5話(選択肢4) アレク
5話その4です。 4話の続きです。
レノアは、アレクと共に街の観光をしたいと思い、アレクの部屋へ向かっていた。
“コンコン”
「アレク、いる?」
「レノア!どうしたの?」
レノアが言った瞬間、アレクがバッとドアを開けて出てきた。
「アレクは今日も元気だね。ねえ、もし暇なら一緒に街の観光しない?」
「もちろん!すぐに準備するね」
◇◇◇◇
街に出た2人は、まるで子供のようにはしゃぎまくった。
いろいろな店に入り、様々なものを買い、食べ歩きもした。
夕方になり、遊び疲れた2人は広場にあるベンチに腰掛けていた。
「あー、楽しかったね!」
「うん!こんなに遊んだのは、久しぶり」
「確かに。僕らの国では反乱がおきててお店なんてなかったもんね」
「……うん」
「あ、ごめんね」
「ううん。大丈夫」
「…………」
「………………」
暗い話に、2人の間に沈黙がおちる。その沈黙を破ったのは、アレクだった。
「……ねえ、レノア。レノアは、あいつらに何をされたの?」
「…あれ、アレクには、言ってなかったんだっけ」
「そうだよ!だって、そんなこと、聞くに聞けないんだもん」
「そう、だよね。ごめんね」
「うん。それで、あの日、何があったの?」
「あの日は……」
それから、レノアはあの忌まわしき日について、時に冷静に、時に感情的に、アレクに話していった。
「そんなことが、あったんだね」
「うん。でも今は、結構落ち着いてきたんだ。私、昔から負の感情、っていうのかな。そういうのをを保っておくことができなかったんだよね。何があっても、次の日にはその感情が薄れちゃってて。今回は、さすがに次の日になっても全然薄れなかったけど、やっぱり数週間すれば結構薄れちゃってるんだよね。まあそれでも、今でも憎いし、悲しい。今まで感じた憎しみとか悲しみより、ずっと強くそう思ってる。それがすごく、苦しかったんだ。負の感情を、ほとんど感じたことがないから。私、悲しみだって、ほとんど感じたことがないの。だから、そういう気持ちをどう処理すれば良いか分からなくて。だから、今日はありがとう。アレクと遊べて、すごい心が軽くなった」
そう言ってレノアは、最近は消えていた心からの笑みを浮かべた。
「レノア………僕で良かったら、いつでも一緒に遊ぶよ!だから、いつでも誘ってね!」
「アレク…ありがとう!」
「うん。僕だけは、ずっと、ずーっと、レノアの味方だからね」
「うん。ほんとに、ありがとう」
「よし!じゃあ、なんか食べよう!」
「え!?まだ食べるの?」
「うん!もちろん!ほら、何が食べたい?」
「え、じゃあ--」
こうして、1日は終わっていく。
未来への道は、無限にある。
どんな行動をとるか、何を言うか、小さなことで、道は簡単に別れる。
今日のレノアの行動は、誰にどんな影響を及ぼしたのか、そして、レノア自身には、どんな影響があったのか。
「僕の宝物、みーつけた。明日は、どんなことをするのかな。あさっては、その次は--ああ、永遠にみていたい」
「レノアは、僕が守らないと。もう、あんなことは2度とおこさない。僕は誓ったんだ。危険は、排除しなければ」
「今日は、大丈夫だったかな。嫌われてないかな。お願いレノア、嫌わないで。レノアに嫌われたら、僕は--」
「今日のレノアも、可愛かったなぁ。レノア、早く僕の元に堕ちてきて。レノアの味方は僕だけ。僕だけなんだよ」
選択肢全部、終わりました。
負の感情に悲しみが入るかはちょっと微妙なんですけど、今回は入れた方がいいので入れました。
それにしても、最後のセリフ書いてて気づいたけど、全員1人称が僕でしたね。自分で書いてたくせに、驚いちゃいました。作者がかわいい系好きなせいですかね。勿論、頼れる兄貴系ヤンデレとか、不良風のヤンデレとか、腹黒紳士(?)系ヤンデレとか、いろいろいます。25人いるんで(笑)
これからもよろしくお願いします。