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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第3章 最低の友情、次郎と圭
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第10話 次郎の問題提示

 第1問でコントラクトの効果を再確認したところで、ゲームを進行させる。


「何はともあれ、俺に一点。さて、次はお前が出題者だ。好きに問題を出すといい」


 圭がそういった時、次郎は既に冷静さを取り戻していた。

再び、長考に入る次郎の姿に迷いは見られない。いとも簡単に、現状を切り替え、勝つために全力を注ぎ出す。


 こいつは……やっぱり……。


「次郎、お前。ネイティブに、俺が知らない契約をさせられてるよな?」


 次郎は思考する態度に変化を見せなかった。まるで聞いていないかのように、顎に手を当て、思考を続けている。

 だが、微かに眉に動きがあったように見えた。反応ありだ。


「その契約の内容についても、詳細こそ分からずともあらかた察しはついた。

 おそらく、俺を……誰かを、かもしれないが、ネイティブのグループ取り込む手助けをすること。


 そしてもう一つ、俺を監視し、反逆を目論んだ場合はその行為を止めること。で、この二つには、どちらも「全力で」だとか、「可能な限り」だとか、強い指示付きで契約をさせられている」


 確信を持てる情報は残念ながらまるで存在しないが、そうそう違っていないだろう。


 次郎は明らかに行動が異様すぎる。自分にはメリットがまるでないはずなのに、そのメリットを無視してきて、ゲームを挑んできたのが証拠。


 そして、ここに来てエンゲームで、本気で勝ちに来ている点。これまた根拠はないが、どうも次郎っぽさがない。


 次郎は契約で操られているがゆえに、行動が捻じ曲げられている……。尤も、今の圭もまた、紛れもなくコントラクトにより行動が捻じ曲げられているのだろうが。


「どうだ? この推理……て言うまでもないよな……合ってるよな?」


 次郎は圭の方に視線を向けたが、それっきり、未だだまり続けている。だが、それで十分だった。


 おそらく、契約の内容には口外できないように規制も設けられていることだろう。だからこそ、ここで次郎は言葉を返せない。否定すらしてこないというのが、契約の影響下である可能性をより大きくしていると言える。


「どうでもいい。さて、問題だ」


 話をそらしたか。だが、問題、来たか……。


 たとえどう言う状況であれ、今の次郎を侮るのは絶対に間違っている。次郎のその目も相まって、今一度身構えた。


 そんな中、次郎はポケットに手を突っ込むと、そっと財布を取り出した。中から百円玉の硬貨を取り出し、見せてくる。さらに、もう片方のポケットからハンカチを取り出すと、たたみ始めた。


 折りたたまれたハンカチが先に机の中に入れられると、今度は圭に今一度百円を見せてから、同じように机の中に入れる。


 やがて、その手は拳となって机の中から出てきては、ポケットの中へ、するりと収まっていった。


「百円硬貨は今、机の中にある。マルかバツか」


 その問題を聞いた圭は小さく俯いた。ハンカチは硬貨を置いた音でバレないようにするために敷いたわけか。


 そして、百円玉のあるなしが問題……。そして、推測する。推測するのは百円玉の存在場所なんかじゃない、次郎の思考……。いや、どう考えてもこれは……。


「なるほど……それがコントラクトの限界か……」

「限界?」


「ああ、そうだ。大体わかった。にしても、流石にちょっと興ざめした感じはあったがな」


「何を言ってる? マルか、バツか、答えろよ」


 やはり、ゲームは真剣にしているつもりらしい。真剣で……コレか。

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