31話 カルカンの策
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ラティーナお姉さんからの教えを実行するように僕は、再びレイムさんのお屋敷に来ていた
門番の2人の魔族の人とも出て行く時に、僕を知っているので、門前払いにあうこともなく確認に向かってくれた
レイムさんのお爺さんからOKが出たみたいで、別の警備をしている魔族の人が案内してくれて無事にお爺さんがいる、部屋に着いた
「カロン様、連れてまいりました」
「入りなさい」
「はーい!」
中に入るとソファーに座りながら本を読んでいるレイムさんのお爺さんが見えた
「どうかしたかの? ではないみたいじゃなの…その目…何かを決意した目じゃ」
「うん! 僕はレイムは奪う!」
「孫を奪うじゃと…? いったいどうゆうつもりじゃ、事の次第によってはタダでは済まさんぞ?」
「ラティーナさんが言うには、僕はレイムさんに初恋してるみたいで〜『男なら奪ってしまいなさい』って言われたの! もちろん、その前にレイムさんの気持ちを聞いてからだけどね!」
僕がそう言うと、レイムさんのお爺さんは頭を抑えた
「あの女狐め、何を考えておる…此奴が本気を出しおったら、誰も止められんわ…」
レイムさんのお爺さんは、ため息をして、立ち上がった
「儂も一緒に行く…流石に孫を奪う! …と言う奴を1人で行くわけにはいかん」
レイムさんのお爺さんに続いて、僕も立ち上がり、レイムさんの部屋に行こうとすると…レイムさんの魔力が無いことに気がついた…。
「?お爺さん、レイムさんが屋敷にいないみたいだけど、どこかに行ってるの?」
「なんじゃと!? レイムはずっと部屋にいるはずじゃぞ!? さっきも部屋の前まで行き、ちゃんと返事も返ってきおった! …だがお主がここで、儂を騙しても何の得にもならん…。
儂についてこい!」
お爺さんが影魔法で影に沈んだので、僕も後をついていく、僕がお爺と同じ場所に出ると、レイムさんのお爺さんはドアに触れていた
多分ここが、レイムさんの部屋なんだと思う…
「レイム! 開けるぞ!」
「お爺ちゃん、開けないで、1人にさせて」
ドアの向こうから聞こえてくるレイムさんの声は、力が無くまるで人形のようだった…
お爺さんは持っていた鍵でドアを開けると、そこには…
「お爺ちゃん、開けないで、1人にさせて」
真っ白な人形と、荒れた部屋…
本棚の側には、崩れ落ちたであろう本が散らかっていた
「くそ! カルカンめ! ここまで堕ちおったか!」
お爺さんは壁を叩き、パラパラ…とヒビが入った。
「レイムの居場所は恐らく王城じゃ! 今すぐ―――」
「大変です! カロン様!」
再び影の中に入ろうとする、お爺さんの目の前に執事の服を着た人が部屋に入ってきた。
「イシュタム家、領地を目指し魔物の大群が移動をしているとの報告が!」
「なんじゃと!?」
とりあえず僕は、レイムさんの魔力を探した。
レイムさんには、僕が作った魔力たっぷりのカツ丼を食べ、しばらく魔力が増えているはず……見つけた!
でも…レイムさんの周りにはいっぱい魔力がある…? しかもチロの魔力もある!? どうしてそこに、いるんだろう…。
「くそっ! カルカンはどうした!」
「カルカン様は、王家との会談があり、領地内にはいません!」
「クッ…! カルカンの奴めー! こうなれば儂が行かなければならないと分かった上でやりおったな…! しかし、こうまでしていったい何を……まさか!? 奴めこの隙に結婚をさせるつもりじゃな!! ふざけおってぇぇええ!!」
ドン!!
お爺さんが力いっぱい壁を叩いた後…目を閉じて、深呼吸をし、レアルを見据えた
「こうなっては仕方ない…。レアルよ…孫を…レアルを奪うのを許可する! 儂は魔物の相手をしなくてはならない! 先祖から受け継がれてきたこの土地を無くすわけにはいかんのじゃ!」
お爺さんは下唇を噛み、血が流れ…力いっぱい握りしめている右手からも血が垂れ、床に落ちる
本当は、自分で行きたいはずなのに…僕に託してくれた…。
僕がスライムだった頃も、この光景を何度か見たことがある…。
託した相手の顔は、皆が悲しみや怒りを抱いていた…。
中にはそうでもないものも、あった…
ご主人様は託された時、いつも言っていた言葉がある…僕も言うべきだろう!
「貴方の気持ち確かに受け取りました! 後は僕に任せて、ゆっくりと眠ってください」
僕はかつて、ご主人様がやっていたように…相手を地面にゆっくり…と倒して…。
「お主こんな時に、何を…!」
開いた目に手を添えた…。
「儂を死人みたいに扱うのはやめんかぁ〜〜!!」
「痛ぁあい!!」
お爺さんから勢いよく、ゲンコツをされた僕は…頭を抑えた。
なんで怒られるの!? ご主人様はいつもこうやっていたのに〜
「何を唸っておる! 手遅れになる前にささっと行かんかぁ〜!!」
「痛ぁい! 行くからお尻を蹴らないでー!」
お爺さんはいつのまにか持っていた鎌に逃げるように…僕は王城にいるレイムさんの元に向かった…。
僕…強いのに…こんな扱い酷いと思う!