表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第4章 革命の時は来た
63/130

第11話 接近

 一通り予定通りことを進められたので、次郎のスマホにLIONでメッセージを送る。


『こっちはうまくいった。そっちはどうだ?』

『ブラボー、こちらアルファ こちらも予定通り、舞台のセッティングは終了。今、第2の予定場所に現在移動中。まもなく到着。送れ』


 ……LIONでも同じノリかよ……、まあでも、確かに重要な要素は隠されているから、第三者から見られても問題ない内容になっている。

 それは、確かに必要なことだろう。通話の話内容を聞かれても問題ないことにしたことを考えれば、次郎のやり方は間違っていないのだろう。


『そのまま頼む』

 メッセージを送り返すと教室を出て、圭もまた予定の場所に向かう。


 その場所は下駄箱、誰もが下校時に通る場所だ。ここで、やつを待つ。


「といっても、うまくいくかどうかは分からんが……」

 やはり心配は拭えないが……どちらにしても、いつくるかは分からない。せめて、とにかく集中して待つしかない。


 下駄箱を出たすぐ近くにあるベンチに座り、来る人物を待つ。


 といっても今の時間、下校する奴らは既に下校している。出てくる人数は限られるが……ネイティブがそんな段階出てくるかどうか……。もし、やつが警戒していれば時間を空けて、部活を終えた学生らに紛れて出てくることもあるかも知れない。


 いや、そもそもネイティブが部活をしている可能性もあるのか。

 本を片手にしばらく、待っていると何人か、出てくる人物がいた。だが……ターゲットはそこにはいない。



 だが、それから三十分も過ぎない頃、突然やってきた。


 軽く茶色に染めたその男子生徒、細めの輪郭の顔。雰囲気からは、直感的に何かを感じる。それを感じると同時に圭は一度、顔を俯かせた。


 もし、顔を見られて、やつが本当にネイティブならば警戒される。しばらく、やつが校門に向かって歩んでいったところで立ち上がり、近づきながら背中の襟元に視線を向けた。


 そして……。

「……来た」

 やつが……ネイティブだ。




 直ぐに歩み寄り、ネイティブの背中に立つと思い切って声をかける。


「こんにちは、ネイティブですね」

 外している可能性もある。だが、可能性は高いし、なにより言い切らなければプレッシャーはかけられない。


 事実、ネイティブと思わしき男はその途端にぴたりと足を止めた。


「おっと、まだ振り向かないでください」

「っ!」


 反射的に振り向こうとした男子生徒を制した。

 男子生徒はそれに従い、振り向きはしなかったが、前を向いたまま言葉は発してきた。


「なにを言っているのですか? 俺がネイ……ティブ? いきなりなんですか?」


 まあ、当然しらばっくれるよな。相手がネイティブであろうがなかろうがその受け答えは想定していた範囲内だ。


「さすがネイティブですよね。発信機の策を簡単に見破ってきた。お見事というほかありませんでした」


「発信機? 良く分かりませんが、誰かと勘違いしていません? 人違いだと言っているのに、失礼だと思いませんか?」


 このままでは埓があかない。反応を見て、本当にネイティブが確かめようと思ったが、よく分からない。まあ、でも本物のネイティブなら、ここでボロなど出さないのかもしれない。


 逆に言えば、それが可能性につながるわけか。


 後戻りができない以上、もう最後まで踏み込むしかない。

 そう思い、ネイティブの襟元についているあるものを取った。それをネイティブの目の前にまで持っていく。


「これ、何変わります?」

「……うん? 毛糸?」


 男子生徒が首をかしげながら答える。


「ええ、その通りです。この毛糸があなたの背中、襟元についていたその意味がわかりますか?」


 そう言って、圭が掴み取っていた、五センチにも満たない白く細い毛糸を地面にそっと落とした。


「…………」


 ネイティブと思わしき男子生徒はそこで黙り込んだ。悟ったというわけか。

「知っていますよね? 毛糸って、よく制服に引っ付くんですよね」


「……だから……何を言っている?」


 あくまで認めないのか……。おそらく、相手はこれがハッタリである可能性を考慮しているのだろう。だから、自ら認めるような言動は消して取らないわけか。


「あなたの意図は分かりました。ならば、こちらからあなたがネイティブである証拠を突きつけていくとしましょう。


 俺は三十分ほど前、あなたと合い会話しましたよね。そして、あなたの正体を知るために発信機を仕込もうとした。そして、それをあなたは見抜いた。


 だが、それこそ、ただのカモフラージュでした。本当の目的は、その毛糸を目印として付けること。発信機にばかり意識が向けられ、気がつかなかったようですね」


「…………」


「そもそも、尾行もここでの注意をそらすための布石のようなものでした。俺の策が備考であること、そして最後の手段を発信機だと、あなたに認識をさせた。それが、あなたとの手紙のやり取り。そして、仕込んだ発信機の意味だった。


 すべては……あなたが取り立てしに対面するタイミングで、発信機以外の仕掛けをかけるための、準備でした」


「…………」

 男子生徒は黙ったまま……だが、ついに小さな声でつぶやいた。


「……なるほど……な。……誘導していたわけか……」


 そのセリフを聞いて、男子生徒の……いやネイティブの後ろで笑みを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ