レイムさん視点②
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お父様はかえってくるなり、レアルさんを「脆弱な下等生物」など言ったのです…。
さらには、私を助けてくれた、お礼を、お父様は…屋敷に入れるだけでも充分だと、言ったのです…。
私は、お父様が怖くて、お父様とお爺ちゃんが言い合っているのを見ているだけしか…出来ませんでした…。
そして、何故かレアルさんが、イシュタム家の最強の兵士…ドラゴニュートのイグアスさんと戦う事になりました…。
結果は…レアルさんが勝ちました。
レアルさんが持っている、白銀色の片手剣を、いつのまにか、イグアスさんの首の近くにあったのです…。
そしたら、いつも冷静な、お父様が急に叫び出したのです。
お父様の叫びを聞いていると…人族という、種族に恨みがあるように感じられました。
お父様はレアルさんに、襲いかかろうと、した所を、お爺ちゃんが止めて、お父様を屋敷へと、運んで行きました。
そして…いよいよ…この時が来てしまったのです…。
レアルさんが、私を助けてくれた事と、魔国ユーメニアまで一緒に連れてきてもらった事…のお礼として、白金貨10枚と我がイシュタム家のメダルです。
このイシュタム家の紋章が刻まれたメダルが、あれば…一般の方が入らなかった、色んな施設に入ることが出来ます。
…でもレアルさんは、レストランしか入らないと…思いますけどね…。
レアルがメダルを受け取って、初めて使う場所を思い浮かべ…クスッ…と笑みを浮かべた
そして、レアルさんは、お礼を受け取ると…私の前から姿を消しました…。
私は去っていく、レアルさんの背中を見ているだけしか出来ませんでした…。
レアルさんが1歩1歩進む度…私の心はレアルさんと、もっと一緒にいたい! …と叫ぶように鼓動が強くなり…涙が溢れてくる…。
私は何度も手を伸ばしては…戻しました…。
レアルさんは、美味しい物を食べる為に世界を巡る…と…言っていました。
もしかしたら、また会えるかも――
いえ…きっと……もう会えない…。
私は…もうすぐ…王族との繋がりを作るために第3王子に嫁ぐ事になっています…。
第3王子からは、悪い噂しか、聞きません…。女性に酷い事をしたり…ぶつかったメイドさんを処刑したり、子供を攫ってきたり…と…。
私は…そんな人に嫁ぐのです…。幸せなんて…ないでしょう…。
溢れ落ちそうになる、涙を手で拭き、泣いているのを誰にも見られないように…急いで部屋に入り…鍵を閉めると…。
私はその場で力が抜けるように、ズルズル…と背中にドアを当て座り込み…ついに眼から大粒の涙がこぼれ落ちそうになった時――
「キュ!」
緑色の蛇…チロちゃんが私の目の前にいて、細い舌で涙を掬ってくれました。
泣き疲れた私は、いつのまにか眠ってしまったみたいで…目をこすりながら、開けると…
「…えっ?」
見たことのない、部屋の中にいました…
部屋には、ソファーとテーブルの上に茶菓子とティーポットとティーカップと――
「キュ〜」
「チロちゃん!?」
銀色の檻に入った、少し元気の無いチロちゃんがいました
「どうして…」
分からないことが多すぎて、整理ができずにいると…部屋のドアが開き、お腹を揺らしながら、目つきの悪い灰色の髪を生やした、人が入ってきたのを見て…私は察しました…。
私は…攫われたのだと…。
「ったく! 手間をかけさせやがって!」
そう言って…第3王子は私の顔を叩きました
「ッ!」
「俺から、逃げられると思ったのか? お前はこれから、一生俺の性奴隷として買われるんだ…。イッヒッヒ! 夜までが待ち遠しいなぁ〜レイム? ギャーハッハッハ!!」
第3王子のクルチュム様と最初に出会った時のは、あるパーティの時でした…。
クルチュム様はいきなり、私の腕を強めに掴み「俺の女になれ!」 と…言われてのです…。
その時はお爺ちゃんが、場を収めてくれて、窮地を得たのですが…。
その頃から、何も変わっていなかったようです…。
言いたい事を言って、クルチュム様は部屋をドカドカ…と大きな音を経てて、去って行きました…。
それから、王城のメイドさんに、黒いドレスに着替えと、化粧をされ…メイドさんに、誘導され…いえ…逃げられないように、囲まれながら、進み、ドアを開けると…中には沢山の貴族の方がいました…。
そして、中央には、クルチュム様と、魔神父がいました…。
クルチュム様は、私を見ると、気持ちの悪い笑みを浮かべながら、舌なめずりをしました…。
背筋を寒気と溢れ落ちそうになる、涙をグッと堪え…ゆっくりと…足を進めた…。
分かってます…。私みたいな女性が沢山いることを…でも…。
レイムがクルチュムの元に着くと…殿下はバッ! …とガーゼーを取り払った
…せめて…もう1度だけ…レアルに……
クルチュムがレイムの腰を掴み唇を合わせようと…近づいていく…。
――会いたい
彼女の眼から1雫が床に落ちると同時に、それは起こった…。
天井が突然崩れると、同時にクルチュムが横に吹き飛び…バランスを崩した彼女を…水色の髪を生やした青年がそこにはいた…。
「レイムさん! 貴方を攫いに来ました!」