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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第3章 最低の友情、次郎と圭
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第19話 契約の効果、発動

 次郎と圭は同時にスマホに親指を当てた。それによって、圭と次郎との間にあった「友情契約」が更新される。

 そして、それは否応なく、圭を実感させる感情が沸き起こる。


「うっ……次郎……」


 突如として目の前に立っている次郎に対して、さっきまで抱いていなかった感情が溢れ出したのだ……。

 だけど、それは抱いていなかったのではなく、忘れていた感情だということもすぐに思い出す。圧倒的、嫌悪感、怒り、そこからくる事実を超えた恨み。


「おい……圭……? 大……丈夫か?」

「うるせぇ、今更話しかけんじゃ……」


 ダメだ、落ち着け。とにかく冷静になれ。こんなところで、次郎に対する怒りを思い出したところでなんの意味もない。


 改めて、考えろ。さっきまで思考していたことを思い出せ。

 自分の目的はなんだ!? ネイティブを倒すこと、それ以外は必要ない。とにかく利益を優先するんだ。ネイティブへの勝利のために、全てを注ぎこめ。感情すらも注ぎ込め。不必要な感情は全て捨て去る。


「ふぅ……ふぅ……」


 なんども大きく深呼吸を行い、次郎と向き合う。次郎に対する感情を極限まで捨て去るんだ。勝利のためには……必要……ないこと。


「そうだ……次郎に対して怒ったところで……なんの意味もない……」


 全てを論理的に考える。自らを……勝負のためのコマにするんだ。


「次郎……これからも……よろしくな」


 そう言って、圭は精一杯の笑顔を見せた。


 その笑顔は別に演技ではない。だからと言っても、心の底にある感情を出したわけでもない。


 ただ、純粋に今状況において、もっともふさわしい顔を機械的に作り出す。その笑顔に、根本的な意味はなにもない。


「あぁ……よろしく」


 圭が差し出した手を握り返してくる次郎。次郎は決して、圭の笑顔に疑問を抱くような素振りは見せなかった。これで……全て契約通り……。


 しかし、本当にコントラクトというアプリの恐ろしさを実感した。


 あの感情が……本当に忘れ去られていたなんて……あの感情を殺して許していた自分が、今でも信じられない。


 でも、もはやそれも過去のこと。むしろ、それぐらいにコントラクトが強力な力を持っているということを実感できたことを、利益をしよう。


「さぁて、次郎。ネイティブを“救いに行くぞ”」


「あぁ、無論だ。俺たちの手でネイティブを”救い出そう”」

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