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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第4章 革命の時は来た
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第4話 圭の策

 コントラクトによって出来上がっている次郎の立場を解釈していると、次郎はさらに質問を重ねてきた。


「でも……わざわざ、正体を知る必要があるのか? 三ヶ月経てばネイティブは必ずお前の元にやってくる、そういう契約になっているはずだ。お前が納金しないのもそれを狙ってのこのなのだろう?」


 その質問に対し、契約の効果に影響が出ないよう言葉を選択しながら説明を続ける。


「簡単に言えば正体という情報を餌にしてエンゲームに持ち込むためだ」


「正体を暴くだけでそこまでできるのか?」

「ああ、多分な。恐らくネイティブにとって正体は絶対隠したい情報のはずだ。でなければフルフェイスヘルメットなんてかぶらない。次郎だってネイティブの正体は知らないはずだ」


「ああ……知らない」


 もし、知っている。なんて言ったら話は変わってくるが、やはりネイティブはそんな甘いやつではない。おそらく、本当にごく一部の人間か、それかおそらく誰にも正体を明かしてはいないのだろう。そんなネイティブ……。


「では、なぜネイティブはそうまでして正体を隠したいか。それは反逆を避けるためだ」


「は? そんなのコントラクトで支配してるんだし……」


 次郎の疑問に対して、圭は人差し指を一本伸ばした。


「コントラクトのルール上、支配仕切ることは不可能だ。命令通り動け、逆らうな、そんな契約者の自由がなくなる契約は不可能となっている。


ならば、もし支配者の顔が分かれば、奇襲なんてし放題だろ? 殴ってくる奴もいるだろうし、どこで陥れようかと考える輩もきっと出てくるはずだ。


それこそ、エンゲームを仕掛けようとする輩もな。ネイティブは反感買うようなことをしでかしているのに、それを完全に押さえ込むような契約はできないんだよ」


「確かに……エンゲームをできないようにする契約も不可能だったな」


 ある程度は次郎と一緒にコントラクトのルール検証も行っていた。次郎もある程度なら、コントラクトのルールについて理解を得ているらしい。

 そんな友人にセリフを肯定する。


「ああ、『エンゲーム』という単語は辞書に載っていない。ネットにも。俺たちこの学校内だけで作られた単語だ。それをコントラクトのAIは理解できないから日本語として認知しない。よってルールにより提示できない。


 それ以外にも『契約を交わして行うゲームを行わないこと』とか『他のコントラクトを持つ人とのゲーム不可』も提示できなかった。理由は分からないが、日本語としてAIが判断しなかったか、自由を奪う契約と判断されたか」


「自由を奪う契約に関しては結構シビアだったよな」

「やはり、強制力があるゆえの仕様だろうな。危険なことにはならないようなっている」


 次郎はそこで少し俯いた。顎に手を当て施行する仕草をしたあと、次のセリフを吐く。


「だが逆に言えばそんなルールがあるからこそ、支配しきれない」

「そういうことになるな」

「だから……正体を隠す?」


 次郎の的確な理解に大きく首を頷かせた。


「そう。ヘルメットをかぶっていないネイティブの姿を知らなければ反逆しようにも反逆する相手が分からないからな。

 契約で守れない以上、正体を隠して守るしかない。ゆえに正体を知ることが出来れば、エンゲームに持ち込む餌に、十分なると見た」


 すなわち、正体を見破ることはそれ相応の武器になると見たわけだ。いわゆる……脅迫の武器に。


 そこまで言うのは避けておいた。あまり、ネイティブと敵対するようなイメージを出すセリフは避けるに越したことはない。

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