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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第4章 革命の時は来た
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第19話 解放の時

 無事、策が発動し勝利した圭。


 内心、かなりホッと安堵していたが、それはマスクの裏に隠しつつ、ネイティブともう一度向き合う。対してネイティブは苛立ちながらも、降参というように、両手を軽く上げていた。


「くそが……分かったよ。お前との契約の解除を認めればいいのだろう?さっさとしてやる」

「いいや、違いますよ」

「は!?」


「とにかく契約を書きなおしましょう」

 そうしてエンゲーム契約を新しい契約条文に圭は打ち込んで変えていった。



『第一条 ネイティブatp(以下甲という。)は集団契約『グループ:ネイティブ』(代表者甲)に対して全体解除の意思を示すこと。


 第二条 甲は集団契約『グループ:ネイティブ』(代表者甲)の全契約者と甲が結ぶ結ぶ個々契約に対して契約解除の意思を示すこと。


 第三条 集団契約『グループ:ネイティブ』(代表者甲)によって納金されてきた金を本人それぞれに返却すること。


 第四条 この契約において解除の意思を示した相手の独立を認めること。


 第五条 甲は乙及び丙の正体を口外及び発信しないこと。』



 そんな出来上がった条文を見てネイティブは絶句していた。


「あ……は……はぁ? 俺たちって言ってただろ? 乙たち……って契約だろ? せめて入って、てめえの友人……元友人かは知らんが、その西田程度だろうが」


「そうですね。俺たちです。別に俺たちであって俺と次郎と断定した覚えはありませんが」


「……そ……そんな……ふざけろよ……」


「正直……あなたが冷静であれば、このあいまいな表現の穴ぐらい見つけられたと思いますが、それも……見落とすほど追いつめられていたみたいですね。

 正直、これに関しては厳しいかと思っていましたが、無事契約できそうなので、副産物として遠慮なく受け取ります」


 ネイティブはそれでも受けきれないのか、首を横に振り続ける。ゲーム中、冷静に圭を分析していた男子生徒だとは思えないほどに、鬼気迫る顔で契約の画面を見つめている。


「ざけんな、ざけんな。ざけんな! てめえ、西田で十分だろうが! それ以上に何を求める! なぜ、全員の解除をお前がさせようとする? お前にメリットはないだろう! お前が今やりたいのは、自分自身を被支配から逃れさせることだけじゃないのか!」


 ネイティブの負け犬の遠吠えにも聞こえる交渉を聞き流していた。


 まあ、もし、この穴に気づいた場合、最悪自分自身と契約の関係であの女子生徒の解放、できるのであれば次郎も、程度で考えていた。事実、ネイティブの正体と釣り合う条件といえばこのぐらいになるのだろう。


 少なくとも、全員を解放し、全員に金を返すというのは、実質かなりきつい借金を背負うことになるだろうから。といっても、その借金も元々は他人から搾り取った金だが。


 それなら、いっそ正体がバレたほうがマシだと考えているのかもな。契約は絶対である以上、金を返せと言われたら返すしかなくなる。


 だが、正体はばらされても、ごまかしようならいくらでもあった。それこそ、でっち上げだと言って、何かしら証拠を作れば終わりだった。少なくとも、圭には他者にこの人物がネイティブであるということを裏付けられる証拠を突きつける材料はなかったのだから。


 あくまでも、ネイティブの正体がこいつであると、圭の中で完結していただけ。


「だが、契約は契約だ。そこに……情けはない。コントラクトのルール上な。あなただって、散々、やってきたことじゃないですか」


「ぐっ……ぐぅっ……」


 ネイティブは抗おうとしていた。だが、コントラクトは……本当に絶対だった。その意思に反して、意志すら捻じ曲げて、ネイティブはこの契約に同意することになる。


 事実、ネイティブはやがて抵抗する意思を見せなくなり、黙ってスマホ画面に指を向けていた。


 そして……契約は成立する。

「ネイティブは解散だ」


 こうして……ネイティブにとらわれた人たちはすべて……解放されたのだった。

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