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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第4章 革命の時は来た
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第5話 尾行の仕方は?

 ネイティブの正体を暴くことに意味が有る。そこまでは理解してくれた次郎だったが、そこでまた首をひねり出す。


「でも、尾行、観察って……具体的にどうすればいいんだ? 尾行なんてやり方知らないし、したこともないぞ?」


 ……ま、当然だろうな。

 尾行をしたことあるなんて言ってきたら、ドン引きしていたところだ。当然、圭もしたことはない。だが、あらかたのやり方は調べてきていた。


「とりあえず、ターゲットの教室の隣か、ひとつ開けた隣の教室に隠れていればいい。納金日の次の日以降に教室に入ったやつがいれば、おそらくそいつが投函箱の回収者だ。

 箱を持ち出しているのを確認でき次第……いや、見つかりそうなら無理に確認しなくてもいい。そいつの尾行を開始してほしい」


 そこで一度呼吸を置く。


「で、具体的な尾行の方法だが……正直難しい。おそらく、尾行するのは時間帯的に人気がほとんどいない状態になるのは違いない。尾行するには最悪の条件。オーソドックスな尾行の仕方じゃ、無理だ」


 オーソドックスな尾行。

 それはターゲットと近づきすぎず、遠すぎず、距離をバラつかせること。ターゲットの足元などに視線を落とし、顔を見られないよう、覚えられないようにすること。


 そして、なにより周りに溶け込んでおくこと。

 だが、今回は溶け込む周りがない。


「だがここは学校だ。隠れる場所はいくらでもある。角だらけだからな。それに、フライハイトからあそこの教室を見ていたように、校舎の形状によって、離れた場所からでも見渡せるようになっている。

 そういったものをうまく利用して、尾行してくれ」


 まあ、そんな単純に出来るとは思えない。というか、いきなり次郎にこんなことをさせても成功するはずはないだろう。むしろやり方より注意したいのは……。


「だが、注意だ。なにより、バレないことを優先しろ。音を立てないように、無理だと思ったらすぐに諦めろ。で、顔は絶対に見られるな。もし、相手が本物のネイティブだったら、その時点ですべてがアウトといってもいいからな」


 そこまで説明すると、次郎はポカンとしていた。ちょっと、無茶な注文をしすぎたか。


「わ……分かった。やるだけ……やってみる」

「うん……頼む」


 うん、これは無理だな。期待するだけ無駄だろう。これはもしかして、下手に動かしてバレる可能性、しくじる可能性を上げてしまうより、黙らせておくべきか?


 そう、セリフと裏腹に、失礼ながらも次郎を物理的な意味で心配になってきた。だが、次郎はそんな圭をよそに首を傾かせて考える。


「だけど、具体的にいつから始める?」


「うん?」


「とりあえず、今日回収される可能性はないだろう? 特に納金の時間制限は決められていない。今日中ならいつでも問題ない。


 まあ、といっても校則で夕方七時以降学校にはいられないのだから、タイムリミットは実質七時か。どちらにしても、ギリギリに投函する生徒だっているはずだろう?」


 そういって次郎は廊下の窓からターゲットの教室を見る。今尚、また一人生徒が教室に入っていくのを見て、「な?」と言う。


「でも、契約で、今日学校に来れなかったものは明日も投函出来ることになっている。てっことは、投函箱は明日も置かれ続ける可能性が高いよな」


 なるほど……やはり、コイツに関してそこまで心配する必要はないのかもしれないな。


「その通りだ。もっとも、明日も同じ場所、同じ投函箱を利用するとは限らないけどな」

「いや、同じ場所だった。事実、俺が経験済みだ」


「……なるほど……そうか」


 そう言われたら返す言葉はない。


「ならな……明後日だな。明後日の朝、早く来てこいつを見張るか……」


「でも、そんなすぐに回収が入るとも限らないから、動きがなかったら放課後、でも動きがなかったら……根気良く続けるだけってわけか?」


 しっかり話についてこられているので、思わず笑みをこぼした。


「そうなるな」

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