは浮かびあがる。それも、何もかも全て、正面から向き合う。そう、決めたのだ。


「レオン、どうしたの?大丈夫?」

赤の他人に対する情からの言葉。

「何があったの?」

自分たちがなぜ追い出されたのか、そんな疑問もこめた問いかけ。


「……」


「……レオン?」


何も答えないレオンの顔を覗き込む。

目を合わせようとしたが、レオンは虚ろな目で、どこか遠くを眺めている。


「レオン!」


強く、その名前を叫ぶ。


「………あ、」


一瞬、たった一瞬だけ、レオンの瞳に光が戻り、目がばっちりと合った。


「レ、ノア?………っ逃げろ!今すぐっ頼む。俺、がっ、まともなうちに!………はやく!……っ」


そう言って、レオンは意識をうしなってしまった。


「えっ、ちょっ、えっ!な、何!?」

「……レノア」

「ル、ルイ!これ、どうすれば……」

声をかけてきたルイに、助けを求める。

「とりあえず落ち着いて。レオンはどうして倒れたの?」

「えっ、と。なんか逃げろって「あっれ~。どうして2人がここに?」


「「!?」」


突然の新たな声に、2人は同時に声の聞こえた方向に目を向ける。


「サンディ……?」


そこにいたのは、反乱軍にいた少女。

幹部でも何でもないのだが、レオンたちと仲の良かった少女だ。


「はぁ。なんで元に戻っちゃうかなぁ。こいつは」


そう言って、サンディはレオンの服の襟を掴んだ。


「え?何して「うっさいなぁ。この、裏切り者。あはは!」

「!」


驚いた。

ただただ、驚いた。

悲しみや、憎しみ、怒り、そんな感情は浮かばなかった。

その事に、自分が本当に反乱軍に対してもう何も思っていないんだと、実感させられた。


「レノアは裏切り者じゃないよ。ねぇ、サンディ、君が反乱軍のみんなを操って、あんなことをさせたんだよね」

「操って、て。えぇ!?」


突然のルイの言葉に、レノアは目を見開いた。


「で、でも、人を操つるなんて出来るの?」

「出来ない事はないよ。でも…「そんな事はどうでも良いでしょ。さっさと出てってよ」


ルイの言葉を、サンディの冷たい声がさえぎった。


「絶対に出ていかない。ねぇ、サンディ、君は何者なの?」

「………」


ルイの問いに、サンディは沈黙をかえす。

その場に、重い空気が張りつめる。



「諦めろ、サンディ。お前の負けだ」


突然、その沈黙をやぶるように、暗闇の中に威厳のある、しかしどこか楽しそうな声が響き渡った。


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