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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第4章 革命の時は来た
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第2話 日本語トリック

『友情契約』

 ※以下、Aは次郎、Bは圭のアカウント名を差す。

 第二条 Bがこれから行動することは、『ネイティブatp』(以下Cという。)を救うことに繋がる。

  2 AはCにバレないようにしながら、そのBの行動を手助けすること。


 この条文にはいくつか、日本語トリックとも言えるようなものが入っている。


 まず、この契約の最初の部分、これは実質効果がないと考えている。


 なぜなら、これは行動に制限を持たせることではなくて、行動に意味があることを宣言しただけ。言ってしまえば屁理屈とも言えるが、ネイティブを救うために行動するとは、一言も書いていない、ということだ。


 また、コントラクトの力は個人の意思を契約により捻じ曲げるというもの。別に魔法で世界が動く、ということではない。


 ゆえに、この契約をしたことで『圭がなにか行動起こせば、ミラクルが発生し結果的にネイティブが絶対に救われる』なんていう因果を捻られるような事も起きない。


 ある意味、曖昧な形でとどめておくことにより、効果が効いているのか、効いていないのかわからない状態にあるのが、二条の重要な部分だ。

 これは、友情永遠の契約からヒントを得たものだった。


 そして、2の文が加わることにより、この契約の本命、中心となる契約が「AがBを手助けする」ことになる。

 B、すなわち次郎は、コントラクトにより意思を曲げられ、圭がネイティブを救うために行動していることを信じ、それを手助けしているわけだ。


 このコントラクトについて、なんとなくわかっているのは、契約するときの、それぞれの本人の中の定義、解釈が契約の効果に結びついているということ。たとえどんな条文であったとしても、契約を成立させるときの、契約者の解釈次第で効果は変わってくる。


 ゆえに、本当に大切な契約をする場合は、契約を成立させる前に、互いに契約内容を正しく共有させておく必要がある。


 今回は逆に、次郎に考えさせるまもなく、さっさと契約させた。変にいろいろと解釈させるより先に言葉通りの効果にしたことになる。


 これ以上説明しても「ニホンゴムズカシイネ」の世界に入ってくるし、結局は屁理屈をぐちぐちいうだけなので、これぐらいにしておこう。

 既に長かったが。


 契約内容を一通り確認し終えたところで、改めて次郎を見よう。


「じゃあ、俺も納金するのはやめるか」


「いや……それはいい。お前は金があるなら納金を続けて欲しい」

「ん? いいのか、それで? それでネイティブを救えるのか?」

「ああ、無論だ。俺に任せておけばいい」


 次郎は契約通り、圭の都合に合わせて動いてくれる。それを再確認したところで、先を踏まえてこう指示を出した。次郎も同時に納金を拒否し出したら、ネイティブに次郎まで深くマークされかねない。


 やはり、できる限りネイティブには、次郎をこちら側に引き寄せたことは悟られずにいたい。それが奴の隙に変わっていく可能性があるからだ。


 しかし、今としては十分だ。思った以上、次郎を騙す契約はうまく働いているみたいだ。ぶっちゃけ、賭けだったが……流れはこっちに向いている……はずだ。


「分かった。じゃあ、俺は納金を続けとくな」

「あぁ、それで頼む」


 お前が払った今までも無駄金も合わせて、いずれ取り返してやる。


 そんなことを考えながら、引き続き例の投函場所になっている教室をフライハイトから観察を続けていた。やはり、それなりの人数が行き来している。そして、そういった教室はフライハイトから見えるだけでも、複数箇所に登っていた。


 おそらく、例の面談と同じように、メンバーをいくつかに分けて投函場所を複数に分けているのだろう。だが、投函されたその金は……どうやって徴収する気なのか。

 単純な方法とすれば、ネイティブが直接取りに来ることだが、それはまずないと見ていい。場所が複数あるから手間がかかるというのももちろんあるが、それ以上に後を付けられる可能性が高いからだ。


 運び屋なりを利用して、足がつきにくいようにしているだろうと予測している。ネイティブが馬鹿であれば、一人で回収しに回るんだろうが……どうだろうな。


 まあ、どちらにしても今の圭にできることはかなり限られている。おそらく、ネイティブはよっぽどでない限り、あのヘルメットをかぶらないだろう。

 そして、それがない限り正体はわからない。


 ならば、回収される金を放課後尾行するぐらいしか、ないだろう。

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