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コントラクト・エンゲーム 1編・2編  作者: 亥BAR
第3章 最低の友情、次郎と圭
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第9話 正解は?

『嘘』という答えを出した次郎に、圭は内心、感心していた。


 なるほどな……次郎、少なくとも今、お前は全力で勝ちにきているのはわかった。本気で考え、本気で止めにこようとしていることは分かった。だが……


「残念、答えはマルだ」


 圭はさっきまでのしくじったという精一杯の演技をやめ、近くにあった机に体重をあずけた。


 思惑通り次郎が動いてくれたことに、思わず笑みをこぼしながらも、堂々と次郎と目を合わせる。


「待て……ウソつくなよ」

「嘘なんか、つけねえよ。そこは契約しただろ?」

「で、でも……この机の中に……」

「だったら、覗いてみろよ」


 次郎はあまりに圭の答えに納得できないようで、机の中をグチグチ言いながら除く。やがて、引っ張り出してきた圭のケータイを掴んで圭のもとにやってきた。


「ふざけんな! やっぱあったじゃねえか。それとも、これは問題提示後に隠したやつだとでもいいたいのか!?」


「いいや、問題提示時には既に机の中にあった」

「だったら、お前は今、持っていなかっただろうか!」


 いらだちを隠せない次郎に、圭は指を一本立ててみせた。


「あ、そうそう。俺のケータイに電話をかけて場所を見つけるってのは、俺の想定内だったぞ。ちょっと演技をしてみたら、ころっと騙されてくれたな」


「……え?」


 思わず、目が点になる次郎を見て、思わず苦笑してしまった。


「俺にとって、今回の問題の鍵は、次郎がそこに気づくかどうかだった。そこまで考えつけるのならば、次郎は本気……異常なまでに本気だと、思った。

 はっきり言って、普段のお前の性格なら、そこに行き着かないだろうと思ったからな」


「な……なんで……」


「お前は本来、純粋馬鹿だからだ。フライハイトで女子をのぞき放題だと言うぐらいにはな。だいたい、俺を騙したくせに、俺に弁解を求めていた時点で、お前は甘い。


 そんな奴は、このゲームのルールの根本を崩すようなルールは、たとえたどり着いても、実行しなかったような気がする。それは反則だろうって」


「……いや、どうだろうな?」

「やっぱり、そうだったらしいな」

「は!?」


 次郎の反応(ごまかし方)を見て確信を持てた。

 たぶん、今次郎は今一度冷静になって考えただろう。普段の自分なら、どう考えるかと、いうこと。逆に言えば、今の次郎は普段の次郎じゃない。


 言ってしまえば、さっきの語りはそれを知るためのフェイクに過ぎない。


「あと、俺がマルを答えとした理由も答えておこうか。それは単純、”持っている”の定義を”所有している”かどうかという意味で言ったからだ。


 このガラケーの所有者は紛れもなく俺だ。だが、お前はわざわざ机の中に隠したという事実をもとに、持っているの定義を”身につけているか”と、判断してしまったわけだな。


 俺が持っていると見せかけるために、机の中に隠したと、考えたんだろう」


 次郎は紛れもなく、はっきりと威圧的な視線をこっちに向けていた。どうやら、まだまだゲームは序盤に過ぎないと、意気込んでいるらしい。


 そして、こっちの言い分には納得してくれたみたいだ。と言っても、このゲームはコントラクトが絶対。コントラクトが決めた答えが全てであり、それを覆すことは、絶対にできないのだがな。


 たとえ、相手がどれだけ、納得できないことであったとしても。

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