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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第3章 最低の友情、次郎と圭
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第17話 次郎がしている契約は?

 単純じゃないのは……すでに分かりきっていたことか……。

 そこは嘆いても仕方がない。


 ならば、まずはネイティブと次郎間で結ばれているのであろう契約をできる限り、分かっている範囲で整理しよう。

 そこで、まず始めに自分とネイティブとの間で結んでいる契約を見直した。



 第一条 仮面ファイター5103(以下甲という。)はグループ:ネイティブの存在を認め、これに加入する。

 第二条 甲は集団契約である『グループ:ネイティブ』(代表者ネイティブatp)の契約に加わらなければならない。



 おそらく、これと同じ契約は次郎もまず結ばされているだろう。グループ:ネイティブの一員である……にされる絶対条件でもある。


 では、残りの四条でどんな契約がされているか……。さっきのゲームでなんとなく、二つは分かっている。

 対象が圭ピンポイントなのか、ある程度広範囲の人間なのかはわからないが、おそらく……。


「グループ:ネイティブのメンバーを増やすため行動しろ」

「ネイティブに反抗を示すものには、できる限りを尽くして、止めろ」


 それに近い系統の条文が備えられているだろう……。

 とりあえず、この四つの条文がある前提で話を進めよう。この条文がある中て、果たして次郎を圭の思う作戦に組み込むことができるのかどうか……。


「どうあがいても無理だな……」


 次郎はネイティブに抗おうとするのは、絶対に止めてくる。このゲームで勝ったとしても、次郎に止めるのをやめろ、と命令する条文を下すのはコントラクトのルール上不可能。おそらく、効果は得られない……。


 もしネイティブと次郎の間の契約が、

「ネイティブに犯行を示すものを発見した場合、その行動を全力尽くして止めること」


 なんて契約だった場合、範囲大小関係が成立して、契約の仕方によれば、圭のことは見逃すような形で優先度を上げた契約で乗り切れる可能性はあると思う。


 だが、正直……ネイティブとの契約がそんなものであるような気はしていない。

 まず、気になっているのが、圭はあの二つの条文と集団契約以外は一切結んでいないということ。だけど、次郎は結ばされている。このことが、どうも引っかかる。


 これの理由としてあげられるのは、主に三つか。


「次郎、お前とネイティブとの間の関係を少し考えた。三つ言うから、しっかり聞いてくれ」


 次郎はそれに対し、無視するようにそっぽを向いた。だが、この教室からは出ない。

 ネイティブとの契約上、素直には聞けないが、エンゲームの契約上、終了後の契約が終了するまで、逃げることもできないというわけだ。


 とにかく、次郎の反応を少し足りとも見逃さないと、集中しながら次の三つを述べた。


「・一つ、次郎はネイティブの中でも幹部的立ち位置、それに近いなにかである。

・二つ、圭のことをネイティブが警戒したため、必要最低限の契約で済ませた。

・三つ、圭を警戒し、関係が近い次郎を利用して圭を監視するようにした」


 次郎は依然、無視したままだ。


 やはり、そんな簡単に反応を示さなかったか……。そりゃ、そうだよな。あいつは今でも、ネイティブに対抗しようとしている圭を止めようと必死なんだ。


 しかし、さっきの三つ。圭はどれもありうる範囲のことだと思っている。


 そして、その中で、ネイティブと戦う上で、……コントラクトを使った戦略を立てる上で、一番都合がいいのはあろう事か、一番の次郎が幹部であること。

 であるならば、対象が圭と断定されているわけではないだろうから、さっき言った範囲大小のルールが適用される可能性がある。


 だが、後者二つの場合、次郎との間柄的にはそうであってほしいが、ネイティブの対抗策をねる上では、厄介極まりない……。


 なぜなら、ピンポイントで圭を封じ込みに来ている可能性が大きいから。そうなれば、自ずと圭が見いだせるスキがなくなる。


「くっそ、……どうすりゃいいんだよ……」


 今の状況、次郎に相談するわけにも行かない。そもそも、相談する相手もいない。全て自分の判断でくださなければいけない。なにか、策は……策は……。


 ……なんとかなる……可能性はあるのか……?

 しばらく思考の海に沈む中、一筋の……鈍い光が見えた……ような気がしないでもない。


 その方法は、……それは……次郎を騙すということ。

 ここまででコントラクトは、契約者の思いつかないことはできないことが判明している。であるならば、解釈としては契約者を騙せば……、何かしらを回避することができるのではないだろうか……。


 例えば、次郎にネイティブの正体を圭だと信じ込ませるとか……。

 もし、それができた場合、あのヘルメット野郎のネイティブを偽ネイティブだと次郎に刷り込ませ、作戦に練りこむことはできるのではないだろう。


 だが、どうやって次郎を騙すか……。


 契約の仕方でごまかすこともできるが、契約内容で次郎を騙してネイティブを倒そうとしている思惑が次郎にバレたら、その時点でおそらく、契約を絶対に拒んでくることだろう。


この場合は、ネイティブに反抗する者を止める契約と、エンゲームの契約に沿って、契約に同意するという契約は、同範囲と捉えられるか、ネイティブとの契約を小と取られるか……。


 どちらにしても、エンゲームで作った、こっちの契約を飲めってのは、範囲が大だと評価されそうな気がする。


「いや……そももの、こんな思考が無意味だ……落ち着け、俺……」


 範囲大小の優先ルール……こんなのは、まだなんの検証も出来ていないことを、いろいろ考えたところで、想像の域は絶対にでないのだ。

 これは優先度が下がりそうだとか、これは同範囲程度の契約だろうとか、そんなのを想定しようとする行為が……考えるのが無駄だ。


 それよりは……どうやって、次郎を騙して、妥当ネイティブの契約をさせるかだ……。

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