33話 古の魔王の血族
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(*´꒳`*)
僕が魔力を一気に、解き放った事により…その場にいた、殆どの魔族が気を失った…。
魔族は聖の魔力に弱く、特に…勇者や聖女などの、聖の魔力を使いこなす者は、魔族の天敵なのだ
それでも…勇者や聖女の魔力に耐えれる者もいる…。
それは、魔王の血族である。
古の魔王は、初代勇者と長き戦いにより…耐性が身についたと言われており、古の魔王の血を、より濃く受け継がれている者こそ…魔王に相応しいとされているのだ。
僕の魔力に当てられ…意識を保っているのは、4人だけ。
1人目が、青い顔をして、僕を苦虫を潰したような、顔で睨んでいる…気持ち悪い魔力の魔族。
2人目と3人目が、漆黒の鎧とマントを着た兵士さん…かな? その人達は今にも倒れそうになるしながらも、何とか気合いで立っている感じがする。
最後の1人が神官さん…なのかな?その人だけは、ニコニコ…と笑っていた。
ちなみに、レイムさんは結界内で、まだ眠ってます。
「この聖の魔力…貴様…勇者だな…。馬鹿な奴だ…仲間も連れず、のこのこと1人でやって来るとは…。
ここには親父と兄貴達がいる! いくらお前が勇者だろうと1人では敵うはずがない!」
「ん〜〜確かに、今4人がこっちに向かってきてるみたいだね。…でも僕としては、レイムさんを攫えば、別に他はどうでもいいんだよね」
僕はレイムさんを、お姫様抱っこして、空いた天井から出ようすると…急に1人目の魔族が、ニヤニヤと笑い出した
「なんだ? 人族の希望とも言われる勇者とも、あろう奴が逃げるのか!? そうだよな!? 所詮、魔力も、身体能力も中途半端な人族なんかに、俺達、古の魔王の血族に敵うはずがないよな!! ギャーハッハッハ!!」
「あっ! そうだ! ついでに、そこら辺に置いてある、ご飯も攫っちゃおう!」
「テメェ! 図星つかれたからって、無視してんじゃねぞ!?」
何か喋っている、人をほっといて…僕は近くにあった料理を全て、アイテムボックスの中に入れた。
「よし! 帰ろっと!」
「逃すわけねぇ〜だろうが!! ダークウィップ!」
「邪魔ー!」
レイムさんを、お姫様抱っこしようと、すると…いきなり、1人目の魔族から、闇の縄で縛る、魔法が飛んできたので、手で振り払ったら…見事に魔法が、跳ね返り、使用者を縛り上げた。
「よし! 今度こそ、帰ろうっと!」
「もう遅えんだよ!!」
バン!!
扉が開くと…中から、灰色の髪を生やした4人の魔族が入ってきた。
先頭には、灰色の髪を腰まで伸ばし…目が赤く、口には2本の鋭い牙が見えた。
その後ろには、眼鏡を付けた魔族…オールバックの魔族…ワンピースを着て、きだるそうな魔族が見えた。
「ふむ…我でも、奴の力を見通す事が出来んな…。流石は勇者と言うべきか…それに…奴には聖の魔力の他にも、何か我等と同じような力を持っているように感じる…。
…どちらにせよ我等じゃ勝てぬな」
「父上、私にも、彼に勝てる未来が見えません。もし、彼と戦闘になった場合、私達が勝てる見込みなど、0ですね」
「クウ〜、兄貴の言うことも分かるぜ! この聖の魔力の濃さ! こいつを当てられただけでも、寒気が止まらねぇ! 俺が見てきた中でも、ズバ抜けてヤバいぞこいつ! だからこそ、やりがいがあるってもんよ!!」
「はいはい、退散、退〜〜散〜。私達は勇者に戦い、重傷を負って、終わり〜〜、それでいいでしょ? もう部屋に戻ってもいい?」
1人の女性の魔族が帰ろうとすると、レイムさんに迫っていた、魔族が慌てだした。
「待てよ姉貴! 親父も兄貴も! コイツはたった1人だぞ!? 俺達の力を合わせれば、コイツを殺せるだろ!!」
「黙れ…クルチュム」
「うっ…!」
先頭の、渋いおじさん魔族が、睨むと…震えだした
「この魔力に当てられ、碌に立つ事も出来ずにいる者が、力を合わせるだと…? 修行もせず、相手の力量も計れぬ者が、お前は魔王の血族として、相応しくない…消えろ」
ゴオオオオオオオオオオ!!!!
「ギャアアアアアアア!!!!!!!!」
魔王の右手から、黒い炎が吹き出し…やがてドラゴンの形となり…クルチュムを飲み込んだ。
やがて…黒い炎は消え、そこには、灰だけが残り…天井から入ってきた、風で飛んで行った。
「…さて、勇者よ…お前がここに、いる以上我はお前と殺し合いをしなくてはならぬ…。それが魔王としての責務よ。
我ではお主には勝てぬ事は、ノインの未来予知でも、分かっておるが―――む?」
「…勇者はどこへ行った?」
「勇者? ああ、それなら、どっかの女の子を抱えて飛んでちゃったよ? それより、私ここにいる意味なくなったよね? じゃあ部屋に戻るから」
「私達を殺す事も去るとは…あの勇者はいったい…?」
「あ〜〜! クソ!!全然気がつかなかったぜ! 次会った時は必ず、拳を合わしてえな!」
「あの勇者は、魔王城まで来て、何をしたかったのだ…⁇」
魔王の困惑が混じった声が…広い部屋で虚しく響いた。