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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第4章 革命の時は来た
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第20話 解放……そして

 ネイティブの全体解除宣言が発動されてから、一時間も経たないうちに三分の二が同意、晴れてグループ:ネイティブは崩壊した。


 そして、それと同時、次郎とネイティブとの間の契約をすべて解除される。そのあとの次郎は……圭が知っているいつもの次郎、そのものに戻っていた。




 それから、数日何事もない日々が続いている。


「どうした圭? 神妙な顔してよ。まだ、何か考えているのか?」

「ふっ、いや……ぼーっとしてただけだよ」


 そう言いながら、フライハイトで卵サンドを口に放り込む。そのまま、スマホをちょこっとスマホをいじった。


 立ち上げているアプリはコントラクトなんかではない。あれから、亜壽香に紹介されたおすすめゲームをやっている。そのゲーム内の『体力』ゲージがたまっていたので、それを軽く消費させておく。


「平和だ……」

「……おう? どうした圭? なんか悟ってねえ? あれか、セカンドパティオでキャッキャウフフしている女子たちを見て一言か?」


「……俺の視線、スマホ。お前の視線、外。その違いから、その感想がどっちのものか、簡単に検討がつくな」


 次郎はこっちが返した言葉に耳を傾けもせず、窓からセカンドパティ(にいる女子たち)を眺めていた。



 少し話を戻すが、次郎にネイティブとの契約が切れたあと、ネイティブと結んでいた契約を教えてもらった。


 その内容はやはり、圭が想定していたものだった。

 契約を他言しないこと。そして、仮面ファイター5103(小林圭)の行動を監視し、制御する契約を。


 また、コントラクトの新規ユーザを発見した場合、グループ:ネイティブに入れるため行動を起こせ、という契約もあった。次郎曰く、この契約がされているのは、一部ネイティブから信頼を寄せられていた人物らしい。


 この点を解釈すればある意味、次郎はやはり幹部的立ち位置にいたのかもしれない。そして、その契約によって、ネイティブは勢力範囲を広げていっていた。


 ネイティブにとったら効率いい小遣い稼ぎとして利用していたと見ていいだろう。


 とにかく、この契約が次郎の行動を狂わせていたということが判明し、次郎と圭との仲がおかしくなったのも、これが原因だったとはっきりわかった。


「おいおい、圭。あれ、あの子可愛くね。ってか、スカート短くね」

「……はいはい、そうですね」


 思えば、次郎の様子が一気に変わったのは、圭がコントラクトのアプリを入れたということを次郎に話した直後からだった。

 圭が次郎に自分がコントラクトの新規ユーザだと教えてしまった形になり、そこから契約の効果が発動していったということだろう。


 確かにコントラクトは強力だ。契約の仕方によれば、容赦なく契約者の人格を変え、ありもしない虚構の溝、亀裂を次から次へと走らせていく。


 だが、それも全て終わった。


 次郎と圭は、コントラクトの支配から免れ、元通りの学校生活を送れる。おまけに、次郎は何もせずとも、ネイティブから返済金が送られてくるんだ。


 もちろん、ネイティブがこれから先、どうやって金を生み出し、返していくのかは知らない。だが、元グループ:ネイティブのアカウントは全て独立を認めさせている状態、新しくグループを作り上げるのも困難だろう。


 黙って、バイトでもしてくれたら助かるのだがな……。


「いや、どうでもいいか。自業自得だ」

「え? 何が?」

「いや、なんでもない」


 そう言いつつ、圭もまたセカンドパティオの風景を眺めた。

 しばらくはのんびり、過ごすとしよう。



 そんな圭思惑とは裏腹に、人知れずネイティブを解放した者の存在が否応なく噂として広がっていく。契約によって情報は規制され、圭の名があがることこそなかったが、その存在は……ときには尾ビレまでついて世間を渡る。


 学校中の生徒たちは、いつしかそんな存在をこう呼んでいった。



『解放者』と

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